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書籍紹介「これまでになかったラグビー戦術の教科書」

スポーツアナリティクスやアナリスト、分析について参考になると思う書籍や情報誌を紹介していきたいシリーズです
▪️絶賛発売中なので、ネットショップで購入してほしい一冊

今回は私の専門競技でもある「ラグビー」に焦点を絞った書籍です。
しかし、著者の井上氏の学ぶカテゴリも様々な競技から広く学んでいるため、特にサッカー関係者などは共感できる一冊ではなかろうか。
第5章では「ラグビーの戦術(分析)的な見方」という内容になっており、ラグビーにおけるアナリスト的視点で、どんなゲーム分析、スカウティング分析をしているのかが垣間見れる。

▶︎「これまでになかったラグビー戦術の教科書」 井上正幸 著

はっきり言うと、ここまで「ラグビー」を、そして「戦術」言語化されていることにビックリした一冊です。ラグビーって複雑な部分も多いので、ここまで言語化できて表現されていることに感服です!
ラグビーの基礎的戦術から始まり、フットボールの歴史から構造的にフットボールや戦術を紐解き、各年代や地域における特徴なども紹介され、よりラグビーをわかりやすく理解できるのではないか。
原理原則とかなり詳細な戦術の説明は、昨年開催されたラグビーワールドカップ2019日本開催の内容も織り込まれ、こんな本は今まで読んだことない。ワールドカップでの日本代表や各国の試合を本書を読み、戦術を理解しながら見たら、よりおもしろく見ることができると思います。
構造を理解する上で非常に学びになるが、無理やり指導されているチームに4ポッドなどを採用する必要はありません。そのチームに合った、選手個々が生きる戦術を選択してほしいと思います。

「状況判断」と「意思決定」の違い

私が本書の中で、一番刺激の強かった内容である。
試合中はもちろんのこと、普段のトレーニングから「状況判断」と「意思決定」は非常に重要なファクターです。
指導中にも「状況判断をしろ!」「意思決定してプレーしなきゃ!」なんて言ったことありませんか?
でも 本当にその使い方で合っていますか? 
私はそこが曖昧でしたが、本書で明確に理解することができました!

現役のトップリーグ選手ですと
「意思決定」が早く、上手なのは、キヤノンイーグルス所属の 田村 優 選手ですかね。特にNECグリーンロケッツ所属時代に、その意思決定ぶりは試合中顕著に確認することがありました。チームで決めた戦術が試合中、完遂できることなんてほとんどありません。そんな中、彼はFW選手に声をかけて、指示を出し、ブレイクダウンからの再構築を何度も試みる姿はよくありました。彼の中で何度も試合中に意思決定を繰り返しながら、トライまでの戦術をチームに伝えていたようです。
「状況判断」の早さといえば、2〜3手先も読みながらプレーする神戸製鋼コベルコスティーラーズのティモシー ラファエレ選手ですかね。

※完全に予断ですが・・・
リンク先検索のため、神戸製鋼コベルコスティーラーズのホームページを久々見ましたが、すごいですね!かっこいいし、楽しい!

さっ ティモシーの話に戻りますが・・・
オープンスキルなラグビーという競技の中で、最適解を常に判断し、プレーしています。以前トレーニングで私自身がDFに入ったことがありますが、彼の判断力と、1次攻撃だけでなく、その裏にある2次、3次攻撃までを予測した状況判断にはビックリさせられました。今までには感覚を味わい、感心しました。

シェイプ、ポッドとはなにか?

現代のラグビー戦術を語る上で、外せないファクターの2つです。
本書を読めば、シェイプとポッドのすべて理解できるのではないでしょうか!
日本ラグビーにおいては、本書にもあるように2015ラグビーワールドカップ日本代表のヘッドコーチだったエディー・ジョーンズ氏サントリーサンゴリアスで採用し、当時圧倒的なシェイプでトップリーグを制覇しました。
当時、まだ日本ラグビー界にはシェイプ・ポッドなどという用語は聞かれず、それでもその前から著者の井上氏が最先端の情報をSNS上で投稿してくれていました。私はそこから多くのことを学ばせてもらいました。

実際、私が日本ラグビーで初めて「シェイプ」というワードを聞いたのは、2010年かその2〜3年だったと思います。教えてくれたのは、スーパーラグビーのクルセイダーズのHCであるレイザーことスコット・ロバートソンでした。

しかし、当時のシェイプは今の構造と少々違うものでしたが、非常に効率的に意思統一してチームが動ける戦術ではありました。近年の彼のHCとしての結果をご覧いただければ言うまでもないですが、レイザーのコーチングは非常に学びが多く、素晴らしい時間をともにできました。

ラグビーを理解する一冊

こんな感じで、本書では現代ラグビーにおける戦術をしっかりと図も用いて構造的に理解できる一冊となっています。また、トレーニングメソッドも書いてありますので、自チームに落とし込みながら、または今後の観戦のゲーム理解を深める事前勉強として、良いのではないでしょうか。


ラグビー関連の書籍を購入されるのなら、まず最新の1冊を!

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