バーネットおばさん

バーネットおばさん。
ある意味自分の原点。

昔、MSXのパソコンとして、カシオからPV-7という機種が販売されていたことがある。
ある日、父親が何を思ったかそれを突然買ってきた。
おそらくゲームがしたかっただけだと思われる。
それならファミコンを買った方がよかったと思うが、なぜパソコンを買ってきたのかは今でも謎である。

PV-7はパソコンと言うだけあり、キーボードも付いていた、というか本体と一体化していた。
しかもゲームのカセットを入れるスロットまであった。何者だよお前。

で、本体に付属していたものの中に、BASICのプログラミングガイドがあった。
そのガイド役が、バーネットおばさんだったのだ。
お下げ髪で丸眼鏡をかけていて、おばさんというよりはお姉さんっぽかったが。

幼少期の自分は、父親に手ほどきを受けて簡単なプログラミングを始めた。
今でも覚えてるのは、for文で作った

1ばんバッターへぼバッター
2ばんバッターへぼバッター

9ばんバッターへぼバッター

と、表示するプログラム。
こんな貧打線どこのチームだよ!と今では言いたくなるが、当時の自分にとっては「こんなことできるんだ!面白い!」と思っていた。

バーネットおばさんのプログラミングガイドは、簡単な命令(今で言う「Hello world」)レベルの初級編から、簡単なゲームを作れる上級編に分かれていた。
小学生の時はそれを見ながら、音楽演奏させるプログラム作ってた気がする。

パソコン自体が古くなり、自分も大きくなってPV-7はいつしかお蔵入りになった。
一時期は存在すら忘れて過ごしていたが、就職してからあるときにバーネットおばさんのことを思い出した。

その時の自分は、プログラマーになっていたのである。

もし幼少期にプログラミングに触れていなかったら、今の自分はあるだろうか?
そもそも算数・数学苦手なこの自分が、理系寄りのこの仕事に就くこともなかったかもしれない。

今はバリバリJavaのコードを書き、処理・方式設計もし、お客さんとIF周りの調整もやっている。

…つまりは、自分がバーネットおばさんになっているのではないか?
ふと思った。

三つ子の魂百までとはこのことかー!と我ながら笑ってしまった。
そして、あの時PV-7というマニアックなパソコンを買ってきた父親と、やさしくプログラムというものを教えてくれた、バーネットおばさんに感謝したのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?