《日経平均とNY市況》
※中級者、上級者向けの記事です。
【日経平均】
日経平均株価は、欧州中央銀行理事会(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)との金融政策の相違から、対ユーロでドルが買われた流れを受けて、対円でもドルが強張ったことから買い優勢の展開となったが、米中貿易摩擦に対する警戒感から上値も重く、上下動しながら推移して前日比+113円高で引けた。
原油相場は、イランの核合意問題を巡って米国がイランへの制裁を強め、来週のOPEC総会で協調減産を取りやめるのではとの観測から下押ししていた。価格は週足21本移動平均線にサポートされ、今週の陽線でストキャスは上昇クロスし、下押しが終わったようにも見える。
【NY市況】
14日NY債券市場は、欧州中央銀行(ECB)が14日の理事会で量的緩和を今年9月以降は、月間150億ユーロに縮小して年内に終了する方針を決定し、ECBが初めての利上げに踏み切る時期の予想は19年9月と、市場の予想より長い期間にわたり低金利を維持する可能性を示唆したことを受け、指標となる10年債利回りは2.946%に低下。
為替市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が前日に利上げを決定して金利見通しも引き上げることを決定、これに対して欧州中央銀行(ECB)はこの日、マイナス圏にある政策金利を少なくとも来夏まで据え置く方針を明言し、量的緩和策の年内打ち切りも併せて発表したが、金融政策の正常化で先行する米国との差が意識され、ユーロが対ドルで急落するとドル円相場でもドルが買われ110円台後半に上昇した。
また、トランプ米政権が翌15日にも発表する予定の対中貿易制裁で、追加関税の対象品目と規模が当初予定を下回る見通しと報じられたことも、ドル買い材料となったようだ。
株式市場は、米商務省が発表した5月の小売売上高は前月比0.8%増と、2017年11月以来の伸びを記録して米経済指標の底堅さを示し、加えて欧州中央銀行(ECB)が市場の予想より長い期間にわたり低金利を維持する可能性を示唆したことを 受け、S&P総合500種指数とハイテク株の多いナスダック総合指数が上昇する一方で、ダウ平均株価は小幅安で引け た。 ECBの声明を受けて米国債利回りが低下すると、金利動向に敏感な金融株はS&P主要11セクター の中で下げ幅が最大となった。
金相場は、トランプ政権が中国の知的財産権侵害に対抗する貿易制裁関税を、早ければ15日にも発動する方向で準備を進めているとの報道を受け、中国外務省高官は14日の記者会見で、貿易摩擦をめぐる米中合意が全て失効することになると牽制して対決する姿勢を見せていることから、二大経済大国の間で貿易摩擦が激化するのではないかとの懸念が再燃し、安全資産としての金に買いが入りプラス圏で推移。
原油相場は、来週の22、23両日にウィーンで開かれる石油輸出国機構(OPEC)総会とOPEC加盟・非加盟国会合を控えて、この日は持ち高調整の買いなどが入り4日続伸となった。また、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が、OPEC総会では妥当かつ穏やかな合意に達する見込みと発言したとの報も、投資家に安心感を与えたようだ。
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