【後編】【ウェビナーレポート】エンジニアと読み解く!SNSマーケターのためのTwitter APIとアルゴリズム解説【アルゴリズム解説編】
こんにちは。るいき(@ruiki_k)です。
普段はコムニコという会社で、ウェビナーをやったりしています。
6/22(木)、「エンジニアと読み解く!SNSマーケターのためのTwitter APIとアルゴリズム解説」というテーマでウェビナーを実施しました。
かなりボリューミーな内容になりますので、
【前編】SNSマーケターのための Twitter API 解説
【後編】SNSマーケターのための Twitter アルゴリズム 解説
の2つに分けてまとめます。
こちらの記事は【後編】となります。
【前編】は以下をご覧ください。
なお、ウェビナーの動画については後日公開予定です。
では、いってみましょう!
はじめに: 公開されたアルゴリズムに関する注意点
本ウェビナーで紹介したアルゴリズムについては、あくまで公開時点の情報であり、今後のアップデートにより変更となる可能性があります。
また、イーロン・マスク氏はTwitterで「アルゴリズムを24-48時間ごとに更新する」と発表していましたが、実際に公開されたアルゴリズムのソースコードは公開後にここまで頻繁なアップデートが確認できなかったため、実際に稼働しているアルゴリズムとは異なる場合があります。
3月31日(米国時間)、Twitterのアルゴリズムが公開されました
3月31日、Twitterは自社ブログでFor Youタイムライン(=おすすめ)のアルゴリズムに関する記事を公開。
公開された記事ではTwitterアルゴリズムの全体像と構造が説明されていましたが、この中で GitHub へのリンクが貼られており、そこにはTwitterアルゴリズムのソースコードが記載されていました。
これまでのTwitter アルゴリズム
Twitterはもともと、フォローしているアカウントの投稿が時系列順に並ぶだけという、大変シンプルなものでした。
ユーザーが増えるごとに投稿の数も増えていき、さらには 前編のAPI解説 で触れたような悪質なbotなども増加していったことによりユーザー体験の質が下がったこと、あるいはInstagramやTikTokなど他のSNSプラットフォームが台頭していったことで、Twitterは「ユーザーが求める情報を提供しよう」という意図でアルゴリズムの改革を進めていったものであると、私は考えています。
Twitterはなぜアルゴリズムを公開したのか?
2021年には、Twitterの自社調査により政治的に偏ったツイートが表示されやすくなっていたということが発覚しています。
プラットフォームとしての透明性の担保などを目的とし、不信感を持つユーザーに対しての説明責任を果たそうとしている様子が伺えます。
タイムラインに表示されるツイートが決定するまで
Twitterが公開したソースコードによると、ツイートがタイムラインに表示されるまでは以下の3つの段階があるようです。
それぞれの段階を、ひとつずつ深掘って解説していきます。
第1段階: Twitterの全データから1,500件のツイートを抽出
まず、Twitterの全てのデータから1,500件のツイートが抽出されます。
この1,500件のツイートの内訳は「フォローしているアカウントのツイート」と「フォローしていないアカウントのツイート」が【 50 : 50 】の比率となっているそうです。
ただし、この比率はあくまで平均値であり、ユーザーごとに割合は変動する可能性があるとのこと。
また、この「フォローしているアカウントのツイート」と「フォローしていないアカウントのツイート」をさらに深掘ると、以下のように分類されるようです。
「フォローしているアカウントのツイート」の基準となる「リアルグラフ」は、簡単に言うと「そのアカウントとどれくらい交流できているか」、つまりいいね・RT・リプライ・DMなどのコミュニケーションを頻繁に行なっているユーザーに対しては、ツイートが表示されやすくなる可能性がある、ということですね。
一方で、「フォローしていないアカウントのツイート」の基準となるのは「ソーシャルグラフ」と「埋め込みスペース」の2つとなっています。
「ソーシャルグラフ」について、公開された記事では以下のような問いかけにより発見した投稿を抽出するようです。
つまり、「自分がフォローしているアカウントが直近でエンゲージメントしたツイート」や「自分のツイートに似たツイートにいいねした人が、他にいいねしたツイート」などが表示されやすくなる、ということだと解釈できます。
