海外ラグビー情報(7/8版)

海外ラグビー情報7月8日版です。

○強力フォワード健在

南アフリカ代表ヘッドコーチのジャック・ニーナバーがTRC初戦となるオーストラリア代表戦に向けたチームを発表した。全体的にURCで状態の良かった選手をワラビーズ相手に揃えてきた印象で、6/2スプリットのベンチも破壊力抜群のフォワードが揃った。

アイルランド代表から代表資格を変更したジャーン・クレイン(マンスター)が4番に入った他、昨年8月以来のテストマッチとなるアム(シャークス)や初めてスタートの座を射止めたリボック(ストーマーズ)、スターデン(ブルズ)など注目の選手がズラリと並んだ。

シーズンを通して素晴らしいパフォーマンスを見せ、昨シーズンのマンスターのURC制覇に大きく貢献したクレインは攻守両面での貢献が光る。昨季URCでのタックル数は全ロックの中で2番目に多く、同1位のマーヴィン・オリー(ストーマーズ→ペルピニャン)と組むセカンドローはこちらも勤勉なオーストラリア代表のパックの前に立ちはだかることは間違いない。南アフリカ代表へと代表資格を変更して初めて迎えるテストマッチ。URCでの状態の良さをテストマッチでも維持し、フランス行きへ向けてアピール出来るか。

4キャップ目にして初めて10番を着けるリボックは現在南アフリカで最も状態の良いフライハーフと言っても過言ではない。昨シーズンURCのファンが選ぶ最優秀選手にも選ばれた25歳はアタックの引き出しの多さが魅力で、攻撃的なキックを織り交ぜながら相手ゴールラインへと迫ることに長ける。このゲームでも切れ味鋭いブルズの両ウィンガーと円滑にリンクして一気にスコアまで持っていくことが期待される。

エスターハイゼン(ハーレクインズ)、アム(シャークス)のペアリングとなったミッドフィールダーは推進力、リンク能力に長ける。世界最高の13番との評価も受けるアムは昨年8月以来の久しぶりのテストマッチとなる。怪我の前と比べるとベストな状態ではないとの本人談もあるが、ワールドカップに向けた彼の現在地は非常に気になるところである。

その他ピーター・ステフ=デュトイ(リーグワン→?)やルルー(リーグワン→ブルズ)などワールドクラスも複数メンバー入りしており、若手たちにとっては非常に頼もしい存在となりそうだ。

個人的な注目は22番のグラント・ウィリアムズ(シャークス)。傑出したランニングスキルでゲームを一気に加速することが期待されるスクラムハーフは昨季シャークスで素晴らしいシーズンを過ごし、満を持しての2キャップ目となる。こちらも絶好調のリボックとのコンビは南アフリカ代表に新しい勢いをもたらすことは間違いなさそうだ。ライナー(モンペリエ)との南アフリカ代表史上最も速いスクラムハーフのリレーも非常に楽しみである。

このゲームのキャプテンは37歳のデュアン・フェルミューレン(アルスター→引退?)が務める。こちらも36歳のベテラン、デオン・フーリー(ストーマーズ)も好調を維持しており、2人のベテランのパフォーマンスというのも注目点となる。

またニーナバーは来週のニュージーランド代表戦に向けた最良の準備のために事前にニュージーランド入りさせる13名の選手も同時に発表した。キャプテンのコリシ(シャークス)やコルビ(トゥーロン→リーグワン)などのビッグネーム中心の編成で、ニュージーランド代表戦に臨む残り17、18名の選手はオーストラリア代表戦のパフォーマンス等を考慮して決定する予定。

なおトレーニング中に怪我を負ったルースヘッドのオクス・ンチェ(シャークス)は検査の結果出場不可となり、代わりにスティーブン・キッツォフ(ストーマーズ)が1番を着ける。キャンプにはU20代表の経験もあるジェラード・スティーンカンプ(ブルズ)が追加招集され、既にニュージーランドに向け発った13名のスコッドに加わる予定。

○エディ復帰後初戦へ

オーストラリア代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズが就任後初のテストマッチとなる南アフリカ代表戦に向けたチームを発表した。

ノンキャップはカーター・ゴードン(レベルズ)、リッチー・アーノルド(トゥールーズ)、ザイン・ノンゴー(レッズ)、トム・フーパー(ブランビーズ)の4名で、フーパーは6番を着けての先発出場となる。

昨季のSRにて素晴らしいパフォーマンスを見せたフーパーは、オーストラリアのPSDTとの評価を受けるなど急成長中。セカンドローとバックローのハイブリッドでもある運動量豊富な彼はレジェンド、マイケル・フーパー(ワラターズ→?)と共にフランカーを務める。強力な南アフリカ代表のフォワード相手にテストマッチでも輝くことができるか注目。

ハーフバックスにはホワイト(ブランビーズ→フォース)とクーパー(リーグワン)のベテランが並び、一貫した軸としての働きが期待される。

個人的な注目はリース・ホッジ(レベルズ→バイヨンヌ)。ユーティリティで知られる彼だが、このゲームでは12番を着ける。標高1350mのロフタスでのゲームということで彼の右足にかかる期待は大きいが、加えて南アフリカのアタックにおけるキーマンのエスターハイゼンを止める役割も担う。イキタウ(ブランビーズ)と密接にリンクしてディフェンス面での貢献も期待したい。

