2019 早慶戦
09:37 AT ハイパントをチョイスする理由
井坂「ここのハイパントのチョイスの意図ってなんですか?」
岸岡「中盤で負けてる感じもなかったからハイパントかなって。ロング蹴ってもカウンターで同じ位置まで戻されてるだろうからね。どうせ同じくらいならミスが起きやすいハイパントをチョイスするっていう感じ。あとは時間帯かな。」
15:36 AT センタースクラムから左にAT
井坂「ここ左行くんですね。」
岸岡「相手のFBが結構深くにいたからどっちも空いてたんだよねこれ。で、僕がDFのSHを切れば4v3だから左でも問題ないと思ってた。斎藤のパスが速いからそのシチュエーションは割と作れるし。もちろん右の8-9でも全然いいんだけど練習度合いとかを考えて判断はSHに任せてる。」
AT ラインアウトのナンバー
井坂「個人的な考えなんですけど、このレベルくらいになるとラインアウトでALL menとか6menをチョイス出来なくなった瞬間に負けると思うんですよね。獲得が難しい分5menとかに逃げがちですけど、そうなるとATの幅が狭まってくるし、ストラクチャーからのデザインしたATが出来なくなって手詰まりになる気がします。」
岸岡「確かにそういう感じあるよね。」
65:00 AT ラインアウトから1発サイン
井坂「ここのATなんでこの位置で当てたんですか?」
岸岡「1次ATから取り切るサインだったはず。DFが上手くて抜けなかったけど。」
井坂「早稲田って2次とか3次でトライを取ることを考えてATデザインしてるイメージだったんですけどそうでもないんですか?」
岸岡「たまには1発で取れるのもやりたいなって感じだったかな。」
AT 15人制での考え方
高校生「15人制の難しさってなんですか?ATの組み立てとか。」
岸岡「12人制の方が1v1作りやすいけど、15人制でも基本的に考えることは一緒かな。人数多いからボール持った人がそのまま勝手にぶつかることとかはあるから、自分がしっかりコントロールしてどこで誰を当ててBDを作ってどこで1v1を作るかっていうことを考えなきゃいけなくなる。」
DF FWに求めること
高校生「もし岸岡さんがこの試合で慶應のSOだったらFWに求めることはなんですか?」
岸岡「DFめちゃくちゃして欲しい。BDファイトして欲しいし。慶應って基本的にATするよりDFしてる方が強いチームな感じがするからそこで活躍してもらえればいいなって思うね。」
ドロップゴールでのエリアマネジメント
高校生「ドロップゴールを蹴ることでエリアマネジメントをするって言ってましたけど、どういう意味ですか?」
井坂「ドロップゴールって外れてもドロップアウトからのリスタートになるでしょ?もし届かなくてもそこから相手ボールでリスタート。そう考えると普通のキックを蹴るよりドロップゴール狙ってる方が、もしかしたら3点入るかもしれないっていう点でいいと思うんだよね。あとは、相手がドロップアウト蹴ってきた時にもう一回ドロップゴールを狙うと同じことを繰り返すことが出来るから相手が選択を変えない限り無限ループになるし迂闊に奥に蹴り込んでこなくなるから結果的に手前に蹴るっていうチョイスを誘うことが出来るからエリアとしては勝てるねっていう感じかな。」
精神的ダメージの与え方
高校生「試合見ながら慶應の10番のメンタルを崩すって言ってたと思うんですけど、相手のメンタルってどうやって崩すんですか?」
井坂「例えばこの10番だったらキックをいっぱい蹴ってくるから、それがことごとく悪い結果に繋がるようにすればいいと思うんだよね。もちろん簡単なことじゃないし狙って出来る訳ではないけど、事前にわかってるからカウンターの練習めちゃくちゃしておけばダメージ与えられたと思う。もし特定の相手選手がミスをしがちなんだったらその人をターゲットにしたりすることで『やりたいことができない』っていうストレスを与えられるよね。結果として点差が開いてこればそれでストレスも溜まってくるし。一番ダメージ大きいのは点を取られることだから3点を積み重ねていくとかも大事だよね。」
AT ハイパントのメリット
高校生「ハイパントのメリットとデメリットってなんですか?」
井坂「メリットとデメリットってなると難しいね。距離が出ないとかかな。あとはボールを手放すことになるっていうのは戦術によってはデメリット。ロングキックと比較して考えると、さっき岸岡さんが言ったみたいなことが大事になるかな。ロングキックからのカウンターを止められるであろう位置と、ハイパント後にタックル出来る位置が同じならハイパントの方がいいよね。というのもカウンターは相手がBDを作る位置をコントロール出来るからDFしづらいけど、ハイパントなら落下地点がそのままBDの位置になるっていうのが理由。エッジラックからならDFしやすいけど真ん中にラック作られるとDFしにくいみたいなね。そう考えるとBD位置をコントロール出来るのがメリットかな。」
AT 9フェイズと10フェイズの判断
高校生「15人制のATで9フェイズと10フェイズの判断基準ってなんですか?」
井坂「色々あるけど、その次のフェイズでどういうATをしたいかっていうことを考えた上で逆算することが必要。その中でBDの位置はどこがいいとか、相手が順目に回りにくくなるのはどこで当てた時だとかっていうことがクリアになってくると思う。試合中にいきなりそういう風に判断するのも難しいと思うから、イメージトレーニングとか日々の練習での意識とかである程度の型が決まってくると思う。それが出来てから臨機応変に出来るようになると思うから焦らずに。」
DF ラインアウトでスティールするには
高校生「5menだとATは取れる前提だと思うんですけど、DFで競る時はどうすればスティールできますか?」
井坂「基本的にラインアウトって取りたい場所があると思うんだよね。4番目の選手が飛んだほうがBKはATしやすいとかね。そういう相手のラインアウトでの取りたい場所の優先順位を知ることと、相手より前にリフトできるような立ち位置にセットすることが大事。もちろんリフトスピードを上げる練習をしなきゃいけないし、事前に相手チームを分析することも大事だから事前準備がほとんどかな。5menでは特に3番目に立つ選手はDFの時にやらなきゃいけないことが多いからその選手はいっぱい練習していっぱいラインアウト勉強する必要があると思う。」