【都市系思考法・おすすめ4本 #都市系ブックソムリエ #11 】
#都市系ブックソムリエ として、おすすめ本を紹介していきます。
今回は、都市系思考法のおすすめの4冊を紹介します。都市系思考法とは、都市系プロフェッショナルに必要な思考力を磨くための方法論です。前回は都市系ライティングについて紹介しましたが、今回はより根本的な「考え方」にフォーカスを当てます。
今回もXのアンケートで上位が都市系思考法とタクティカル・アーバニズムでした。同票だったので、身近で学生に共有する優先順位が高い都市系思考法について紹介します。タクティカル・アーバニズムは次回にしますね。
アンケートは、Xコミュニティ都市系|Urbanist Vibesにて行っていますので、よろしければジョインください。最近500人を超えたところです。
都市系、つまりは都市計画や都市デザイン、都市開発の分野では、複雑な問題を解決し、イノベーティブなアイデアを生み出す能力が求められます。そのためには、論理的思考力(ロジカルシンキング)やクリティカルシンキング、問題解決能力が不可欠です。また、多様な利害関係者との協働や、長期的視野での計画立案など、都市系特有の課題に対応するための思考法も重要です。
(ロジカルシンキングは以前にも一部紹介しているので、今回は省略したいと思います。ただ、前提としてはロジカルシンキングは重要です。)
言い換えれば、都市系には、経営コンサルやMBAに求められるような素養が必要になってくるとも言えるでしょう。
よく、インプット(吸収)、シンキング(考える)、アウトプット(成果)、フィードバック(振り返り)の循環が重要だと学生にも伝えています。今回は、そのシンキング(考える)の具体的思考法の話です。
今回紹介する4冊は、そんな都市系プロフェッショナルの思考力を磨くのに役立つ本です。それぞれの本が、異なる角度から思考法にアプローチしており、相互に補完し合う内容となっています。
1.イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」
本書は、複雑な問題を解決するための思考法の基本を提示しています。著者の安宅和人氏は、「イシュー」(解決すべき課題)を明確にすることから始めるべきだと主張します。都市計画・都市デザインにおいても、何が本当の課題なのか、本質を見極めることは非常に重要です。
本書の特徴は以下の点です:
イシューを設定する重要性
フレームワーク思考の活用法
仮説思考のすすめ
都市系の課題は複雑で多岐にわたりますが、本書の方法論を活用することで、問題の本質を捉え、効果的な解決策を見出すことができるでしょう。
2.新版 思考の整理学
この古典的名著は、思考を整理するための実践的な方法を提供しています。都市計画のような複雑な分野では、多くの情報や意見を整理し、明確な思考を保つことが重要です。
本書のポイントは:
情報のインプットとアウトプットの方法
創造的思考のための技術
記憶と忘却の活用法
都市系プロフェッショナルにとって、多様な情報を整理し、新しいアイデアを生み出す能力は不可欠です。本書の方法論は、日々の業務や長期的なプロジェクトの両方で活用できるでしょう。
この本は、新版となっています。私が20代の学生、社会人で読んだ時は、以下の旧版でした。新版では、ページ数も増加し、アップデートされています。
参考)思考の整理学
3.メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける
「メタ思考」とは、自分の思考プロセスを客観的に(俯瞰して)観察し、改善する能力を指します。都市計画、都市デザインのような複雑な分野では、この能力が特に重要です。
本書の主なテーマは:
思考の枠組みを見直す方法(リフレーミング)
問題解決のための新しいアプローチ
創造性を高めるための思考法
都市系プロフェッショナルにとって、従来の枠組みにとらわれず、新しい視点で問題を捉える能力は非常に重要です。本書を通じて、自身の思考プロセスを見直し、より効果的な問題解決能力を身につけることができるでしょう。
4.実践型クリティカルシンキング 特装版
クリティカルシンキングは、都市計画、都市デザインにおいて非常に重要なスキルです。現在都市で起きている現象や問題(アーバニズム)に対して、疑うことなくして、問題意識や新たなアイデア、解決策に辿り着けません。論理的思考(ロジカルシンキング)に加えて、そんな批判的思考を身につけることも都市系プロフェッショナルにおいては重要なのです。
本書は、理論だけでなく実践的なアプローチでクリティカルシンキングを学べる点が特徴です。
本書の主なポイント:
論理的思考(ロジカルシンキング)の基本
批判的思考の実践方法
意思決定プロセスの改善
都市系プロフェッショナルは、多くの利害関係者の意見を聞き、複雑な状況を分析し、最適な解決策を見出す必要があります。本書で学ぶクリティカルシンキングのスキルは、そうした場面で大いに役立つでしょう。
いかがでしたでしょうか。
今回は、都市系プロフェッショナルとして身につけておくべき思考法に関する4冊を紹介しました。これらの本は、単に都市計画や都市デザインの知識を増やすだけでなく、問題解決能力や創造的思考力を高めるのに役立ちます。
特に、最近、都市計画研究室(泉山ゼミ)でも、周りでも、論理的思考(ロジカルシンキング)は、研究論文、審査付き学術論文などでも鍛えられてきているのですが、今回紹介した4冊の通り、イシューからはじめる(本質を捉える)、創造的思考(クリエイティブシンキング)、メタ思考(俯瞰して捉える)、批判的思考(クリティカルシンキング)があるとさらに伸びるのにな、という人が周りに多いことに気づきます。
都市系の仕事は、VUCA時代、常に変化し続ける社会のニーズに対応し、未来を見据えた計画を立てる(プランニング)必要があります。そのためには、柔軟で創造的な思考力が不可欠です。これらの本で紹介されている思考法を習得し、実践することで、より効果的な都市計画、都市デザイン、都市開発、アーバニズムに貢献できるはずです。
ぜひ、みなさんの都市系思考法も、一段とステップアップしましょう。
ご質問は、Xやmondでどうぞ。
泉山塁威のプロフィール・SNSまとめはZaapで
参考になったら「スキ」を押してネ Twitter: https://twitter.com/RuiIZUMIYAMA メンバーシップ:https://note.com/ruilouis/membership