スタンに帰ってきたストームのストーム値について

みなさんこんにちは。
バーチャルプレインズウォーカーの重寝 累花です。

ブルームバロウのプレビューが始まり……あなたがこの記事を読んでいる頃には全てのカードが出揃い、家族友人とにんじんケーキを食べながらアニマルフォークたちを唱えているかもしれませんが……キュートでラブリーなカードが沢山公開されていますね。

その中には見知った顔もいます。

カワウソフォークになってしまったラル・ザレックです。
今回は性能評価をしたいわけではなく、彼とトミクとの熱愛を語りたいわけでもないのでさっそく本題にいきましょう。

ストーム値の代名詞でもあるストームがスタンに帰ってきました。
なぜこのメカニズムは再びスタンに収録できたのでしょうか。
・・・というもっともらしい理由のもと、ストームのストーム値について語る記事です。

ストーム値とは

ストーム値/Storm Scaleとは、特定のメカニズムその他のものが本流のセット(スタンダードで使えるもの)に再登場する可能性を1~10の値で表したものです。
MTG公式の記事で何度か取り上げられている話題なので、どのメカニズムが何点なのかはそれぞれの記事やMTG wiki、もしくは大本であるマローのBlogatogを読んでください。

ストームはストーム値:10の代表として扱われており、スタンダードに収録されるにはかなりの奇跡が必要とまで言われています。
ただしストーム値が高いメカニズムだからといって絶対にスタンに帰ってこないというわけではありません。
フェイジング(フェイズ・アウトのみ。ストーム値:9)やマッドネス(ストーム値:8)はここ数年で収録されていますし、ブルームバロウではスレッショルド(ストーム値:9)も帰ってきています。

しかし、ストームはこれらを超えるストーム値:10。
なぜ帰ってくることができたのでしょうか。
そもそも、なぜストームのストーム値は10なのでしょうか。

ストーム値のはじまり

ストーム値の初出はこの記事です。

liefからの質問: Where does cascade stand on chance of reprinted, on a scale of storm-10?

On the Storm scale (the chance of being reprinted: 1 - cycling, 10 - storm): 3.

Blogatog  2012/9/23 

ストームを10として、続唱が再録される可能性はいくつか? 
という質問にマローがStorm scaleという言葉を使って答えたのがはじまりです。
つまり、そもそもストームを10としたらというのが前提で始まったものなのでストームのストーム値は10になったのです。
とはいえ、10を超える値はユーモアを持った回答でしか出てこないとのことなので、10が最高値であることには変わりありません。

そんなストーム値ですが決して他のメカニズムとの相対的評価だけで数字を出しているわけではありません。
マローは公式のMaking Magic -マジック開発秘話-でストーム値を語る際、いくつかの分類を持って決定しているとしています。

分類からみるストームのストーム値

ストーム値の決定に使用されている分類は次の5つです。

・人気
・デザイン空間
・多用途性
・デベロップ/プレイデザイン
・プレイアビリティ

それぞれの詳細については例によって公式記事をあわせて参照していただけると幸いです。
全部こっちに書こうとすると丸写しになっちゃいますので。

私が調査した限り、ストームをこの分類によって評価したものは見つけられませんでした。
なので勝手にストームを上記分類に沿って見ていこうと思います。
これがしたくて書いただけの記事です。

・人気:普通

ストームがスタンにいた時代を知らず、モダンのストームの話を聞きかじった程度なのでさっそく自信はないのですが……。
動きが非常に派手で、根強いファンも多いメカニズムだと思っています。
そうでなければ統率者やモダンホライゾンでたびたび新規カードが出たり、実質ストームみたいなカードが出たりしないでしょう。

ストームっぽいなにか

一方でどんなデッキにも広く入るようなメカニズムではない、ターンを返さず延々と呪文を唱え続けてソリティア的な側面も強い点もあり、評価が二分されるメカニズムだろうことを考慮し、普通としました。

・デザイン空間:中等

ストームはインスタントやソーサリーはもちろん、オーラやクリーチャーなどあらゆるカードに持たせることができる(実際に持たせている)メカニズムです。
火力、P/Tの修整、打消し、置物破壊、ライフゲインなど何をするカードであっても、ストーム とテキストに書き加えて機能を損なうことはほとんどないでしょう。

