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【前編】【ウェビナーレポート】エンジニアと読み解く!SNSマーケターのためのTwitter APIとアルゴリズム解説【API 解説編】

こんにちは。るいき(@ruiki_k)です。

普段はコムニコという会社で、ウェビナーをやったりしています。
6/22(木)、「エンジニアと読み解く!SNSマーケターのためのTwitter APIとアルゴリズム解説」というテーマでウェビナーを実施しました。

かなりボリューミーな内容になりますので、
【前編】SNSマーケターのための Twitter API 解説
【後編】SNSマーケターのための Twitter アルゴリズム 解説
の2つに分けてまとめます。

こちらの記事は【前編】となります。
【後編】は後日公開予定。乞うご期待!!
【後編】、公開しました!!

なお、ウェビナーの動画については後日公開予定です。

では、いってみましょう!

はじめに: Twitter APIの有償化が、なぜ話題になったのか

日本時間の2023年2月2日、Twitterは突然「現行のTwitter APIの無料アクセスの利用を終了し、有料アクセスの利用を開始する」と発表しました。

これによってTwitter APIを利用して開発・提供されていた数多くのTwitter関連サービスがAPIの切り替えを余儀なくされ、そのうち無料で提供されていたサービスが軒並みサービス終了、あるいは元々有料で提供されていたサービスも値上げなどの対応をする事態になりました。

また、今まで無料だったものが有償化されるということは、何か新しいことができるようになるのでは?という期待を感じる方もいたと思います。
しかしながら、実際には大きく機能が制限される形で新しいプランが発表されたことで、SNSマーケターだけでなく多くのTwitterユーザーに衝撃が走った、ということですね。

Twitterからの公式発表は英語のみで、加えてエンジニア以外にはなかなか理解しにくい形となっていました。
このnoteでは、日々Twitterを活用するマーケターにも伝わりやすくなるよう、噛み砕いて解説していきたいと思います。

そもそも「Twitter API」とは?

そもそも、「Twitter API」とは何なのでしょうか?

Twitter APIとは、外部のアプリケーションがTwitter上の機能やデータを利用できるようにする仕組みを指しています。
公式のTwitterアプリを利用せずとも、外部のアプリケーションを通じて、ツイートを投稿する、タイムラインを取得する、いいねする、リツイートするなどの操作を行うことができます。

Twitter APIの役割をイメージした図

一般的にTwitter APIを利用しているサービス

Twitter APIは、様々なサービスに利用されています。
以下はそのサービス例です。

● Twitter 運用管理ツール
Twitterアカウントの管理ができるツールです。
機能はツールごとに異なりますが、投稿・分析などの機能を持つものがほとんどです。

Twitter キャンペーンツール
フォロー&リツイートなどのキャンペーンを実施する際、各工程を効率化することができるツールです。
機能としては、応募ツイートや応募者の収集・抽選、さらに当選者へのDM送信などを行うことができます。

Twitter クライアントアプリ
主にスマートフォンなどモバイルで使われる、タイムラインの閲覧や投稿などができるツールです。

Twitter トレンド分析ツール
Twitter上のトレンドや、それに対する反応などを分析するツールです。
いわゆる「ソーシャルリスニングツール」もこれに分類できます。

Twitter ログイン
Twitterのアカウント情報を使って、他のサービスにログインできる機能です。

Twitter bot
Twitter上で自動的に定型文を投稿することができるツールです。

今まで使えていた主なTwitter API

旧APIは既に使えないため詳細な説明は省きますが、今まで無料で使えていたAPIのうち、おそらく幅広く使われていたであろうAPIは Twitter API v2「Essential アクセス」「Elevated アクセス」

