【オーストラリア・パース生活】日本と異なる自転車のルール
6月に日本に帰国してから早4か月が経過しました。次にパースに戻るのは年明けの2月を予定しているのですが、P氏がそんな先まで待てないと言い、今月末に日本にやって来ます。約2週間のホリデイです!
まあ、P氏にとってはホリデイですが、私は普通に仕事があります(笑)
よって、私が仕事に行っている間、P氏には一人で時間を過ごしてもらう形になります。それ自体は双方全く問題ないのですが、先日、彼が私を不安にさせる一言を放ちました。
『Ruka の仕事中、サイクリングにでも行こうかな~』
子供じゃないんだから自転車くらいいいじゃないかと思われるかもしれません。そう、サイクリングをすること自体は全く問題ありません。そうではなく、私が心配しているのは、日本のサイクリング事情が、オーストラリアのそれと大きく異なる点においてです。彼がそれを理解しているとは思わないので、運悪く事故に巻き込まれたり、又は誰かに怪我をさせたりしないかが心配なんですよね。
さて、前置きが長くなりましたが、今回のトピックはそのサイクリング事情の違いについてです。これからワーホリや留学等でオーストラリアに行かれる方の中には、自転車購入を検討されている方もいるでしょう。現地で事故に遭わないよう、はたまた、ルール違反で罰金を取られたりしないよう、オーストラリア(特にパース)におけるサイクリングルールを紹介したいと思います。意外と盲点なルールもあるかもしれませんよ!
オーストラリアのサイクリング事情
オーストラリアはサイクリング大国と言っても過言ではないほど、サイクリストが多いです。それは特別なスポーツとしてというよりも、日常的なエクササイズとして人々のライフスタイルに溶け込んでおり、いわゆる生活の一部になっている感があります。
エクササイズを日課にしている人も非常に多く、休日はもとより、通勤前や仕事後に長距離を走るサイクリストも少なくありません。御年64歳になるP氏も、1週間に2~3日は60~80kmほどの距離を走り、その後に仕事に取り掛かかるという強者です!
他の州ではどうか分かりませんが、パースにおいては、日本で最も目にするシティサイクル(ママチャリなど)はほとんど見られません。一般的に流通しているのはクロスバイクやロードバイクになりますね。
道路事情においては、自転車&歩行者専用道路が広い範囲でしっかりと整備されていますし、交通ルールも理にかなった効率的で機能的なものになっていると感じます。サイクルスタンドも至る所に設置してありますし、パースに関して言えば、ある一定の時間を除けば、自転車と一緒に電車に乗車することも可能です。サイクリストが安全にサイクリングを楽しめる構図がしっかりと出来ている印象ですね。
西オーストラリア州の自転車交通ルール
オーストラリアで多くのサイクリストが安全に自転車を楽しめるのは、機能的な交通ルールが存在し、人々がそれをきちんと守っているからだと感じます。残念ながら、日本の自転車交通ルールはあまり合理的ではなく、それ故にルールを守らない人が多発し、機能不全を起こしている印象を受けます。
では、ここからは西オーストラリア州の自転車交通ルールについて書いていこうと思います。ただ、存在する全てのルールをここにピックアップするわけではないので、より細かい情報をご所望の方は、下記にリンクを張っておきますので、そちらでご確認下さい。また、ルールには国全体としてのものと、州ごとに異なるものが存在するため、ご自身が滞在する州のルールに従う必要があります。
※西オーストラリア州の自転車交通ルールはこちらから確認できます。
1.ヘルメット着用の義務
これは州ごとに定められているようですが、どこの州でもヘルメットの着用は必須になっているはずです(一部条件付き例外あり)。日本と異なり、違反者には罰金が科せられます。罰金の金額は州によって異なりますが、西オーストラリア州の場合は現在50オーストラリアドルのようです。
かなり前のことになりますが、私の知人が罰金を取られたことがあります。普段はヘルメットをしっかり着けている子でしたが、何故かその日はたまたま外して手に持っていたらしく、不運にもポリスに見つかってしまいました。皆さん、油断は大敵ですよ!
2.ブレーキ/ベル/ライト/反射板の装着義務
これらも違反した場合には罰金です。ブレーキとベルに関しては当たり前の話ですが、ライトも前後に必要なのでご注意下さい。そして夜間は必ず点灯させなければなりません。これを怠ると罰金ですし、実際問題点灯無しではかなり危険です。自分の身を守りたいなら、車の運転手が気づきやすいように、明るい色の上着などを羽織る意識も必要です。
私も普段、前後のライトの他に、バッグパックを背負っている時はそこにもライトをつけていますよ!とにかく夜は、車の運転手に存在をアピールすることが重要です。
3.道路は左側通行
これも絶対なのでお気をつけ下さい。日本ではこれを守らない方がかなり多いですよね。オーストラリアでは車もサイクリストもかなりのスピードで走っていますから、間違っても右側走行(逆走)はしないように!
