インドでブリティッシュスクールに通う
やっと今週から新学期が始まった長男長女。やっと…やっとだ!
長かったー
年末ぎりぎりまで学校があって、しかも宿題がちゃんとあって、そして年が明けて1週間すると学校が始まる日本と違って、ブリティッシュスクールの休みは長かった。クリスマス前の12月20日から休みに突入し、年始は15日から。宿題は全くない。
多くのお友達は母国に一時帰国をしたり、リゾートに旅行に行ったりするようだが、どこにも旅行に行かなかった我が家は、当然夫は毎日仕事だし、お昼ご飯の心配もしなくちゃいけないし、毎日youtubeでドラえもんばかり見ているわけにも行かないし、日本語の教科書で算数を教えてみたり、漢字をやらせてみたり、公園や科学館に行ってみたり、外食をしてみたり、まあなんというか、本当に煮詰まったお休みとなった。
というわけで、今回は長男長女が通うブリティッシュスクールについて書きたいと思う。
基本的に1から10まで日本の学校とは違うことだらけでとにかく毎日が戸惑いの連続である。よくもまあ、言語から何から今までと180度違う学校にふたりとも通っていると思う。
1.最富裕層インド人が集う
まず、学費がバカ高い。バカじゃないのか、と言いたくなるくらい高い。なぜそんなバカ高い学校に入れたかというと、大変ありがたいことに夫の職場から子供の教育費については多大なる補助が頂けるということで、それならば、私も夫も憧れのあったインターナショナルスクールに入れてみたい、と考えた。正直うらやましい。
だから警備がびっくりするくらい厳しい。IDカードがない場合は、パスポートを持ち込み、顔認証を行い、空港ばりに荷物検査をしなければ入れない。ゲートの前には銃を持った警備員が常にガードしている。基本的にIDカードを持っていないとゲートの中には入れないし、IDカードを忘れようものなら、たとえ親でも先生にすらアクセスできず、一度忘れてしまったときは、なんと門の外から電話で交渉してビジターセンターからようやく入れてもらえた。
何度通っても慣れないのは、一方では綺麗な制服を着て、英語を喋りながら談笑する子どもたちと、その子達を迎えに来る高級車が行き交う向かいに、スラム街が広がり、裸足の子どもたちがボールを蹴ったり、乳飲み子がお尻をだして泣いていたりすることである。真っ黒に汚れた服を来た子どもたちがブリティッシュスクールの門の前でボールを蹴ろうものなら、銃を構えた警備員が銃のさきっちょでしっしとあしらい、そのたびに私は胸が痛む。毎日迎えにいってもそのギャップに全く慣れることができず、毎度毎度頭がクラクラする。同じ子供なのに、こうも環境が違うのか。この門の中で勉強をしている子供たちと、素足でボールを蹴って無邪気に笑い合っているスラム街の子どもたちと、いったい何が違うといのか。
もちろん金だ。
日本では義務教育が当たり前になって久しく、貧富の差があっても多くの子供は学校に通う。例外はあるにせよ。
だからこの、あからさまに目に見える形での格差を目の当たりにして、私はとてもドキドキする。自分の子供をこの門の内側に送り出す私は果たして正しいのかどうか。いや、正しいかどうかという問題ではなくて、社会も私も学校もそれでいいのか?という自然な疑問が溢れ出るのだ。長男長女はいつもこの学校から見えるスラム街の景色をどう見ているのだろう。
話は少しそれるが、インドにきて一番つらいことは、食の違いでも文化の違いでも言葉の壁でもなく、このあからさまな経済格差を日々目の当たりにすることだ。車が信号待ちで止まると、必ず物売りの子どもたちが窓を叩いてくる。物売りならまだしも、乳飲み子を抱っこした女性や身体障害のある人がとても暗い表情で食べ物やお金を要求して窓を叩いてくるのには正直何度出くわしても困惑する。もちろん施しをするのも一つの選択だが、毎日通る道路なので毎日何かをあげるわけにもいかないし、私は最初からノーという態度を貫いている。しかし1歳半のレンチビにとってはお友達が話しかけてくれているように見えるのか、窓を叩いてくる人がいるとニコニコ顔で手をふり、時には自分が食べていたビスケットのかけらを差し出そうとする。見るなとも言えないし、手をふるなとも言えないけれど、私は毎回そんな我が子と窓の外の子とを見比べて、毎度毎度困惑する。困惑するという言葉が正しいのかわからないけれど、とにかくドキドキする。
そんなとんでもない格差のトップにいるような大富豪のインド人キッズたちが多くブリティッシュスクールには通っている。
日本で普通の生活をして、普通の小学校に通っていた我が子達にとって、そんな裕福な子達との交友関係もまた、戸惑いの連続だ。誕生日パーティーのプレゼントの値段の相場だったり、お友達のお家の食事の風景だったり、お家の様子だったり、カルチャーショック甚だしいに違いない。
2.各国からの転入生に慣れている