エディのオーストラリア復帰後初戦となるこの試合。ワールドカップに向けてもアウェイの南アフリカの地で良いスタートを切りたいところである。

○南アフリカ代表ーオーストラリア代表戦展望

注目選手などについては既に記載しているので非常に簡潔なプレビューをします。

両国にとってワールドカップイヤー初のテストマッチとなるこの試合。両チームともにURC, SRで状態の良い選手を多く編成しており、若手を中心に非常に楽しみなゲームとなりそうだ。

南アフリカはニーナバーお得意の6/2スプリットの超強力フォワードを編成してきたが、セットプレーを中心にオーストラリア代表のパックが80分を通してどれだけ対抗できるかというのが一つの注目点となる。

オーストラリアのフォワードはキャプテンの2人をスタート8人の中に並べてくるなど、全体的に着実に経験を積み上げてきているメンバーが揃った印象。その中でこの試合がデビューとなるトム・フーパーがエディの期待に応えられるかというのも注目である。一方でベンチには経験的に若い選手が揃っており、後半の南アフリカの畳み掛けるフォワード戦に対応できるかも重要となる。

南アフリカの優秀なカウンターをホワイト、クーパーのベテランはどのように管理するか、リボックの超攻撃的なキックに対しオーストラリアのバックスリーはどのように対応するかなど、キックによる攻防も重要となる。高地ということもありキックの有効性が高まりそうなこのゲーム。いかにフォワードを前に出せるかというシンプルなテーマが鍵を握りそうだ。

○注目のマッチアップ○
アンドレ・エスターハイゼンvsリース・ホッジ
エスターハイゼンの超強烈なキャリーに対するホッジの対応に注目

○その他最新情報

○元イングランド代表で昨シーズン限りで代表を引退したニック・アベンダノンが昨季のトップ14を沸かせたバイヨンヌのスキルコーチに就任へ。

○ウェールズ代表のトマス・フランシスがフランス2部プロD2のプロヴァンスへと移籍。現在71キャップを獲得しており現行のルールの下では今後も代表として選考可能。

○ロンドン・アイリッシュのキャプテンのマット・ロジャーソン、スクラムハーフのジョー・パウエルがレスターへ移籍。大型補強を進めるレスター、各ポジションに有力な選手が2、3名いるような状態に。特にアウトサイドバックスの充実は凄まじい。

○スコットランド代表キャップも持つロンドン・アイリッシュのカイル・ロウがグラスゴーへと移籍。

○補強を進めるブルズ、セールからアッカー・ファンデルメルヴァ、リーグワンからウィリー・ルルーを獲得へ。

○ブルーズからスカーレッツへの移籍が発表されたタイネ・プラムトゥリーがウェールズ代表のワールドカップに向けたトレーニングキャンプに参加へ。

〇ビアリッツが元イングランド代表のジョナサン・ジョセフ(バース)、モンペリエのアウア、ウェールズ代表のリース・ウェブ(オスプリーズ)、ザック・キビリギ(フォース)など複数のビッグネームとの契約を発表。

○イタリア代表のダニロ・フィスケッティがロンドン・アイリッシュからゼブレへと復帰。

○オーストラリアA代表スコッド発表
トンガ代表のオーストラリア代表戦初勝利から50年を記念したゲームを戦うオーストラリアA代表のスコッド25名が発表された。今回選出された25名のうち13名はオーストラリア代表キャップを所持しており、フォーリー(リーグワン)やオコナー(レッズ)などのビッグネームも複数選出されている。対するトンガ代表も代表資格変更で複数のワールドクラスがスコッド入りしており白熱した試合展開が予想される。試合は7月14日にトンガで行われる予定。

○元イングランド代表でエクセターのハリー・ウィリアムズがモンペリエへと移籍。元オーストラリア代表のトル・ラトゥ(ワラターズ)、元サモア代表のロゴヴィ・ムリポラ(ニューカッスル)も彼に加わり、強力なフロントローの補強に。

○セールがイングランド代表のルーク・カーワン=ディッキーと契約。怪我の影響でモンペリエとの契約が解消されていたが、引き続きイングランド代表としての選考が可能に。

○来季(2023/24)のヨーロピアン・チャレンジカップを戦う招待枠の2チームが発表され、ジョージアのブラックライオンと南アフリカのチーターズが参加することとなった。先日発表された新しい国際大会のもとでは十分な機会が与えられない見通しのジョージアラグビー界、そして世界規模のラグビーの発展の面から今回のブラックライオンの招待は非常に意義があると言えそうだ。

○イングランド代表ジョージ・フォードの兄のジョー・フォードがドンカスター・ナイツのヘッドコーチに就任へ。まだ33歳と若く、これからが非常に楽しみな存在。

○テストマッチからの引退を発表している元ウェールズ代表のアランウィン・ジョーンズ(オスプリーズ)と元フランス代表でワールドカップにも出場した経験のあるノア・ナカイタチ(リヨン)がメディカルジョーカーとして来季トゥーロンに加入へ。

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