ポイントは、これが「無料」で使えていた、ということです。

Twitter 開発者プラットフォーム|https://developer.twitter.com/ja/docs/twitter-api より

上記に加え、「Account Activity API」などを含む Premium API も比較的リーズナブルに利用できていましたが、同タイミングで単独での利用ができなくなりました。
今までこの Premium API に含まれていた機能は、このあと紹介する新しいAPIのうち価格も高額な上位のプランのみでしか使用できなくなっています。

Twitterが発表した新しいAPI

Twitterが新たに発表したAPIのプランは以下の4つです。

Twitter Developer Platform|https://developer.twitter.com/en より
  • フリー(3/30発表、無料)

  • ベーシック(3/30発表、低額)

  • プロ(5/26発表、中間的な価格)

  • エンタープライズ(3/30発表、超高額)

最初に発表されたのは「フリー」「ベーシック」「エンタープライズ」の3つでしたが、中でも有料の「ベーシック」と「エンタープライズ」の機能と価格には大きな差がありました。
これによって多くのTwitter関連サービスの提供者が影響を受けることになるのですが、それから少し遅れる形で、機能と価格ともに「ベーシック」と「エンタープライズ」の中間に位置する「プロ」が発表されました。

実際にどんな発表があったのか、時系列でまとめてみた

改めて、Twitter API有償化の流れを時系列で見ていきましょう。

  • 2月2日(ソースはこちら
    2月9日以降、Twitter API (v1.1, v2) への無料アクセスがサポートされなくなり、代わりに有料のAPIが使えるようになると発表。

  • 2月9日(ソースはこちら
    Twitter API (v1.1, v2) への無料アクセスを、2月13日まで延長することを発表。
    加えて Account Activity API などを含む Premium API についても、2月13日で廃止されることが発表されました。

  • 2月14日(ソースはこちら
    新しい有料のAPIのリリースを “数日” 遅らせると発表。
    その詳細は “今後数日以内” に発表するとしていましたが、ここから約1ヶ月半ほど音沙汰がありませんでした。

  • 3月30日(ソースはこちら
    2月14日の「リリース延期」発表以降まったく音沙汰がありませんでしたが、3月30日に突然「新Twitter API」の3つのプランとして「フリー」「ベーシック」「エンタープライズ」のリリースが行われました。
    同日、上記ソースのスレッドで「30日後に旧APIの廃止する」ことが発表され、各社がAPI切り替えなどの対応を進めていくこととなります。

  • 4月21日(ソースはこちら
    発表より少し早いタイミングで、Account Activity API を含む Premium API の廃止が発表されました。
    Twitter API (v1.1, v2) への無料アクセスは、予定通り4月29日に廃止となるとのこと。

  • 5月26日(ソースはこちら
    無料の「フリー」と、機能と価格に極端な差がある「ベーシック」と「エンタープライズ」が発表されてから約2ヶ月後、2つの有料プランの中間に位置する「プロ」が突如として発表されました。

2月上旬から本記事の公開時点までで、@TwitterDev のアカウントから発表された主な内容は以上です。

補足: その他の発表について

イーロン・マスク氏によると、今回のプラン変更の背景にはインフラとしてのTwitterを整備する、具体的にはAPIを有料にすることでbotなどを作成するためのコストを上げ、悪質なものを排除することでTwitterの品質向上を目指すという目的があるとのこと。

一部の公的機関などの情報発信を目的とするアカウントは、APIを無料で使用できるという発表もありました。

改めて、新しいAPIについてまとめてみた

Twitterの開発者向けプラットフォームでは、英語でのみ各プランの詳細が記載されていました。
Twitter APIに明るいエンジニアであればある程度理解できると思われますが、一介のマーケターがこれを読んで理解するのは至難の技でしょう。

ということで、Twitterに関わるマーケターがポイントを押さえて理解できるよう、日本語で解釈した内容についてまとめてみました。

※ すべてを網羅しているわけではなく、部分的な解説になります。あらかじめ了承ください。

新しいAPIのそれぞれのプランでできること

  • フリー
    - ツイート公開専用、またはテスト向け
    - Standard API への制限付きアクセス
    - 月間 1,500件 のツイート公開
    - 無料