それと、パースには Bike Path(バイク・パス)と呼ばれる自転車専用道路や、Shared Path(シェアード・パス)といった自転車と歩行者の専用道路が多く設けられています(パースでは双方をまとめて Bike Path と呼びがちですが…)。これらは基本左側通行となりますので、自転車走行の際はもちろんのこと、歩行者として利用する際も十分に気を付ける必要があります。
4.誰かに接近する/追い越す時はベルを鳴らし警告する
このルールは日本と大きく違うところなので注意が必要です。
オーストラリアでは、誰かに接近する際には事前にベルでお知らせする必要があります。これは、『今から通るからどいて下さい』という意味ではありません。これは、歩行者が自転車の存在に気づかず、突然自転車の前に飛び出してきたりするのを防ぐための行動です。
先ほども述べましたが、ほとんどの Shared Path(シェアード・パス)では、歩行者も左側通行をしなければなりません。そして、自転車が歩行者を追い越す際は、右側から追い越します。これは車での追い越しと同じ感覚ですね。ベルを鳴らさないと、歩行者が突然現れた自転車にビックリしてしまったり、急に飛び出して自転車に接触してしまったりするリスクが発生します。
また、Shared Path(シェアード・パス)では、時に歩行者が複数人並んで歩き、右側の道路を塞いでしまっているケースにも遭遇します。多くの場合、歩行者も左側通行をする必要がありますので、その場合はベルを鳴らし、自転車が通ることを知らせてあげれば大丈夫です。ルールを知っている地元の人であれば、すぐに左側に寄ってくれます。その際は、追い越す際に『Thank you!』とお礼を言うのが礼儀です。
オーストラリアでも『歩行者優先』であることは変わりありません。実際、パースのドライバーやサイクリストは横断歩道や信号がない場所では積極的に道を譲ってくれます。しかし、歩行者がルールやマナーを守らず何をしても良いということではありません。上記のように、歩行者とサイクリストの双方が相手に敬意を持ちルールを守ることで、安全な交通環境が維持されているように思います。
ところで、日本に帰国して知って驚いたのですが、日本では指定された場所以外で歩行者に対してベルを鳴らすのは違法とのことらしいですね。正直なところ、歩行者が後ろから来たサイクリストに気がつかず、いきなり手を伸ばしてきたり、横に飛び出してきたりしたらどうするのだろうと心配になってしまうルールです。
このように日本とオーストラリアではルールが異なりますので、ベルの使い方に関しては注意が必要です。以前、このルールを知らなかったであろう日本人らしき青年が、自転車と衝突しそうになっていたのを見かけたことがあります。彼は Shared Path(シェアード・パス)の左側を歩いていました。そして、後方の自転車が彼を追い越す際にベルを鳴らしたのですが、その意味を『どいて欲しい』と言われたのだと勘違いしたのでしょう。左側を自転車に譲ろうとして、逆に右側に飛び出してしまったのです。この勘違いはかなり危険ですので、歩行者としても、このルールはしっかりと知っておく必要がありますね!
5.右折/左折時には手信号で知らせる
これもとても大事です。ロードバイクで走る本気のサイクリスト以外、日本では手信号を使っている人を見たことがありません。しかし、オーストラリアでは必須の習慣です。これは、後ろを走る自動車やサイクリストからの衝突を回避するためのものですので、マスターしておく必要があります。
他にも細かいルールが存在しますが、今回は主要どころのルールを紹介しました。先に述べましたが、ルールは州ごとに異なりますので、ご自身が滞在する州のルールをしっかりとご確認下さい。
さて、これらのルールを見てみて、どう思われたでしょうか。自転車&歩行者専用道路もしっかり整備されていますし、交通ルールも合理的かつ機能的であるため、個人的には、オーストラリアでの方が格段に安心して自転車に乗ることができると感じています。
一方で、日本の交通ルールはオーストラリアのものと異なりますし、しかも上手く機能していない部分も多くあるため、それを感覚的に知らないP氏がクロスバイクでサイクリングするのは反対なんですよね (^^;
まあ、シティサイクルでのゆっくりツーリングで我慢してもらうよう説得することにします!