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10/9 DAY#25 VS フィジー

今日のスケジュール
08:00 朝食 ボディースクリーニング
12:00 軽食
13:00 アドバンスチームホテル出発
14:30 軽めのウェイトトレーニング
15:00 ウォークスルー
15:30 試合前食事
16:35 チームホテル出発
18:45 VS フィジー KO
22:00 ディナー

今日はフィジー戦、前戦から中9日でのゲーム。
少し日が開いているので体力はかなり回復しているものの、試合感や精神的な部分がどう出るかが焦点になりそう。
フィジーは決勝トーナメントへ後が無い状態、この試合にフォーカスしているだろう。
壮絶な試合になりそうな予感…

先ずはいつものルーティン。
試合も3試合目となりマッチデーのリズムや進捗については理解出来ているので、お互いの役割分担はバッチリ。
リエゾンミーティングでは選手家族のバスについてどうするかを話し合い。
選手家族との連絡はアレックが代表して家族のチャットグループに入り連絡を取り合う。
家族側はガットランドの奥さんがリーダー。
家族バスの乗り降り場と時間について打ち合わせ、バスの運転手さんにルートやゲートでの対応法を指南する。
これらがまとまれば後はそれぞれの役割をこなすまで、チームルームの整頓にあてる。
いつもなら試合が終わってからチーム荷物をトラックに積み込むが、この次のキャンプ地は熊本なので距離が近い為、明日の朝チームが出発する少し前にトラックに積み込む。
ただ午前中出発なので今やっておかないと明日の朝はやる事がいっぱいで出来なくなってしまう。
リエゾンの計画的予定は2〜3日前から予測して準備しておかないと想定外の事が入ると立ち回り出来なくなってしまう事が多い。
リエゾンに限らずどんな仕事でも同じだろう。

そうこうしてるとホテルに僕宛の小包が届く。
予め連絡してあったのでホテルの人がチームルームまで持ってきてくれた。
開けてみるとようやく届いたWiFiの山(笑)
そう、選手から家族向けにとお願いされていた物だ。
知り合いに教えてもらった業者と僕が契約して送ってくれた物。
やりたくなかったけどこれしか方法がない…
一人で34台契約(笑)
一つ一つ開梱し、設定を英語にし、最低限の本体・充電ケーブルだけのセットにしていく。
無くされたりしたら全て僕が賠償しなくてはいけない(笑)
選手達に連絡して取りに来てもらう。
頼むし無くさないで!(笑)

あっという間に時間が過ぎランチの時間。
今日はアドバンスチームの出発が遅いのでランチにありつけた!ナイス!
そして準備が出来たらアドバンスチームを率いてホテルを出発!
先にスタジアム入りし、ロッカールームや機材を準備してチームの到着を待つ。

いつも通り到着後荷物をロッカールームに運びこんだら、DJ役チャンバースが近寄ってきて
チ「へい、ヤーマン!今日はお前がDJや」
ラ「え?そうなん?わかった。てかどんな曲がいい?」
チ「んー、JRは古いから無視してジャパニーズロックとかそんな感じのアップテンポので」
ラ「わかった(笑)」

そしてSpotifyから選んだのは「ハイスタ」とか「brahman」メロコア(笑)
なかなかウケてました(笑)
ここからノリノリでどんどん準備を進める。
いつもの様にネームプレートを貼り、Tシャツや上着を全て同じ様にハンガーにかけ、全てにスチームアイロンをかけていく。
最後に今日の試合のパンフレットとTIPシートを座席に置いてロッカールームは終了。
TIPシートとはこの試合の注意書き。
一つはトラックラインアウト
もう一つはラドラドラのラン
最後はディプシリン

ロッカールームの準備が終わり、ピッチでの道具を整理しに行く。
今日のスタンド雰囲気は九州という事もありウェールズの応援が多めかな?
外のファンゾーンを楽しんだお客さんがどんどんスタジアムに入ってくる。
今日も満員だろう。
どんな試合になるのかな…

そうこうしてたら選手バスの到着。
いつもと同じ様に見えるけど、心の中は違ったりするんだろうか…
そんな事を考えてたらアランに呼ばれる。

ア「今日は正装着てるな(笑)」
ラ「はい(笑)」
そう、今日はリエゾンユニフォームでは無くウェールズウェア(笑)
これにも理由があって前回は秩父宮の照明と引き換え条件だったけど、今回はアランからウェールズウェアで行けとの指令。
アランいわく
「俺は以前Y部長に今回はと言った。
しかしここ大分に来てから彼から何もお願いされてない。
だからウェールズウェアで良いんだ!」