「埋め込みスペース」は聞き慣れない日本語ですが、原文の「Embedding Spaces」をそのまま日本語訳した言葉です。
公開された記事では以下のような問いかけにより発見した投稿を抽出するようです。
つまり、シンプルに言い換えると「自分と似たトピックに興味・関心があるユーザーのツイート」が表示されやすくなる、ということです。
このトピックがどう分類されるかを示すもののひとつとして「埋め込みスペース」というものが存在しています。
この「埋め込みスペース」には種類がいくつかあり、その中で最も有用であるとされているのは「SimClusters」と呼ばれるもの。
「SimClusters」は、特殊なアルゴリズムによって形成される「同じトピックに興味・関心があるユーザーをグループ化したコミュニティ」を指します。
そのコミュニティの数は145,000件にも上り、3週間ごとに更新されるようです。
コミュニティの規模は、個々の友人グループの数千ユーザーから、上図のようなニュースやポップカルチャーの数億ユーザーまで様々です。
コミュニティに属するユーザーが関連するトピックのツイートをいいねすればするほど、そのツイートはそのコミュニティに関連付けられ、結果的にユーザーとツイートの類似性が向上していくようです。
第2段階: 抽出された1,500件のツイートからランク付け
このパートでは、Twitterが公開した記事内に掲載されていた GitHub に記載されたソースコードを読み解いていきます。
先ほどの第1段階で抽出されたツイートに対し、獲得したエンゲージメントによって以下のようなスコアリングがされていきます。
自分のツイートに いいね される
スコア: +0.5自分のツイートに RT される
スコア: +1(いいねの2倍)自分のツイートに リプライ される
スコア: +13.5(いいねの27倍)自分のツイートから プロフィールをクリックし、他のツイートにエンゲージメント される
スコア: +12(いいねの24倍)自分のツイートの動画を 50%(半分)以上再生 される
スコア: +0.005(いいねの0.01倍)自分のツイートのリプライに リプライ する
スコア: +75(いいねの150倍)自分の ツイートをクリックし、エンゲージメント される
スコア: +11(いいねの22倍)自分の ツイートをクリックし、2分以上滞在 される
スコア: +10(いいねの20倍)自分のツイートに ネガティブフィードバック(ミュート、ブロックなど) される
スコア: -74(いいねの-148倍)自分の ツイートを報告 される
スコア: -369(-738倍)
上記を表にしたものが、以下の図になります。
受け取ったリプライに対して自分がリプライを返す、というアクションに対してのスコアが非常に高く出ている点が注目ポイントですね。
(参照したソースコードは こちら)
なお、「いいねのスコアが30、RTのスコアが20」「画像・動画付きツイートは有利(2倍)」などと解説されているケースがあります。
公式から「このアルゴリズムは古いもので、削除した」と4月8日付けで発表がありましたが、おそらくこれに該当するのではないか、を思っています。
その他、ツイートの表示に関するアルゴリズム
「Tweepcred」と呼ばれる、アカウントごとに割り当てられるスコア
各ユーザーには「Tweepcred」という影響力スコアが 0〜100 の間で割り当てられており、これが「65」未満の場合、他のユーザーのタイムラインに表示されるツイート数が制限されてしまうようです。
なお、「Tweepcred」がどのように計測され、何をすれば高くなる、もしくは低くなるのか、に関する言及は見つけられませんでした。
(参照したソースコードは こちら)
「フォロー」のしすぎには注意が必要
「フォロー数2,500人以上」かつ「フォロー数がフォロワー数よりも多い」場合、アカウントのスコアが下げられます。
なお、これは フォロー数 / フォロワー数(FF比率とも呼ばれる値) = 0.6 以上 の場合に適用されるようです。
(参照したソースコードは こちら)
ツイートは「鮮度」も重要
古いツイートは時間の経過とともに関連性が低くなり、他のユーザーに表示される頻度が低くなります。
なお、ツイートのスコアは6時間ごとに 50% 減少するようです。
(参照したソースコードは こちら)
有料サブスクリプションは契約したほうがいい