  • ベーシック
    - 趣味レベルの開発向け
    - Standard API へのアクセス
    - 月間 50,000件 のツイート公開
    - 月間 10,000件 のツイート取得
    - 月額 $100 (約14,000円)

  • プロ
    - 中小企業・スタートアップ向け
    - Standard API へのアクセス
    - Search API へのアクセス
    - Filtered Stream API へのアクセス
    - 月間 300,000件 のツイート公開
    - 月間 1,000,000件 のツイート取得
    - 月額 $5,000 (約700,000円)

  • エンタープライズ
    - 大企業向け
    - Standard API へのアクセス
    - Search API へのアクセス
    - Filtered Stream API へのアクセス
    - Account Activity APIへのアクセス
    - 月間 5,000,000件〜 のツイート取得
    - Small, Medium, Large の3つのプランがある
    - 月額 $42,000〜 (約5,880,000円〜)

上記のプランに含まれる細かいAPIの種類については、以下を参照してください。

⚫︎ Standard API
ツイートの公開やツイートへのいいね、リツイート、リプライ、DMの送受信やタイムラインのデータ取得など、Twitterアカウントにおける基本的なデータ処理が行えるAPIです。

⚫︎ Search API
Twitterでキーワード検索を行うときのように、特定のキーワードやハッシュタグを指定したり、期間を決めたりして検索することがあると思いますが、これをAPIを経由してできるようにするというものです。

⚫︎ Filtered Stream API
Search APIに似ていますが、Search APIはたとえば検索ボタンを押すことで都度データを取得してくるイメージなのに対し、こちらは常にリアルタイムで動的にデータが更新されていく動作をするAPIです。

⚫︎ Account Activity API
登録したアカウントに関する何かしらのアクティビティがあった際、リアルタイムで通知が送られてきて、それを受けて何かしらの動作をするというAPIです。

なおエンタープライズの詳細(Small, Medium, Large の3プラン)については、海外のジャーナリストの方がドキュメントを公開されていましたので、以下のツイートを参照してください。
いずれのプランもできることは同じですが、ツイート取得やツイート公開の件数が異なっているようです。

【6/29 追記】
米X(元Twitter社)が提供するTwitter APIの有料機能の一部が突如使えなくなり、公式ドキュメントからも記述がなくなっていることが分かった。問題の機能は「フォロワー取得」と「フォロー取得」。この件について、Twitterからの事前告知などは確認できておらず、この件について日本時間6月28日午後5時現在、Xは何も発表していない。

Twitter API、また急に仕様変更 有料機能「フォロワー/フォロー取得」を突然削除 事前告知なし、開発者から批判相次ぐ(ITmedia NEWS)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/28/news175.html

新しいAPIに対する評価は?

「フリー」は無料で使える唯一のプランですが、できることがかなり制限されています。
ツイートの取得を行うことができず、あくまで公開機能のテスト専用であり、実用化には不向きなプランとなっています。

「ベーシック」は有料プランのうち最も安価なプランですが、今まで無料で使えていた Essential / Elevated と比較するとどうしても見劣りする機能レベルです。
ツイート公開・取得の件数についても、個人や社内のみでの利用などに限れば問題なく使えるかもしれませんが、商用利用を見据えるとあまり実用的なプランとは言い難いものです。

「プロ」は月額 約70万円 と、これだけ見ると高価ではありますが、先んじて発表されていた「エンタープライズ」が最低でも月額 約588万円 であることを考えると、かなり安価に感じるプランですね。
こちらも Essential / Elevated と比較するとやや見劣りするものの、十分商用利用が可能なプランなのではないでしょうか。

「エンタープライズ」は、他のプランと比べると大幅にできることが増えていますが、月額 約588万円〜 とかなり高額です。
既にある程度の売上が立っている(もしくは、立つ見込みがある)など、余裕のある大規模ベンダーが開発・提供しているツールでないと、このプランの契約は厳しいでしょう。

まとめ①: Twitter API は、どう変わったのか?

