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はるるん、発作が消えた!?

2月に入って、長男が虫垂炎で入院すると同時に熱発したはるるん。

夜は咳き込んでなかなかまとまって眠れず(ハルの夜担当のパパももちろん寝不足)、昼間も熱と咳でご飯があまりちゃんと食べられないのでエネルギーが不足してうつらうつら。

3〜4日高熱が続いて、ようやく熱が下がったと思ったのもつかの間、喉が痛いのか体力が落ちているのか食欲がないのか、なかなかご飯を食べることができない。メイドさんたちとも協力してなんとかハルが起きた隙にかろうじてマフィンやパンなど食べやすいものを少量あげる、そんな日々が1週間ほど続いた。

ニコニコし続けるハル


そうして4歳の誕生日を迎えたハル、どうやらだいぶ体調も戻ったようで、昼間目をパッチリ開けていられる時間が増えた。

と同時になんだかものすごくニコニコしている。

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「4歳おめでとうハル〜」

ニコニコ〜

「チュッ」

ニコニコ〜

ちょっとした音や話しかけた声にとてもよく反応して、めずらしく声をだして笑う。

タマンナで誕生日会をしてもらった日なんて、一日中ニコニコしまくってみんなびっくりしていた。誕生日が嬉しかったのかしら、なんてのんきに考えていたのだが、その日の夜は、ニコニコしすぎてなんと全く眠ることなく朝を迎えた・・・

なんで?

いわゆる「ハイ」の状態がずっと続いているようで、体の筋緊張もいつもより強くてバギーからずり落ちてしまうし、扱いづらい。ニコニコはしているのだけれども、緊張が強すぎるせいなのか、食事を口に運んでも口を上手に動かせない。まるでスプーンの上のものを食事として認識していないようだ。ごはんだよ、と声をかけてもすぐにニコニコしてしまってなかなか食べ物を送り込まず、結局ごはんを1食あげるのに1時間半ほどかかる。

その様子はまるで、発作を抑えて筋緊張をゆるめるためにいつも飲んでいる薬の効果が、何らかによって邪魔されているかのような、そんな印象だった。

どういうわけか“覚醒しすぎた”はるるん、そのまま3日3晩眠ることなくニコニコし続け、ごはんにも毎食1時間半かかる日が続いた。

生まれて初めて発作がなくなった!?

いよいよ世話をする側も限界を感じ、3日目の夜、薬の力を借りて、ついにハルは眠りについた。薬のせいか、タイミングだったのかはわからないが、朝まで眠ることができたハル。翌朝はいつもよりもゆっくり朝起きて、ご飯を食べた。その日から、次第にいつもどおり眠れるようになり、筋緊張も抜け、ごはんもいつもどおり口を動かしてよいペースで食べられるようになっていった。

ただ、ニコニコする反応の良さは残り、そしてなんと、気づいたら発作が(ほとんど)起こらなくなっていた。いや、もしかしたら発作がなくなったから、ニコニコできるようになったのか。

はるかは生まれてからずっと頻繁な発作と付き合ってきたので、発作に邪魔されないハルは初めてだ。はるるん…こんなにニコニコできる子だったんだね。そして、こんなふうにいろんなことを豊かに感じて反応できる子だったんだね。お母さん、知らなかったよ。

くしくもそんな状態のまま、インドにきてはじめてのビデオ脳波の検査の予約の日を迎えた。予約の時間に検査室に入り、手慣れた様子で技師さんが脳波をつけ、2時間の脳波検査がはじまった。

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ところが検査が始まってしばらくすると、技師さんは脳波モニターを眺めながら困ったような顔で口を開いた。

「この子は本当に発作が起こる子なんですか?」

どうやら脳波の波形を見ても、まったくもって正常らしい。見た目だけでなく、脳波上も発作がなくなっていたのだ。

なんでなの?もう、信じられない。一日に大小含めて50〜60回もの発作に悩んでいたはずなのに。あらゆる薬を試してもほとんど効果がなく、途方にくれていたのに。

はるるん、いったい何が起こっているの?

ケトン食療法の可能性

担当の小児神経科医に、事情を説明すると、彼女は口を開いた。

「具合が悪くてご飯が食べられない日が数日あったみたいだから、もしかしたらその断食状態が、発作をなくすように作用したのかもしれないわね。真相はわからないけれど。」

なるほど。確かにハルのてんかん発作の治療について、今の薬でなかなかコントロールできなかった場合の選択肢の一つとして、ケトン療法という食事療法が選択肢にあることは日本の病院でも聞いていた。断食状態がどういうメカニズムで作用したか定かではないけれど、食事状況がかわったことが、ハルの状態に何らかの変化をもたらしたという風には考えられるかもしれない。

結局検査ではなんの異常も認められず(何度もいうけど、こんなことはハルの人生初めて!)、もし発作がまた起こるようになったら再度ビデオ脳波を受けましょう、ということでその日の診察はおわった。

出生直後から4年間、ずっと苦しみ続けてきた頻繁な発作が、突如止まったハル。この後どうなるのか、もしかしたらものすごくでっかい発作が来る前触れなのか(…ということもある、とタマンナの先生には警告された)、まったくもってわからないけれど、今の所、私達の呼びかけにとてもよく反応し、とてもよく笑っている。声を出して笑うことなんて、以前は半年に1回くらいだったのに、今のハルは1日に何度も声を出して笑っている。これが本当のハルだったのか?

はたして本当に食事の変化がハルの状態に変化をもたらしたのかどうかは分からないけれど、科学だけでは説明できないことはあると思う。

ケトン食療法がなぜてんかん発作に効果があるのかも実ははっきりとはわかっていないのだとか。

http://epilepsy-info.jp/question/faq7-3/

かく言う私も、実は10年以上前、絶食療法という治療を受けて救われた経験がある。(民間療法じゃなくて、ちゃんと病院に入院して受ける治療法である)それについては、またいずれ別のポストで書こうと思うが、食の変化というのは人間にとってものすごく深い関わりがありそうだ。

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まったく、何があるかわからない。

発作がなくなって、食事や体操などの活動が邪魔されなくなったはるるん、これからどう成長していくのだろう。

母、ちょっと期待。

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【おまけ】

チェンナイから30時間かけて長男に会いにきた忙しすぎる心臓外科医、Dr.シイタケとの集合写真でも、はるるんラクラク笑顔が出たよ。ハルが笑ってくれると集合写真が楽しくなる。

注)Dr.シイタケは2年前に長男を連れてカンボジアを旅した友人です。


つづく

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