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楕円球の青春 グラウンド整備

こんばんは。

関西でラグビーをしていた私は、関東のグラウンドでのラグビーは初めてでした。

関東ローム層。

地理でしか聞かなかった言葉。

まず、スパイク。
高校までは、スタッドがネジ式のスパイクを履いていました。結構速くすり減ってしまい、変えずに履いているとすり減りすぎて、交換できなくなります。(同じ経験をした人も多いのでは)

関東では、スタッドが中々減らない。ビックリでした。そして、スタッドは、ネジ式ではなく、打ち込み式。釘でスタッドを固定させます。運動具屋さんが週末に寮に来られて、打ち替えてくれました。

スタッドが減らないのは、土が細かい砂のようだからです。関東ローム層。恐るべし。

春シーズンの練習試合など、砂煙がすごくて。大変でした。今は、人工芝なんでしょうね。
乾くとパサパサ。関東ローム層。

ジャージやパンツも雨の日に活動したら、砂が入り込んで、土色が抜けなくなります。

雨の日といえば、グラウンド整備。

朝起きて、昨夜の雨が上がっていたら、さあ、大変。
A大学ラグビー部では、雨が降っていなかったら、グラウンドに水溜りがあってはいけないのです。理不尽と言えば、理不尽。でも、やらねばならない。

グラウンドの水溜り。それは、特別練習を意味します。siboriです。

その日は、授業は出席できません。1年総出で水抜きです。

手慣れた附属高校出身の部員は長い棒を持ってきます。これを、水たまりの真ん中に立てて、地面を突いていくのです。ずんずんと突いていくと、あら不思議、穴が開いて、そこに水が吸い込まれていくではありませんか!

大きな水たまりだと、ゴゴゴーッと音が鳴るように、吸い込まれて、水たまりは消えて無くなります。初めて見ました。関西では見たことありません。ある意味、痛快。

関東ローム層、恐るべし。

1年生は、どんなひどい雨でも、練習前に晴れていたならば、水たまりのないグラウンドを出現させていました。スーパーマンでした。

さらに、秋には、公式戦が、練習で使っているグラウンドであるのです。

夜中までかかって、ピカピカのグラウンドを整備しました。

出場した先輩方も、「凄いグラウンド。」と言ってもらったように覚えています。

というふうに、1年生はグラウンド整備に命をかけていたのでした。

もう一つ命をかけていたものにボール磨きがあります。

今はゴムのボールですが、40年前は、革のボールでした。
1日練習で使うと、汚れます。
それを、泥を拭き取って、唾をつけて磨くのです。
なんか、変な行為です。でも、当時の部員さんは、何の疑いもなく、おそらく、日本全国、どこの部員さんも、していたと思います。唾で。気持ち悪い。

でも、光るんです。革が光沢を発して。不思議です。

練習の後は、唾が出ないんです。乾き切って。
そこで、ジュースやら、ラーメンやら、食べて、唾を出します。

翌日の練習前に、20球ほどあるボールの中から、よく光って、形のいいボールを5個、並べておきます。「出しボール」です。本日の一番いいボールたちですね。

3年生が、練習用に、それを拾い上げていきます。セーフです。1年生の頑張りが、届いたようです。

最悪な事態は、「出しボール」を蹴られること。磨き方が、足りない!という意思表示です。練習前にsibori確定です。練習に身が入りません。練習後のことを考えると、練習に身が入りません。体力温存に走る1年生も出てきます。

一個だけ蹴るのではなく、串刺しで蹴られたこともあります。ボールは飛び散りました。無残です。

全体練習が終わった後、3年生が、キャプテンフラッグに走り寄り、「ピュイッ、」元気のない、聞こえるか聞こえないかのような笛を吹きます。sinoriの始まりです。

この後は、またのココロです。はいちゃらばい。

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