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西大寺と「兎の眼」


大和西大寺

東京らへんの多くの人はご存じないようですが、
東大寺に対しての西大寺です。真ん中にあるのは平城京です。

東大寺と西大寺の間は6㎞くらいしか離れていません。
西大寺から東大寺に向かってがゆるく上り。ランニングコースにもよい。


西大寺駅すき。


門くらいしかきれいに撮れない。私の写真技術なんなの。


東大寺建立は45代聖武天皇、西大寺建立は46代孝謙天皇(48代称徳。孝謙天皇、称徳天皇は同一人物)です。孝謙天皇は聖武天皇と光明皇后との娘様です。

史上、重祚は
35代皇極天皇/37代斉明天皇と
46代孝謙天皇/48代称徳天皇
のお二人だけです。どちらも女性というところが興味深い。

私は女帝とか天武系の話にとても心が惹かれる。

拝観券。素敵。


西大寺には道教像もありますが、これは令和になって奉納されたもの。

西大寺四王堂の本尊は6メートルの長谷寺式十一面観音像。
ほか、四天王像や行基菩薩像の重要文化財を拝めます。

本堂は木造釈迦如来像を本尊に、文殊菩薩と善財童子ら脇侍像。
愛染堂は愛染明王と叡尊(興正菩薩)像。

重要文化財と国宝をものすごく近くで拝める。
しかも、なんか西大寺っていつもそんなに混んでないので、
周囲に気を遣わず、好きなだけいられる。
雨の日なんかは、ずっと観音様の前で座っていたい。

称徳天皇というと、弓削道鏡を寵愛することで政治を混乱させたという
あまり良い印象を後世のひとに与えていないこともあります。しかし私個人としては、この道教溺愛説は支持していません。
女帝は後世では恋物語キャラや残忍冷酷キャラ(持統天皇とか西太后とか)にされがちで、私にはどうも、不当なまでに政治能力がないような描かれ方ばかりされているように見えるのですが。推古天皇も主体性がなくて聖徳太子に支えられている女性ってイメージにされているようで。


兎の眼

最近のかわいらしい絵の、角川つばさ文庫版。小学校高学年くらいから読めます。

西大寺の善財童子は
灰谷健次郎の「兎の眼」でも取り上げられています。

善財童子は文殊菩薩に導かれて、仏法求道をし、
53の指導者を訪ねて、修行をして悟りを開く童子です。
(東海道五十三次の53の由来もこれ)

私にとって「兔の眼」は超有名作ですが、これはどうやら世代や地域差があるようです。このメイン舞台はおそらく大阪か兵庫なのですが、私の育った近鉄エリアでも肌で感じることのできた空気感なんで、フィクションだけど、個人的には現実感とか実感がすごくある。

新任の先生と、様々な家庭環境や事情をもつ小学生との話です。
軽い話ではないけれども、暗い話でもない。
大人たちと子どもたちが学びあい、導きあって、成長しようとする。
たくさんの人にお勧めしたい、素晴らしい一冊です。

そして私は、善財童子は美しい眼というより、純粋な瞳だと思いました。
おやさしい瞳です。



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