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他人の話、心霊体験
他人の話を聞くのが好きなほうだと思う。会話は食事のようなもので、自分は料理を振る舞うよりも給餌される方が好きなのかもしれない。
特に聞けると嬉しい好きな話は心霊体験、超常現象系だ。パターン化していることも多いけど、そもそもパターン化すること自体に魅力があるので怪談蒐集家の気持ちがよくわかる。(パターンがあるということは心霊現象もしくは聞き手の恐怖心理に何らかの法則があるんじゃないかとわくわくできる。)それから、幽霊を信じる信じない論についても話ができるので二度おいしい。おかしなことで、心霊現象としか思えない体験をしてる人でも心霊に懐疑的な人はままいる。
個人的な感想だけど、他人から心霊体験を聞きだすのは意外と難しい。ガチな体験をしている人ほどあまり話したがらない印象がある。原因としては、体験が重たすぎてトラウマみたいになっている、相手に信じてもらえない、頭がおかしいと思われる、死者に対して不謹慎と思われる、そもそも心霊体験の発端の出来事が法や道徳に反してる、別に面白い話だと本人は思っていない、などだろうか。
とはいえエンタメ風にヘヴィな体験を面白おかしく話してくれる稀有な人もいるので、そのときは全身で感謝して聞き入ってる。
話しを聞くにあたって、警戒心?をとくために自分から体験した話をすることも多い。心霊っぽいのもあればただ不思議なだけの現象もあったりするけど、最近話せてないので備忘録的にいくつか自分のレパートリーを残しておく。
・金縛りとお経と人影
これはとてもベーシックな体験。
だいぶ前の話だけど、旧伊勢神トンネルという東海地方の心霊スポットに行って家に帰ってきた後のこと。布団で寝落ちしてふと目が覚めると金縛りにあっていて、何故かお経のような声がステレオ感たっぷりに聞こえる。横向き寝の状態で金縛りにあっていたので、たまたま顔の向きが部屋の入口の方を向いていた。閉めて寝たはずの入口の扉はあいていて、そこに立っている誰かの下半身が見える。身体が動かせないので上半身までは見えない。服装は全然覚えていないけど全体がうっすら白か灰色に見えた。しかし知らない人が部屋にいることに不思議と違和感も覚えず嫌な感じもしないまま、いつの間にか二度寝していた。目が覚めると金縛りもとけて扉も閉まってた。全部夢だった可能性も高いけど、お経のサウンドが心地よかったのははっきり覚えている。
後日、変な話に定評のある当時のバ先の先輩にその出来事を話したところ、心霊スポットで連れ帰った何かから守護霊が守ってくれていたんじゃないかとのこと。その節はありがとうございました。
・お盆にロフトから覗いてくる空洞みたいな顔の人
結構前、板橋区のロフト付きの家に住んでいたときの話。
ある年のお盆の時期に、夜中にふと目を覚ますと荷物置きに使っていたロフトの手すりからこちらを見下ろしている人影が見える。寝ぼけていて驚きはない。薄暗い部屋で、しかも裸眼視力0.01の自分でも何故か少し顔が見える。
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これの鼻がなくて目と口がもっと大きくて黒い空洞みたいに見える人がじーっとロフトから見下ろしてきてる。グレイ型の宇宙人っぽさもあった。冷静に考えるとめちゃくちゃ怖いんだけど、寝ぼけて夢見心地の自分はなぜか昔からの知り合いに久しぶりに会った感覚がして、悪い気分でなかった。気が付くと朝になっててロフトには誰もいない。こんなことがお盆前後の1週間くらい、ほぼ毎日続いた。最後の方は相手もロフトから身を乗り出してきてて、自分も久しぶりに会えた感覚が強すぎて涙ぐみながら寝ながらそいつに向かって手を伸ばし始めて、でも少し我に返った冷静な自分が「いやいや知らん奴だし」とツッコんで手をひっこめて、「いやいや久しぶりだし」って思いなおしてまた手を伸ばしたりと情緒がやばいことになって泣いたまま我に返って目が覚めたりしてた。でも決定的なことは何も起こらないまま、お盆が過ぎるといつの間にか現れなくなった。