  • ツイートデータを取得する = 一定数まで無料 だった時代から、
    ツイートデータを取得する = 有料 の時代に変わった。

  • 有償化前の Elevatedアクセス は、新たに発表された プロプラン 相当の機能が 無料 で使えていたが、プロプラン を契約して同等の機能を利用するためには 月70万円 を支払う必要がある。

  • 今までは比較的にリーズナブルに使えていた Premium API の Account Acvitivy API  が廃止されたため、同じ機能を利用したい場合は超高額な エンタープライズプラン を契約、または、NTTデータ社のデータ提供サービス(後述)を契約する必要がある。

  • 特に Twitterキャンペーンツール は大量の応募ツイート収集が必要なため、Twitter社に支払う費用面で大きな影響を受けている。

  • SNS運用管理ツール も実質 プロプラン 以上の加入が必須となり、一定規模のツールでないと継続が厳しくなった。

【補足】
ここまでで、新しいTwitter APIを利用するにあたっての機能や費用をまとめてきましたが、APIを使ったツールの利用者全員に対してそれぞれ費用がかかるというわけではなく、ツールを開発・提供するツールベンダーに対してのみ費用がかかる形になります。

つまり、「エンタープライズ」を契約したツールの利用者全員に対して、そのツールの利用費として月額 約588万円 が請求される、というわけではありませんので、そこに関してはご安心ください。

まとめ②: SNSマーケターが意識すべき、API 有償化の影響とは?

現在のSNS公式アカウント運用において、安全かつ効率的に成果を出していくためにはサードパーティ製のツールを導入することがオススメです。
現在導入している、もしくは導入を検討しているツールが、Twitter公式のAPIを使用しているツールかどうかを必ず確認するようにしましょう!
各ツールの公式サイトもしくはサービス資料において、有償化したTwitter APIに対応していると明言しているものが望ましいですね。

もちろん、弊社のツールも対応するSNSプラットフォーム(Twitter, Instagram, Facebook)すべてにサービス内容の承認を受け、最新APIに対応していますよ!

我々コムニコは、今回話題になったTwitterをはじめとする各プラットフォームの規約にはしっかり準拠して、お客様が安心してご利用いただけるような環境を構築してまいりますので、もしご興味ありましたらぜひお問い合わせください。

■ お問い合わせは こちら

補足: NTTデータ社のAPIについて

Twitterが提供するAPI以外にも、TwitterのパートナーであるNTTデータ社のデータ提供サービスを使うという手段があります。
以下の認定サービスバッジを取得しているツールであれば、Twitterからの認可を受けているサービスということになりますので、安心して利用できるものと思います。

NTTデータ社「Twitterデータ提供サービス(インテグレーション) 認定サービスプログラム」認定サービスバッジ

NTTデータは、米Twitter社の最上位のTwitter Official Data Partnerとしてアジアで唯一全量Tweetデータ(Firehoseデータ)をリアルタイムに受領し、そのデータをお客さまへ提供するインフラを構築しています。

【出典】NTTデータ社のニュースリリース

おわりに

  • Twitter APIを利用したツールに興味がある!

  • 今まで使っていたツールがAPI有償化の影響で使えなくなってしまった…

  • ツールだけじゃなく、運用など全般的に話を聞いてみたい!

  • プロのノウハウを取り入れて、より効果的な運用を行っていきたい!

などなど、Twitter運用でお困りの際はぜひコムニコまでお問い合わせください!
(Twitter以外のご相談も受け付けておりますので、何卒!)

おまけ

Peingのアカウントもあります。
こちらでご質問いただけましたら、不定期で回答いたします!

※ すべてのご質問には回答できない場合があります。ご容赦ください。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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