最初の国家、古朝鮮はどのように登場したか
檀君(タングン)神話
古朝鮮は青銅器時代の農耕文化を土台に建てられた朝鮮半島最初の国家です。檀君の古朝鮮建国に関する話を「檀君神話」と言います。檀君神話を記録した最も古い歴史書は、高麗時代に一念(イルヨン)和尚が書いた「三国遺事」です。
檀君神話概要
天の神である桓因(ファンイン)は、息子桓雄(ファンウン)を人間世界に送り、広く人間の世のために尽くす事を望んだ。桓雄は、風・雨・雲を支配する神を従えて太白山に降りて世界を収めた。この時熊と虎が桓雄に人になりたいと願い、桓雄はニンニクとヨモギを100日間食べ太陽の光を見るなと伝えた。虎はこれを守れず人になれなかったが、熊は女性になり桓雄と結婚し男児を授かった。これがまさに、檀君王倹(タングンワンゴム)です。檀君王倹は、後に我が民族最初の国である古朝鮮を建国した。
(挿絵)『 檀君 朝鮮半島の建国神話 』 キム セシル作、チェ スッキ絵、かみやにじ訳、 少年写真新聞社
神話をそのまま信じてもよいのだろうか?
檀君神話を読んでみると、信じられない内容が沢山あります。例えば天の神の息子桓雄が風・雨・雲を支配する神を従えて降りてきて人間世界を収めたとか、熊が人になったという点などでしょう。
我々が神話に対するとき重要な点は全てが事実では無く、全てが嘘と言う事では無い点です。重要なことはその中から、いかに歴史的事実を探し出すかによります。
一般的に神話は支配者たちの権力が、天から授かった神聖なものであることを強調しています。今の権力は、天から授かった神聖なものであるという内容が、国家が発展して行く中で建国神話として伝えれられるようになったのです。
結局神話は国家が登場する頃の歴史的事実を間接的に反映させたものと言えます。こうした点で世界の全ての社会の神話が同じと言えます。
檀君神話から見る古朝鮮の建国
・桓雄は父桓因に地上世界に住みたいと願った
・桓雄は地上に降臨した
・ある日、熊と虎が人になりたいと訪ねてきた
・熊はニンニクとヨモギを食べ続けたが、虎は耐えられなく途中で逃げた
・熊は女になり桓雄と結婚し息子である檀君王倹を産んだ
・檀君王倹は後日朝鮮民族最初の国を建てた
古朝鮮を建国した勢力である桓雄部族は天の子孫であることを建前に、周囲の部族を統合していった事は推測が付きますね。
熊が人になり桓雄と結婚したというのは、桓雄部族が移住してきて、熊を崇拝する土着の勢力と連合して古朝鮮を建てたことを表しています。
「檀君王倹」とは、祭祀を意味する「檀君」と政治的支配者である「王倹」が合わさった言葉で、古朝鮮初期には政治指導者が祭祀も担当する政教一致の社会であったことがわかりますね。
我々は、檀君神話を通して強力な支配者(郡長)が周辺の様々な部族を統合して国家を建てていった事を知ることができます。このように登場した我が国最初の国家が古朝鮮です。
古朝鮮の発展と滅亡
青銅器文化を発展させてきた古朝鮮は、鉄器文化を受け入れながら勢力を拡大しました。一方で漢が中国を再度統一する過程で中国の情勢は混乱していました。これを避け衛満(ウィマン)が1千余名の群衆を引き連れ古朝鮮に来ました。古朝鮮の準(ジュン)王は、彼らに西の辺境を守備させるようにしました。しかし、衛満は、勢力を育てて準王を追い出して王位に就きました。
衛満の古朝鮮は鉄器文化を通して勢力を大きく育て朝鮮半島南部地方の色々な国と中国をつなげる、中継貿易を通して強くなりました。古朝鮮が強くなることに不安を感じた中国漢王朝は古朝鮮に侵略してきました。古朝鮮は首都王倹(ワンゴム)城が包囲された状態で、約1年間強力に抵抗しました。しかし、支配層が分裂し王が殺害され結局滅亡してしまいました(紀元前108年)
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