後日、自称シャーマンの子にこの話をしたところ、「それはすごく嫌な感じがするから縁を切った方がいい」と言われた。縁を結んだ覚えもないけど絶対縁を切るぞ、と決意した。
・1円玉の来訪
心霊じゃなくて地味に不思議な話。
これも板橋の家のときでお盆が過ぎて何か月か後のことだったと思う。ある日仕事から帰ると、家の扉から少し離れたところに1円玉が落ちてるのに気づいた。疲れてて拾うこともなく何日か放置し続けていたが、少しづつ1円玉の位置が移動していて、だんだん家のドアに近づいてるように見えた。不思議に思いながらも、風かだれかが箒で掃いて移動してるかななんて思って何日か観察してると本当に家の扉にぴたっとくっつくまでに近づいていた。ある日、家の前まで帰ってきたとき扉の前の1円玉が無くなってることに気づく。少し残念に思いながら扉を開けると、家の中の靴を置いている玄関スペースにあの1円玉がいる。扉と段差を通過した!?と驚きながらももう数日放置していると、玄関内でも徐々に移動していることに気づく。部屋の中を目指してるようにも思えた。玄関から部屋に上がるのにもまた段差があるので、これも超えてくるとなんか怖いなと思った。
数日後、案の定段差を超えて部屋の廊下にまで移動していたので、すぐに拾って財布に入れて、翌日おかしのまちおかで使って供養した。その後は何もない。
・時を超えた半裸の集団
いまだに不思議に思ってる話。
夜中に東新宿の戸山公園へ一人で散歩に行ったときのこと。
公園内にある箱根山という小高い場所を目指して長めの階段を登っていると、何度か来たことのある場所なのに違和感がある。いつもより暗い。というか街灯が消えててほぼ真っ暗だった。良く見えないまま階段を登り切って箱根山の頂上に着く。6m四方くらいの狭いスペースだと思う。真っ暗な中、かろうじて真ん中にあるベンチにたどり着いて腰かける。雲間から月が出て少し明るくなったなと思った瞬間、その広くないスペースに半裸の集団が7,8人くらいいることに唐突に気づいた。はっきりとは見えないけど多分全員上裸で会話もせずゾンビみたいに立ってるだけ。全然気づかなった。呼吸音も衣擦れの音(まあ上裸だからか)も靴の音も気配も体臭も何も感じなかった。気づいた瞬間死ぬほどびっくりしたけど謎の自意識から平静を保ってベンチから立ち上がって、さも気にしていませんよという体で集団の隙間を縫って階段まで歩いて、そのまま早足で降りてその場を離れた。
家に帰ってからめちゃくちゃ気になったので色々ネットで調べてみると、10年くらい前の5ちゃんか何かの記事で箱根山で半裸の集団を見たという書き込みがあった。10年以上前から存在してたんか・・・という謎の感動があった。しかしその後、もう一度その記事を読もうと探しても見つからなかった。どうやって検索したんだ昔の俺。
それから何度か箱根山に行ったけど、変なことは起こらなかった。そもそも真っ暗だったのもあの日だけだった。暗くなると発生する隠しイベントか?
もし似たような経験を戸山公園の箱根山でしたことがある方、教えてください。
以上。他にも一緒に心霊スポットに行った友達にだけ変な体験が・・・とか、手作りの般若のお面に何かが宿ってタイヤがパンクして九死に一生だった話もあったので、また別の日にでも書きたい。
備忘録のつもりで書いたけど、本音を言えばこのnoteを見た誰かが「自分もそういえば・・・」というノリで自身の変な体験をどこかで語りだしてくれると嬉しい。心霊体験談はみんなを幸せにしますので。そして巡り巡って自分の耳にまでその話が届いてくれると最高だなあ。