「Twitter Blue」ユーザーはアルゴリズム上で優遇されます。倍率は、フォロワーに対しては4倍、フォロワー以外に対しては2倍。
なお、ソースコードでは「Blue Verified 〜」という記載になっていたため、企業向けの「Verified Organization(後述)」でも同じように優遇されるかどうかは不明です。
(参照したソースコードは こちら)
「Verified Organization」は、言うなれば「企業公式アカウント用のTwitter Blue」のようなものです。
その詳細や契約の流れなどは弊社のブログで解説していますので、よろしければご覧ください。
第3段階: 最終的なフィルタリングなどにより調整後、表示する
このパートは、Twitterが公開した記事にはどのような記載があり、それを噛み砕くとつまりどういうことか、を解説していきます。
まず、自分がミュート、もしくはブロックしているアカウントからのツイートがここで排除されます。
ピックアップされたツイートが同じ投稿者である場合、表示されるツイート数が制限されることになります。
つまり、同じ投稿者のツイートが一度にタイムラインに並びにくい、ということです。
また、恐らく似たようなツイート(パクツイなど)も同じようにタイムラインに並びにくくなるでしょう。
第1段階でフォローしている人のツイートとフォローしていない人のツイートがおおよそ半々で抽出されてきますが、そのあとのスコアリングやフィルタリングなどでこの割合が大きく崩れた場合、再度調整が入るようです。
第2段階のスコアリングでも明らかになっていましたが、ネガティブフィードバック(ミュート、ブロック、通報など)がされたツイートはスコアが下げられます。
二次的なつながり、というのがわかりにくい部分ですが、おそらく「自分がフォローしている誰かが、フォローしているアカウントもしくはエンゲージメントしたツイート」は表示されるが、まったく繋がりのないアカウントからのツイートは除外しますよ、ということだと思います。
つまり、タイムラインに流れてくるツイートは「友だちの友だち」くらいの範囲のものに絞られるということですね。
リプライだけを表示すると正しい文脈でコンテンツを理解することができない恐れがあるため、リプライを表示する場合はおそらく返信先のツイートとあわせて表示させますよ、ということではないかと思います。
Twitter Blueを契約すると、投稿後1時間以内であれば内容を編集することが可能です。
そのため、もし抽出されたツイートが古いものである場合、編集された最新の内容を表示させますよ、ということですね。
まとめ: SNSマーケターが意識すべき 「これからのTwitter運用」
フォロワーでも、そうでなくても、たくさんコミュニケーションを取ろう!
ここで言うコミュニケーションとは、具体的には主にいいね、RT、リプライなどを指します。
第1段階の「リアルグラフ」および「埋め込みスペース」、そして第2段階のスコアリングでも、このようなアクション・リアクションが非常に重要であるとされていました。
どんな投稿をしようか、と考え抜いてコンテンツ制作に注力するだけでなく、SNSの本分である「コミュニケーション」に注力することも同じくらい重要なことなのです。
企業アカウントが実際にどのようなコミュニケーションを取っているのか、具体的な事例は弊社ブログの以下記事を参考にしてみてください。
質を担保しつつ、定期的にツイートしよう!
「Tweepcred」のようなアカウントを評価するスコアリングを高めていくには、上述のようにたくさんコミュニケーションを取るか、たくさんエンゲージメントを獲得できる投稿を行う必要があります。
一方で「良い投稿をしなければ!」と意気込む、あるいは「変な投稿をしないように…」と尻込みをして投稿頻度が減ってしまうと、時間の経過とともにツイートの鮮度が落ちていきどんどん表示されにくくなっていくので、定期的にツイートすることで露出を高めていくことを目指しましょう。
なお、30日以上ログインしない状態が続くと「アクティブでないアカウント」と見なされてしまい、最悪アカウントが削除されてしまう可能性があります。
投稿頻度に正解はありませんが、目標は1日1ツイート、最低限2,3日に1ツイート程度は実施しておくことが望ましいでしょう。
ただし、投稿頻度に囚われて質を落としてしまっては本末転倒なので、予算やリソースと相談のうえで現実的な投稿頻度を定めるようにしましょう。
リスクマネジメントにより一層注力しよう!
