
教えて!多子世帯の大学無償化 ~2025年からはじまる新制度で"知らないと損する"2つのポイント~
令和7年度から始まる「多子世帯の無償化」については、世間がとても興味を持っていることですよね。
今回は文部科学省が公表している資料をもとに、元奨学金担当をしていた私が簡単に解説していきます!
【注意点】
本記事公表時点で、政府が公表している情報をもとに書いています。
今後新しい情報が出たら、別の記事で補足していくつもりです。
根拠としている文部科学省のページは以下です。
皆さんぜひ確認してみてくださいね。
制度の概要
上記ページの制度を簡潔に要約しました。
制度の概要
対象:子供を3人以上同時に扶養している世帯
開始時期:令和7年度(2025年4月)から
特徴:所得制限なしで授業料・入学金を無償化
支援内容
支援上限額(授業料)
国公立大学:約54万円/年
私立大学:70万円/年
入学金
国公立:約28万円
私立:26万円
重要な条件
「3人以上の子供」の定義
申込時点で扶養している子供が3人以上
長子が就職等で扶養から外れると対象外
大学院生は扶養に含むが支援対象外対象となる学校
2.対象となる学校
大学
短期大学
高等専門学校(4・5年生)
専門学校(一定の要件を満たすもの)支援の終了条件
3.支援の終了条件
扶養する子供が2人以下になった時点
学業成績不振で本人の支援が打ち切り
4.申請について
令和7年度は「在学採用」での申込のみ
大学を通じて支援が行われる(直接の現金給付ではない)
多子世帯の大学無償化で特に注意したい2つのポイント
1. 「3人以上の子どもがいる」というのは、ずっと変わらない数字ではない
みなさんは、家族アルバムを見たことがありますか?
赤ちゃんだった子どもたちが、小学生になり、中学生になり、そして大人になっていく様子が写真に残っていますよね。
この制度で大切なのは、まさにそんな「時間の流れ」なんです。
たとえば、山田家には子どもが3人います。
長男の太郎くん(大学2年生)、次男の二郎くん(高校2年生)、三男の三郎くん(中学2年生)。
今は3人とも両親に扶養されているので、大学生の太郎くんは無償化の支援を受けることができます。
でも、2年後に太郎くんが大学を卒業して会社に就職すると、もう両親の扶養から外れてしまいます。すると、山田家の扶養されている子どもは2人になってしまうんです。その時点で、大学に進学している二郎くんへの支援も終了してしまいます。
これは、まるでリレー競走のバトンのようなものです。3人でバトンをつないでいる間は大丈夫。でも、1人が走り終わってコースを離れてしまうと、もう「3人走」ではなくなってしまうんですね。
だから、この制度を利用する時は、家族みんなで「いつまで3人以上の扶養が続くのか」をしっかり確認することが大切です。お兄ちゃんやお姉ちゃんが就職する予定はいつなのか、大学院に進学するのか、そういった将来の予定も含めて考える必要があります。
2. 「無償化」と言っても、すべての費用が無料になるわけではない
「無償化」という言葉を聞くと、「お金が全然かからなくなる!」と思ってしまいますよね。でも、実はそうではないんです。
これは、スマホの「使い放題プラン」に少し似ています。
通話とデータ通信は使い放題でも、スマホの本体代や保険料、アプリの課金は別途支払いが必要なように、大学でも無償化の対象とならない費用がたくさんあります。
具体的に見てみましょう。無償化の対象となるのは「授業料」と「入学金」だけです。しかも、上限額が決められています。国立大学なら年間約54万円まで、私立大学なら70万円までです。それを超える分は自己負担となります。
特に授業料や入学料が大学によってピンキリな私立大学への進学を考えている方は要注意です。
そして、以下の費用は無償化の対象外です
施設設備費(教室やパソコンなどの設備の費用)
実験実習費(理科の実験や体育の実習にかかる費用)
教科書代
通学定期代
部活動の費用
寮費や食費
だから、進学を考える時は、無償化の対象とならない費用も含めて、しっかりと計画を立てることが大切です。
予想外の出費で困らないように、あらかじめ調べておくことをおすすめします!
まとめ
現時点(2024.11.17)での情報をもとに解説してみました。
今後、文部科学省が新たな情報を公表した際は、別記事で書いていきたいと思います。