#8 拝啓 ラグビー選手さま
活躍しているスポーツ選手というと、スターティングメンバーに名を連ねて華やかなプレーをする姿を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか?
開幕延期から2か月、トップリーグ2021も4節までを終え、明後日からはリーグ戦後半に突入します。
第5節1戦目のメンバー発表の日に、ニワカファンであるマルガオ(筆者)が、今季出場機会のない(少ない)選手に対して想うことを書いてみます。
今季は総合力の勝負
イレギュラーな環境に置かれた今季。
例年より全体練習やトレーニングマッチが不足しているチームがほとんどなのではないでしょうか?
そこへ追い打ちをかけるような過密日程。
熱いコンタクトプレーも魅力のラグビーでは、他のスポーツと比較して選手の消耗も激しいと聞きます。
また、ラグビー選手は筋肉量が多いことから、ケアや休養が十分に摂れないときには、蓄積した損傷が甚大なダメージをもたらすことが想定されます。
リカバリーやターンオーバー、負傷リスクなどを考慮すると、今季は特に【チームの総合力】が優勝の鍵となるでしょう。
まずはトップリーグ2021の大会方式をおさらい
今季はリーグ戦とトーナメント戦の2段階方式で順位が決まります。
その日程は、
・2月第3週のリーグ戦第1節から
3月第2週のリーグ戦第4節までの
4週連続、
1週間のバイウィークを挟んで、
・3月第4週のリーグ戦第5節から
4月第4週のトーナメント戦二回戦までの
5週連続(※リーグ戦各カンファレンス7、8位の場合)
1週間のバイウィークを挟んで、
2週連続で準決勝、決勝と、
マルガオにも容易に分かる過密さです。
さらに、第4節では2試合が荒天によって中止となりました。
関係者のみなさまのご尽力によって試合不成立は免れましたが、対象の4チームにとってはバイウィークが無くなってしまったことになります。
特に東芝ブレイブルーパスは中5日での試合となり、ファンにとっては天を仰ぎたくなる心境かもしれません。
でも、これは予測しがたい事態だったでしょうか?
「ラグビーの勝敗は準備で決まる」
これはとあるトップリーガーに教わった言葉ですが、少し気にしながら各チームをウォッチしていると、この言葉の真意が分かってきます。
今回、10週連続で試合の準備をしなくてはならなくなることを想定したのはいつか?
週間天気予報が雨マークになったときから?
この日程が提案されたときから?
開幕戦が延期されたときから?
大会方式が決定したときから?
・・・いや、きっともっと前から。
賢いスポーツだもの、おそらくどのチームもこの事態を想定して、連戦になった場合に備えてチームを作りメンバーを編成してきたはず。
順位を決めるのはプレーオフトーナメント
第4節までの出場選手やプレー内容を見て一喜一憂しているファンもいらっしゃるでしょうが、「チームがリーグ戦をどのように捉えているか」という視点から前半の戦い方を冷静に振り返ってみたとき、その印象に変化が生じるかもしれません。
リーグ戦前半の対戦相手との相性を見てメンバー調整しているのかも。
リーグ戦では6位以内を勝ち取ることを目標にしているのかも。
例年なら全体練習やトレーニングマッチで習得を図っていた面を試合を通して強化しているのかも。
真の主力を温存して若手選手の育成を図っているのかも。
選手のコンディションを考慮して出場時間数を抑えているのかも。
戦術のキープレイヤーを敢えて出場させていないのかも。
プレーオフトーナメントに注力することを考えたとき、そういうあざとさは重要な戦略だとマルガオは思うのです。
大会方式に応じた戦い方をするのは勝者の定石。
リーグ戦前半の戦いぶりにRWC2019覇者のリーグ戦の戦績を重ねてみたら、各チームの戦局が色を変えて見えるのです。
総力戦で後半を勝ち抜く
今季、まだ出場機会の無いのは、
①リハビリテーション中など試合出場にあたりコンディションが十分ではない選手
②出場選手と比較してプレーの状態が整っていない選手
③戦術上の理由で出場のタイミングを見計らっている選手
なのだと推測します。
①や②の選手のコンディションが万全になれば戦力の強化につながりますし、③の選手が投入されたときのチームの爆発力を想像しただけでワクワクします。
このような未だに出場機会のない選手こそ今季の優勝の鍵を握っていると、その選手たちがチームを支えてくれていると、マルガオは本気で思うのです。
間違いなくチームに貢献しているから、胸を張ってほしい。あなたたちがチームの強さを引き出しています。
また、ここまで勝ち点を重ねることができていないチームもあります。
応援している方はヤキモキしてしまうでしょうが、わたしたちファンがチームや選手に与える影響は決して少なくないということを忘れずに、選手の戦意高揚に寄与したいですね。
ラグビーは15人制?
マルガオの答えは、NO!!
・・・もちろんルールが分かっていないわけではなくて。
ベンチメンバーもノンメンバーもリハビリテーショングループも。
もちろんコーチングスタッフやマネジメントスタッフも。
チームのファンや企業母体に至るまで。
あらゆる立場の人が、それぞれの役割を認識してチームに貢献する。
その貢献を、お互いが認識してリスペクトする。
そうして、たくさんの人の想いを背負ってフィールドでプレーしているのが「15人」なのだと思っています。
そして、全ての基盤となる協会も含めて、それぞれが最適な距離でコネクトしてラグビーフットボールという競技をより上質なものにしていくのだと思います。
好プレーを生むものとは
例えばスクラムでペナルティを勝ち取ったとき。
対戦チームを分析して再現してシミュレーション相手となったノンメンバーの凄さが見えてくる。
例えばラックの攻防に競り勝ったとき。
優れたボールキープやディフェンスでメンバーを鍛えたノンメンバーのスキルが見えてくる。
粘り強くフェイズを重ねて相手のペナルティを引き出したとき。
ひたむきにリハビリテーションに取り組んで味方を鼓舞した仲間が見えてくる。
ほとんどの好プレーを生んでいるのは、緻密なプランに基づく練習。
その練習を可能にしているのは、優秀なノンメンバーです。
そう考えるようになってから、時折中継に映るノンメンバーを見つけるたびに、そのチームの選手層が透けて見える気がするのです。
全ての人に拍手を
そのトライが決まったとき。
試合開始から遡ること数十時間、数百時間、数千時間の、本当に多くの人たちの貢献が、わたしたちにガッツポーズをさせているのだと想像してみる。
ラグビーって、そういう素晴らしいスポーツなのです。
拝啓 ラグビー選手さま
いつも感動をありがとう