ツイートやアカウントに対するネガティブフィードバックは、その評価を大きく下げることになります。
特に、万が一炎上が起きてしまうと、ネガティブフィードバックはより一層増えることになってしまう恐れがあるため、Twitter運用(もちろんTwitterに限った話ではありませんが)における炎上対策には万全を期すことが望ましいです。
炎上を完全に防ぐことは不可能ですが、発生する可能性を出来る限り下げ、仮に起こってしまったとしても、正しい対策を採ることで早期に沈静化させていくことは可能だと思います。
炎上の予防や対策については、弊社ブログの以下記事を参考にしてみてください。
アルゴリズムに左右されないため、UGCが増えるような施策をしよう!
ここまでで紹介してきたアルゴリズムは、すべて自分のアカウント、もしくは自分のツイートに関する話でした。
アルゴリズムを攻略して自分のアカウントの露出を増やしていくためには、当方もない労力が必要になります。
ただ、ブランドを育てていくためには自社のアカウント運用だけではなく、消費者によるクチコミを発生させていくことも同じくらい重要なことです。
そのためにどんな施策が必要かは、ぜひ弊社ブログの以下記事を参考にしてみてください。
他にも、フォローしている人が2,500人を超えている場合は整理したり、なるべくフォロワーがアクティブな時間帯に投稿するなどの工夫も有効ですね。
小さいことでもいいので、できることから少しずつ始めていきましょう。
アルゴリズムに関する最新情報を得るには?
@TwitterEng をフォローする
現状、Twitterアルゴリズムの最新情報を発信しているのはこのアカウントのみです。
発信内容は英語のみになりますが、最速で情報をキャッチアップするためにフォローしておくと良いでしょう。
@elonmusk をフォローする
言わずとしれたTwitter(X Corp.)の会長兼CTOであるイーロン・マスク氏のアカウントです。
今後なにを行っていくか、またその背景など、Twitterに関する細かな動きなどをよくツイートされています。
アルゴリズムの件以外にも情報を発信される場合があるため、フォローしておくと良いでしょう。
@ruiki_k をフォローする
これは私のアカウントです。
上記のアカウントはいずれも英語のアカウントになりますので、私のアカウントではそれを解説した内容なども含めてツイートしていきます。
もちろん、Twitter以外のSNSに関する話もしていきたいと思っていますので、ぜひフォローよろしくお願いします!
ウェビナーでいただいたQ&A
ここからは、今回のウェビナーで実際にいただいた質問への回答を抜粋してまとめていきます!
Q. URLを含む投稿はアルゴリズム上で不利なのか?
Q. リプライが有効とのことだが、自分のツイートに対して自らリプライを重ねていくことも有効か?
Q. 受け取ったリプライすべてに返信できない場合、そのリプライにいいねするだけでもアルゴリズムでは有利に働くか?
おわりに
Twitter アルゴリズムに興味がある!
アルゴリズム以外にも重要なポイントを知りたい!
Twitterだけじゃなく、運用など全般的に話を聞いてみたい!
プロのノウハウを取り入れて、より効果的な運用を行っていきたい!
などなど、Twitter運用でお困りの際はぜひコムニコまでお問い合わせください!
(Twitter以外のご相談も受け付けておりますので、何卒!)
おまけ
Peingのアカウントもあります。
こちらでご質問いただけましたら、不定期で回答いたします!
※ すべてのご質問には回答できない場合があります。ご容赦ください。
コムニコのウェビナー情報
弊社では、毎月様々なウェビナーを実施しています。
SNSの運用担当者の方へ向けたお役立ち情報を多数発信しておりますので、ぜひ参考になさってください!
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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