そしてそんな裕福なインド人キッズのほかは、基本的に企業や公務員の転勤に伴って転入してくる子が多いようだ。教室のお友達も実にインターナショナル。長女の仲良しはインド人とスペイン人。台湾人も多いし、「今度新しいお友達がきたんだよ!」と長女が教えてくれたお友達は南アフリカからの転入生だった。
そのためか、新しい生徒を受け入れる体制が大変整っており、我が家の子たちもとてもあたたかく迎えてもらえた。英語が母国語でない我が子たちのような生徒にきちんと英語教育をしてくれるシステムもとても整っていて、とてもありがたい。
英語をゲーム感覚で学べるアプリを使って学校内の英語を母語としない子どもたちのランキングが常にチェックできるので、子どもたちはオンライン英語学習をしたくてたまらない。完全にゲームのつもりのようだ。
4.コンピューター教育が普通にある
長男が最もホクホクなのが、学校で普通に時間割にコンピューターの時間が組み込まれていることだ。何をしているか具体的にはわからないけれど、Year2の長女はゲームみたいなことしてるーと言っているし、Year4の長男は自分のメールアドレスをもらって、日本のジジババにメールが打てるようになったり、ゲームづくりをしたりしているらしい。とにかくコンピュータの時間が楽しくて仕方ない様子だ。12月にはテッククラブに所属し、毎回超楽しい!と言いながらクラブ活動を心待ちにしていた。(残念ながら今学期は人気なのか既に定員で別のサッカークラブに所属、それはそれで楽しそう)
私はきっともう置いていかれるのだろうけれど、これからの時代にコンピュータースキルは欠かせないと思う。長男、将来頼りにしている!
5.宿題は量より質
授業の様子はというと、一度も見たことがないのでなんとも言えないけれど、無駄な宿題がないのはとても良いと思う。一定時間机に向かう時間を作る、という意味では日本のように毎日一定量の宿題が出るのはよいのかもしれないが、せっかく学校に通っているんだから学校でぜひ疑問は解決して、たくさん勉強してきてほしいと思う。
基本的に宿題はあまり出ないが、時々変な宿題が出る。各国の食を紹介する準備をしてこいとか、サンタになったつもりで自分にご褒美をあげるとしたら何をどうして?とか、日本の公立小学校で出る宿題とは全く違う。親の協力必至の宿題である。
5.行き届いたオンラインnotice
そしてこれが一番ありがたい、ペーパーレスなお知らせ!!!
日本の小学校に入学して一番「まじかよ!」と思ったのは無駄な(先生ごめんなさい)お知らせとかお手紙の量の多さである。同じことについてのお知らせが何度も別の紙で届いたり、一つにまとめればいいのに・・・といういろいろな予定のお知らせも別々に届いたり、もうその紙の多さに正直辟易していた。
ブリティッシュスクールでは、保護者向けのサイトにアクセスすると、スケジュールや時間割、その月のイベントなどがすべてオンラインで確認できる。どの先生もメールでアクセスできるし、個別に必要なことは毎日メールでお知らせが来る。(もちろん連絡ノートに書いてもOK)
どんどん届くお知らせの紙を冷蔵庫に貼り付けて分厚くなりすぎてマグネットが効かなくなることもないし、とても効率的。(私はメールすらちゃんと読まずに夫任せだけれど)日本の学校ももっとオンライン化したほうがいいと思う。
6.ブリティッシュスクールに足りないもの?
だけど、日本の学校ってやっぱりいいな、と思うことはたくさんある。たとえば子どもたちがお掃除をする、給食の準備をする、というのはブリティッシュスクールではない。お掃除はお掃除の人がしてくれるし、ご飯はカフェテエリアで自分たちが食べたいものを取る。子どもたちは楽ちんだし、自分で自分の食べたいものを準備すること自体はいいことだと思う。だけど、他の子と協力して衣食住を整えるとか、自分たちの使ったものを感謝しながら綺麗に元通りにする、ということはとても大切なことだ。
そしてなによりも、地域の子がみんなその学校に通える、というのも日本の義務教育のいいところだと思う。社会には貧しい人も裕福な人も、勉強がすぐにできる子もできない子も、運動が得意な子も不得意な子もいる。いて当たり前だ。完全に個人的な意見だけれど、学校はそんな実に多様な社会に出て生きていくための練習の場だと思う。
ブリティッシュスクールに通っている子どもたちが、門の前に広がるスラム街の子たちをどんなふうに感じているか知る由はないけれど、スラム街に住む子どもたちを全く別の世界の住民だと切り捨てることのないように願うばかりである。
写真は日本で通っていた学校のみんなとテレビ電話をした時のもの。全校生徒65人の小規模校から1300人の大海へ飛び込んだ長男長女、なんとかやっと泳ぎ始めたところだ。海の中は広いぞ。
偉そうにいろいろ書いたが、どんな学校にせよ、先生たちが一生懸命にサポートして子供達にいろんな思考や経験を促してくれることには感謝しかない。インドでの我が子の学校生活が充実したものになりますように!