憧れの道成寺に行くの巻
先日、ちょっとした小旅行のためにレンタカーを借りることを決めた。二泊三日の和歌山への旅だったが、何故和歌山を選んだかと言えば、道成寺があるからである。
私の道成寺(正確には「安珍清姫伝説」だけども)への溢れる思いは、かつて書いた記事を読んでいただければ十分かと思う。↓↓↓
初日はアドベンチャーワールドでパンダを見たり、白良浜で夕日を見たり、翌日は那智まで足を運びかの有名な那智の滝の圧倒的なパワーに感動してみたりとかなりベターな過ごし方をした。
ところで那智大社は雨足が強くなり断念したのだが、代わりに太地町の「くじら博物館」を見学。時間が合えばクジラショーも開催しているらしい。ちょうどメルヴィルの『白鯨』を読んでいる途中の私はタイムリーな資料に大満足。太地町の捕鯨の歴史なども非常に興味深く、そのうちもっと日本の捕鯨についても調べてみたいところ。
さてあっという間に最終日。京都方面へ帰る道すがら、道成寺へ立ち寄る。平日の昼間だからか、ほとんど人気がなく、駐車場が無料になるのでは?と謎の期待までするレベルだったが、しっかり係のおじさんが500円徴収してくれた。
そして石段を上がればついに道成寺が!!門を抜けると本堂が見え、その手前にはなんと安珍塚。「安珍…ここに眠っているのかい…」、としみじみしてしまう。
本堂でしっかりお参りをし、さて道成寺と言えば「絵とき説法」!いわゆる聖地巡礼目的もさることながら、私はこの「絵とき」を楽しみにしていたのだ。(数年前にとある大学の有料公開講座で幸運にもいわゆる”出張絵とき”を聞いた私だったが、いつか必ず道成寺で直接聴きたいと切望していた。)
有料拝観である宝仏殿には、仏像様が何体も飾ってあり、どんな仏様たちなのか住職さんが説明してくれる。そしてこの辺で参拝客が私たち2人だけだと分かる。まあ、平日だし…!? というわけでほとんど貸切のまま、縁起堂での「絵とき」が始まる。
大きな巻物をくるくるしながら住職さんの軽快な語り口で語られる、安珍と清姫の物語。何度聞いても面白く、鐘の中で焼け死んでしまう安珍と、川に身投げして死んでしまう清姫の末路はとにかく虚しいものであるけども、
最後は道成寺の懸命な供養により二人は天人となって空へ帰っていく。
ちなみに、二人は一緒の方向に消えていったのではなく、バラバラの方向に去っていったそうで、清姫の異常なまでの執着も、浮かばれたわけではないだろうけども、何か区切りがついたのだなあと感慨深い。
ところで、当時のとんでもない愛憎悲劇を語り継ぐ道成寺というお寺はやっぱり面白い。「鐘もなければお金もない」みたいな感じでやたらと皮肉の多い住職さんの語り口にフフっとなりつつ、私は本やポストカード(光沢ですばらしい)を惜しみなく買うのであった。道成寺にならお金を惜しまない、まさにオタク精神。
お寺の外にあるお土産屋さんで釣鐘まんじゅうまで買ってしまった。まんじゅうウマイ。
(↑ちなみに私はこの釣鐘に巻きついてる絵が大好き。)
帰り道、強風の中落ち葉を拾っていた住職さんにこの溢れる想いを伝えるべきか…、と迷った私だったが、いかんせん小心者なので何も言えず。せめて「いつか現代版の道成寺物を書きます!」とか表明してくれば良かった。
ともかくせっかく道成寺を巡ったのだから、現代版道成寺物執筆、絶対頑張ろう。
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