1vs1のタックル練習は何の為にやるの?

はじめに

タックル練習のためによく行われる1vs1のタックル練習。
タックル練習の定番であるとも言えますね。
日本だけではなく、世界でやられていますし、代表の練習でもよく見かけます。

現役時代、私もタックルの練習として1vs1の練習は行いましたし、ゲーム中心の練習でタックルの練習メニューを考案する前は、タックルの一つの練習として1vs1の練習を採用していました。
しかし、本当に1vs1のタックル練習は効果的な練習方法と言えるのでしょうか?
安全なタックルスキルを獲得できたり、どんな状況でもタックルを遂行できるようになるのでしょうか?

今回の記事では、
・1vs1のタックル練習ではタックルが上手くならない理由
・1vs1のタックル練習は何の為にあるのか?

について書いていきたいと思います。

”1vs1のタックル練習では上手くならない理由”


1vs1のタックル練習では、なぜタックルが上手くならないのかについて考えた時に間違いなく言えるのは、”ゲームの状況と全然違う”、という事です。
タックルというスキルを発揮するときの状況を簡単に整理すると


・タックルは相手の動きに合わせてスキルを発揮しなければならない
・味方と協力し、DFラインを維持しながらATラインに接近してタックル
・下がりながらセットしてタックル
・広いスペースを守りながらタックル
・狭いスペースを守りながらタックル

など、ゲームの中でタックルする状況をいくつか上げただけでも、様々な状況があると思います。

実際にゲームの中で行われるタックルと、1vs1のタックル練習で行われるタックルの場面を比較した時に、大きく異なる事を理解できます。

タックルというスキルはオープンスキルと言われるスキルです。
オープンスキルとは、刻々と変化する状況の中で自分の動きを調整し、味方と協力しながら行うとても高度なスキルです。

タックルができない選手が多いとゲームに勝つのもなかなか難しくなりますし、ゲームを優位に進める上ではとても重要なスキルになります。

そんな重要なスキルを単純な1vs1の練習を繰り返して本当に上手くなるのでしょうか?
ゲームと同じような状況で練習できていると言えるのでしょうか?

個人的な意見としては、ゲームと同じような状況で練習できていないし、ゲームで必要なスキルを身につけることが難しいのではないかと考えています。

それじゃあ、1vs1のタックル練習は何の為にあるのか?

”1vs1のタックル練習は何の為にあるのか?”

ズバリ、安全で正しいタックルスキルを身につけるために行うための練習だと考えています。

つまり、初心者、もしくは、ヘッドダウンしてタックルしたり、跳びこんでタックルしたりする子に対して行うアプローチと捉えています。

熟練者がいくら1vs1のタックル練習を行っても上達しません。
なぜなら、すでにそのタックルパターンはすでに獲得しているからです。
上手くなりたいのであれば、そのパターンを混乱させるような練習をしなければなりません。

同じ状況をいくら練習しても上手くなりません。
ゲームでより良いパフォーマンスを発揮するということは、いかなる状況でも自分の動きを調整し、相手に合わせてスキルを発揮することです。

このように考えるとパスやスローも一緒ですね。
ハーフのパス練、スローワーのスローイン練習。
同じ状況で練習していませんか?

もしかしたら、選手がゲームでタックルできないのは、毎回同じタックル練習をしているからかもしれません。
ゲームで活かせるスキルを獲得していくためには、ゲームと似たような状況で練習する必要があります。

練習のための練習ではなく、ゲームのための練習になるように環境を整えていく必要があると思います。

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