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17歳

さっきまでの事がまるでなかったように、彼女はセブンイレブンでどっさりと買い込んだ食べ物を貪っていた。


彼女の名前は、ひな。苗字は……解らない。恐らく、「ひな」という名前も偽名だろう。


彼女はまだ17歳だった。きっと、世の中の17歳は青春を謳歌している最中だろう。


彼女は普通の17歳とは違った。いや、普通の17歳が何かは僕も解らないが。


ひなは幼い頃から可愛いものが大好きだった。可愛い洋服、可愛い雑貨、可愛いアクセサリー。いつも買ってくれるのは優しい母親だった。ひなは母親が大好きだった。

一方父親は、タバコとギャンブルに溺れ多くの借金を抱えていた。ひなは、父親が母親に怒鳴り暴力を振るっている所を毎日隣の部屋から見つめていた。


そんな中、



父親が死んだ。



ひなは喜んだ。



母親は、泣いていた。



ひなは母親が暴力の嵐から抜け出せることにより、喜んでいるものだと思っていたが、現実は違った。



母親は変わり果てた。


毎日酒を飲んでは、あの父親のようにひなを怒鳴りつけた。可愛い洋服を買ってくれたあのころの母親など、そこにはいなかった。



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ひなは、三日前にはあったお金を全て宿代で使い切ってしまった。



ひなは歩いた。
街を、歩いた。
ネオンが明るい夜の街を、
たくさん歩いた。



すると、1人の男性がひなに声をかけた。


「お姉さん、お金とか困ってない?」



ひなは首を縦に大きく振った。



「よし、俺についておいで」



ひなの人生の第1章が、今幕を上げた

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