ストーム(豪雨)

ただし、実際には複数回適用されて嬉しい場面が多いカードにしか書かれることは無いと思われます。
《神の怒り》にストームを付けても機能はしますが、有効に働く場面よりそれによってマナ・コストが重くなったりシンボルがきつくなって敬遠されることの方が多いと思われます。
また、伝説のパーマネントにストームを付けるには《前駆軟泥、エーヴ》のようにレジェンド・ルール下でも嬉しいデザインである必要があります。

死亡時トークンを残すカード対策や、打消し対策にはなりますが……
デザインはクールだと思います


多用途性:普通

ストームを持つカードをセットに1枚だけ収録しても特に機能的な問題はないと思われます。
より多い枚数を収録したりストームに主眼を置いたセットを作るなら積極的にストームカウントを稼ぐ手段がほしいので、軽いキャントリップやマナフィルター、もしくは計画のように1ターンに複数回呪文を唱える手助けが必要となることでしょう。
そんなことをした上で下記のバランス調整するのがエゲつないので本流セットへまとまった収録がされる可能性は低いという話なんですが。

・デベロップ/プレイデザイン:問題あり

ストームがストーム値の代名詞になった最大の原因がおそらくここです。
ストームカウントが全く稼げていないなら弱く、2~3回ならいい感じに強く、もっと大量に稼いだ場合にゲームが終わる系のテキストなのか・・・といった条件をもとにバランス調整、コスト付けするのはとても困難かと思われます。

カードを1枚引く。
ストーム

こんなカードがあったとして適正なマナ・コストとカード・タイプ、レアリティは何かと言われたら結構な論争になると思います。
私はインスタント (3)(U)(U) アンコモン と答えますがどうなんでしょうね。
なんならこんなシンプルなテキストが未だに刷られていないことがストームの調整がめちゃくちゃ難しいことの証明かもしれません。

・プレイアビリティ:問題あり

+1/+1カウンターを使うので一定の問題が発生する可能性がある、ぐらいで問題ありになる項目なので個人的にはあまり重視して読んでいませんが……。

自分と対戦相手が唱えた呪文の数を覚えておく必要がある、まずはストームが誘発しその解決を以ってコピーがスタックに乗る挙動をする、の2点でとりあえず問題ありとしました。

ストーム値:10

色々と書いてはみましたが個人的にもここに異議を唱える気はないです。
デベロップの難易度がとんでもすぎて、スタンダードで主要メカニズムとして収録するのは無理だと思います。
一方、デザイン空間はそれなりに広く、ストームを持つアーティファクトなどは未だに存在していません。
今後も統率者やユニバースビヨンドなど、少数だけ収録できて多少カードパワーが高くなってもいいセットを中心に登場し続けることでしょう。
ストームも発掘もアーティファクト土地も、大いに問題はあるが大好きな人が一定数いるクールなメカニズムなのでなんとか調整して出し続けたいと考えているメカニズムなのではと思われます。
不人気だったのでストーム値高めです、って言われてるメカニズムよりは見かけることになるでしょう。奮励とか神啓とか。

じゃあなんでラルは収録できたのか

長々と書きましたが、まぁ神話レアプレインズウォーカーの奥義だからこれぐらいしてもいいだろうという判断の元ではないかと推測します。
一定の人気があり、派手で、とても奥義らしいメカニズムです。
過去には《嵐を呼ぶ者、ラル》、《嵐の伝導者、ラル》というカード名で登場したこともあり、《嵐の行使》をしたこともあるラルにはぴったりでしょう。

奥義を複数回起動して呪文が複数のストームを持つようになるとひどい複雑さになりますが、それを承知の上で起動したプレイヤーであればちゃんと管理できることでしょう。
そんなことになる前に既にゲームが終わっているか、対戦相手が投了していることの方が多いと思われますが・・・。

というわけで、ラルをいい理由にしてストームをストーム値の分類で評価してみよう! のコーナーでした。
それでは。



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