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【元担当者による解説】日本学生支援機構の貸与奨学金について:第一種と第二種の比較


日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、多くの学生の学業継続を支える重要な制度です。2022年度の実績では、大学学部生の約32%がJASSO奨学金を利用しています。

そこで今後奨学金を考えている方へ向けて、元奨学金担当者が一種・二種奨学金についてお話していきます。

注意:本記事の数値は2024年度のものです。制度は毎年更新される可能性があるため、最新情報は日本学生支援機構の公式サイトでご確認ください

JASSO奨学金の利用割合より

第一種奨学金

第一種奨学金は、無利子で貸与される奨学金です。返還時の負担が比較的軽い一方で、採用基準が厳格に設定されています。

メリット

1. 無利子での貸与
最大の特徴は利子がつかないことです。借りた額をそのまま返還すればよく、長期の返還期間を考えても金銭的な負担が増えることはありません。
一種のメリットはこれにつきます。

具体的な貸与月額(2024年度):
- 国公立・自宅通学:2万円、3万円、4万5千円から選択
- 国公立・自宅外通学:2万円、3万円、4万円、5万1千円から選択
- 私立・自宅通学:2万円、3万円、4万円、5万4千円から選択
- 私立・自宅外通学:2万円、3万円、4万円、5万円、6万4千円から選択

2. 大学院生向けの返還免除制度
大学院生を対象とした返還免除制度では、2022年度実績で6803名の方が免除の適用を受けています。

デメリット

1. 厳格な採用基準
- 学力基準:高校での評定平均値が3.5以上(学部1年生が申し込む場合)
- 家計基準:収入・所得の上限額(2024年度)   
- 4人世帯・給与所得の場合:年収上限約747万円   
- 4人世帯・事業所得の場合:所得上限約349万

JASSOが公開しているページによると次のとおりです。

2. 限定的な貸与月額
前述の金額表の通り、選択肢は最大で5段階です。
後述しますが、二種は1万円単位で選択できるため選択肢が狭いのが弱みです。

3. 給付奨学金との併給制限
どういうこと?って思いますよね。
貸与奨学金とは別で「給付奨学金」に採用されている方は、採用された区分によっては、一種奨学金に採用されても振り込まれる金額が調整されてしまうんです。

詳細はJASSOのHPを確認されることをおすすめします。


第二種奨学金


第二種奨学金は、より多くの学生が利用しやすい制度として設計されています。2022年度の実績では、奨学金利用者全体の約60%が第二種奨学金を利用しています。

メリット

1. 柔軟な貸与月額の選択
選択可能な月額(2024年度):
- 2万円、3万円、4万円、5万円、6万円、7万円、8万円、9万円、10万円、11万円、12万円から選択可能

1万円単位で選択できるのが二種の魅力的なポイントです。
経済的に厳しい方は一種と二種を同時に借りる方もいらっしゃいます。
ただ、貸与型は借金なので無理のない範囲で選択するようにしてくださいね。

2.緩やかな採用基準
一種よりも圧倒的に学力と家計基準がゆるいです。
私も大学入学後に奨学金を申し込んだところ、一種奨学金には落ちて二種二採用されました・・・

学力及び家計基準は以下JASSOのページをご参考に。


デメリット


1. 有利子による返還負担

二種を借りるのを避ける理由がこれです。有利子です。
借りた金額以上に返さないといけないのは嫌ですよね。

利率はJASSOの公式ページに公開されていますが、
「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2種類あります。

利率の方式については、また別の記事でお話したいと思います。


JASSO 「令和6年度貸与利率」より

上記画像は6年度利率ですが、固定方式だと1.2%くらいで、見直し方式だと0.6~0.8くらいの範囲ですね。

有利子といっても、自動車ローンなど日常生活で利用する他のローンよりは
優しめな金利設定だと思います。

ためしに以下の条件ではいくら返すことになるのか試算しました。

• 借入月額:5万円
• 期間:4年間
• 借入合計:5万円 × 12ヶ月 × 4年 = 240万円
• 金利:1.2%(利率固定方式)
• 返済期間:約20年(標準的な返済期間)
→• 毎月の返済額:約11,253円  • 総返済額:約2,700,703円

返還期間や繰上げ返還をするかどうかでも変わってきますが、
およそ30万円利子分として返さないといけないです。
高い・・・


→• 毎月の返済額:約11,253円  • 総返済額:約2,700,703円

以上が第一種・第二種それぞれの特徴となります。
奨学金の選択に際しては、自身の学力や家計状況、将来の返還計画などを総合的に検討することが重要です。

また、進学先の学校に設置された奨学金窓口で、詳しい情報を得ることをお勧めします。


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