”ラグビーインド代表監督で得た学び” #10 インドのコーチング事情 その2
日本ラグビーフットボール協会公認 S級コーチの神宮寺です。 今回は2018年にインド代表監督としてアジア選手権に出場した際のスペシャルな経験から得た学びを綴りたいと思います。私がコーチとして得た学びが皆さんのコーチングを豊かにするお手伝いができたら幸いです。
コーチング事情の話 第2話
今回は前回の Vol.9 と違って体験談から学んだことを中心に。
インドでの練習から感じた自分への課題。
その1: 笛の合図が待てない
インドの練習で困ったことは、テクニック系の練習をしてきていないことや、タッチフットのような遊びの練習が多かった影響なのか、学びたい動作にフォーカスしたテクニック系(ドリル形式)の練習をする時、選手が笛の合図を待てずに、どんどん練習をはじめてしまったことだ。
正直な話、練習中の笛があまりにも守れていなかったので試合ではルールを守れないんじゃ!? と危惧した私は、簡単なAD(DEFをつけた練習)を練習に組み込んでみた。 すると、意外にもルールは守れそう。コーチの笛は守れないけど、試合形式ではルールは守れるのねと一安心。
僕にだされた
最初の課題は
”笛を極力吹かない、笛でコントロールしない基礎練習Menu” の作成だ。
その2:コンタクト練習が大嫌い
これもおそらく、タッチフットなどの「ラグビーを自由に楽しむ練習」を中心にやってきた影響だと思われる。
日本のコーチング現場でも、コンタクト練習になったら列の後ろに隠れて全然練習にはいってこない選手もいるけど・・・
(コーチは全部わかってて、徐々に信頼メーターが減っていくやつ)
インドの場合は、いきなり選手達がグラウンドに座り込んで、完全に練習がストップする時があった笑
「ん? 君たち、どうした、どうしたー!?」
「ティータイムには早すぎるよねー?(汗)」
”コーチ・・・ 俺、この練習もう終わりましたよ” 感が凄くて、逆に可愛いくなってくるんだけど、、、 面白いことにゲームライクなコンタクト練習は大好きで、想像以上にファイターになるんだよね。
2つ目の
課題は ”ゲームライクな練習Menu
”
その3:フィットネス練習で本数をちょろまかす
まず、こんな大胆な所業は日本ではお目にかかれない。
例えば、ラインを踏んで折り返してくる設定にした場合、ラインを踏まずに折り返すなどの軽微な反則をする選手は日本にもいるんだけど・・・
そもそも本数を大胆にちょろまかす奴は、そうそういない。
インドで実際に起きたケースとして・・
20m間のダウン走練習 5往復 をおこなった時、3往復ぐらいでスタートラインで立ち止まって、お得意の”僕終わりましたよ感” を出してきます。
それも集団で。。。
(もちろん真面目な選手もいます笑)
選手達 「終わった〜・・・」
私 「えーー、まじ?」
選手達 「ん、、ま、ま、まじです・・」
私 「絶対嘘やん!」
これはね、もう確信犯なんですわ。
次のセットで10往復!と言って、本当にやりたかった5往復は達成したんだけど(真面目にやっていた選手はごめん)これは対策が必要。
前回の100mの折り返しも、90mぐらいで集団で折り返してきたしね。
真面目な選手もいるけど、もしかしたら国民性なのか!?
そうです。 3つ目の課題は・・・
”知らず知らずに走っている(走らざるおえない)練習Menu
”
課題はまだまだ多そうだ。
次回につづく。
学びのまとめ
【インドカルチャーに寄り添った、学びに最適な練習設定】
●笛を極力吹かない、笛でコントロールしない基礎練習Menu
●ゲームライクな練習Menu
●知らず知らずに走っている(走らざるおえない)練習Menu
*Vol.11へ続く
▼コーチング事情について #1 は以下より