なるほど、さすが!交渉上手(笑)

ア「あと貰った千羽鶴を持ってこい」
ラ「どこに置きますか?」
ア「俺の机に見える様に飾ってくれ」
ラ「はい、わかりました」

ウェールズはこれまでのキャンプ地で頂いた盾や千羽鶴を毎試合ベンチ横に置いていた。
見ていた限りベンチ横に置いてたのはウェールズだけだと思う。
これも僕が感じたウェールズチームぽさが出てた良い所。

いよいよ始まる…
拍子木の乾いた音が今か今かと待ちわびる歓声を切り裂き鳴り響く。
和太鼓が心拍数とシンクロしどんどん上昇していく…
3回目でもこの瞬間はドキドキする。

そしていよいよKOへのカウントダウン。
この日もノンメンバーの着替えを待つ間はピッチレベルで試合を見ていた。
ノンメンバーが揃い、スタンドへ連れて上がっている最中に大きな声援が上がった。
開始3分、フィジーの先制トライ…
オーストラリア戦とは打って変わっていきなりの被トライ。
何となく嫌な予感が胸をよぎった…

*試合の様子はハイライトをご覧下さい。

結果的に少し気持ちが空回りしていたのと、フィジーの方がゲームの入り方が良かったのだろう。
いきなり先制トライされ、ケンがシンビンになったものの前半終盤で同点に追いつくも、後半に入ってもラドラドラとワイセアに何度もビッグゲインを許し劣勢。
スタジアムの雰囲気もフィジーが勝つ様な感じだったが、後半60分の本日3トライ目でようやく勝ち越しに成功。
しかしこのトライのラストパスでフォキシーことジョナサンデイビスは膝を痛めてしまう…
そして69分のリーアムのトライ。
これでようやくセーフティーゾーンへ。
この時のリーアムのトライ後のリアクションに象徴される様に、最後までウェールズはいつもの落ち着きが無かった。
しかし最後は勝利を手にする事が出来た。
最後まで生きた心地がしなかったゲームだった…

試合後ロッカールームにフィジーの選手達がジャージ交換にやって来たのだが、ヘッドコーチのガットランドは試合後ロッカールームで激しく今日のゲームを振り返っていたので、なかなかロッカールームに入る事が出来なかった。
しかしそれも終わりフィジーの選手達がロッカーに入ってくるとそこはノーサイドの世界、普段からヨーロッパでプレーする選手が多いフィジーの選手達はウェールズチームメンバーともチームメイト。
仲良く複数人で談笑しお互いのRWCでの健闘を称え合いジャージ交換していた。

そんな中で僕らリエゾンは働きまくる。
洗濯物とゴミを集め、荷物をどんどんDHLバンに積み込んで行く。
洗濯物も今日はバンに積む。
明日はこのDHLバンを僕が運転して熊本まで車ごと移動し熊本でランドリーに出すからだ。
明日熊本でこのランドリーを開ける事を想像すると吐気がする(笑)

そうしてスタジアムを後にしホテルへと向かう。
バンを運転しながらJRに今日の感想を聞いた。

まぁこんな事もある。今日の反省を次の試合に活かせば良い。
こんな事は選手達は何百回と経験してる。
それでも今日の様な事は起こる。
それは誰にもわからない事だし想定は出来ない。
これは人生においても同じ事が言える。
そんな時に必要なのは冷静な判断とリーダーの謙虚な姿勢。
何があっても動じずいつもの自分達を出す様に努力する。
リーダーはブレない事でその事を体を張って皆に見せつける。
そうする事で皆が正常心を保てる。
だから俺も常に焦らない、焦っても仕方ない。
勿論プレッシャーで気分は変わってしまうけど、やる事は変わらないしそれを着々とこなす事が大事だといつも心掛けてる。

JRにしてはまともな意見だった。
彼は能天気な所がありイラつく事がちょくちょくあるんだけど、ひょっとしたらワザとそうしてるのかも…

そんな話をしながらホテルへ到着。
このまま明日車ごと荷物を運ぶので何もせずにそのままチームルームへ。

ディナーを済ませた所でアランの登場。
スパへ行ってからバーに行くからお前らも来い。
はい、行かせてもらいます(笑)
本当この人達は良く飲む!
バーで飲みながらフィジー戦についてアランと話し、夜は更けて行くのでした…

続く





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