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『カーテンとクリエイティブ』日記 250210
✦ 序文
仕事の執筆をほっぽって趣味の短編を書いていたら、スマホが鳴った。
電話に出ると、以前訪れた家具店であった。
「こちら流星さまのお電話でお間違いないでしょうか」
「はい、流星ですが」
「以前、当店でカーテンをご注文いただいたと思うのですが……」
確かにそうだ。新居の自室にはまだカーテンがなかった。
ちょうどよい品を探すため、駅前の家具店をうろうろと品定めする日々がここのところ続いていた。
家具が好きな私の部屋は、古木の机やアンティークの棚などで構成されており(しゃらくせぇヤツ)、ニトリやIKEAも悪くはないのだが、前述した家具たちと並べるといささか安っぽく見えてしまう。無印良品のレースカーテンはなかなか良かったが、レースではなく厚手のカーテンを欲していたので断念。
最終的には、とある家具のセレクトショップにて、麻の風合いのいいカーテンを見つけ購入した。こちらはオーダーカーテンだったので、自室の窓の大きさに合わせて生地からカットしてくれるらしい。発注から配送まで2週間ほどかかるとのことで、その日は帰宅した。
そしてようやく配送されるのが、今日なのであった。
「そちらのカーテンなのですが……」
妙に歯切れが悪い。
「こちらのシステムの手違いで、発注の手続きが完了されていなかったようでして……」
ア~~~~~~!!!!!
要約すると、もう2週間かかるとのことだった。
電話口では、店員さんが繰り返し謝ってくれている。
こんなとき、あなたはどう考えるだろう。
私は、
「どう言えば、この人にとって幸せなストーリーを描けるだろうか」
と考えてみる。
単に「いえいえ大丈夫ですよ」なんて言っても、店員さんは納得しない。
その場では「ありがとうございます」なんて言ったとしても、受話器を置いたら「あぁ、やっちゃったな」と気は沈んだままで、退勤して着替えて職場を出ても「ミスしちゃった」と肩を落としながら帰路につくこととなり、シャワーを浴びて床についても肩の荷は降りず、翌日の通勤経路ですら足取りを重くしてしまうのだ。(考えすぎである)
そんな未来が、私の発言如何で変えられるというのなら、変えたい。
さぁ、腕の見せ所だ。
耳で店員さんの謝罪を聞きながら、頭ではなにか手がかりはないかと、購入した日の記憶を掘り返す。
そういえばあの日は、購入手続きをタブレットで処理していた。以前にその店で買い物をしたときには使っていなかったタブレットだ。尋ねてみると「ちょうど今日からタブレットで手続きすることになったんですよ~」と困り顔で話していた。
これだ。
「タブレットの導入で皆さんも大変だったでしょうし、大丈夫ですよ!」
「あぁ、お気遣いいただきありがとうございます~!」
伏線回収、完了。
「大丈夫」の言葉に「タブレット云々」の根拠が加わり、納得感が増す。これにより店員さんは「本当に気にしてなさそうだ」と安堵することができただろう。ミスをした事実に凹んでも、気遣いに触れたことでちょっとは回復するかもしれない。
そうして私は「いい仕事をした」とでも言いたげな顔をしながら、電話を切るのだった。
私はこの一連の言動を、とても『クリエイティブ』なものだと考えている。
しかし、理解されることは少ない。えーっ。
まぁ言葉の意味なんて、人によって違って当然なので、別にいいんですけどね。
私にとって『クリエイティブ』とは、前提を疑い、そこに潜む課題を見つけ、解決する能力のこと。
上記の話でいうと前提とは、「いえいえ大丈夫ですよ」と言ったら店員さんは納得する、という点。これを「マジで納得すんのか?」と疑うことで、第一段階クリア。
次に課題。ここでは、「大丈夫」という言葉に根拠が足りないと気づけたら、第二段階クリア。
さらに「タブレット」という手がかりからフォローできたら、解決! クリエイティブ発揮!
私は腐っても作家、つまるところクリエイターなので、仕事だけでなく日常生活でもクリエイティブ精神は意識するようにしている。
まぁ、クリエイティブ論についてはまた機会があったら話そう。
で、なんで急にこんな話をしたのか。
✦ はじめてのnote
はじめまして、流星イチルです。
短編作家 / 映像作家 / BGM作曲家 / 謎解き作家 / Vtuberです。
YouTube → https://www.youtube.com/@RueSay_jp
Twitter (旧X) → https://x.com/RueSay_jp
以前までは、PIXIV FANBOX にて記事を公開していました。
なぜか。私は本業こそ作家でありますが、ネットでの肩書はもっぱらVtuberです。そしてVtuberが記事を投稿するWEBサイトといえば、PIXIV FANBOX なのです。
以上が、前提です。
ただ運営するうちに方針が変わっていくと、私は前提を疑い始めました。
日記を主なコンテンツとする見通しで開設したFANBOXでしたが、本業が作家ゆえ、短編や随筆、特に趣味である短歌の投稿は増加傾向にありました。
すると、日記の記事と著作の記事が入り混じってしまって、どうにも読みづらい。私の運営方針とFANBOXの仕様が微妙にズレてきたことに気づきました。
そこで、このnoteです。
UIのシンプルなFANBOXに比べて、noteは利便性が高いです。
例えば、記事の内容にあわせて目次を作れます。また記事内で有料エリアを指定できます。そうして書いた記事をジャンルごとにフォルダ分けできます。
これなら、日記は日記、著作は著作でまとめることで、見やすく整理できます。また「無料プランの人にも序文だけ読んでほしい」みたいな公開の仕方も可能です。
といったところで、FANBOXの流星イチルの記事が抱えた課題は、noteでなら解決できそうな様子なのでした。
これもまた『クリエイティブ』。私はnoteを試してみることにしました。
✦ ひとまずの運営方針
始めてみたものの、まだお試し期間です。
しばらくは有料プランは設けず、無料のみにする予定です。
(無料の記事を後日有料プランに再設定する可能性はあります)
メインコンテンツは、日記です。
毎日、数行ほど、日々の機微を記していく予定です。大したことは書けないかもしれませんが、前述の通り記事のフォルダ分けが可能になったので、読みたくない人はスルーしてねの気持ちで、雑多なこともざかざか書いていこうかなと思います。
またこれは本移行後の話ですが、著作の公開も実施します。
FANBOXに公開済みの諸々もこちらへ移行予定ですので、FANBOXが閉鎖しても読めなくなることはありません。
また考えが変わったり進展あったりしたら、記事にします。
ひとまずはこんな感じで、よろしくお願いします。
✦ 今日聴いた曲
かわいっ。
Kaiさん、昨年の『ラプラスショコラ』からちゃんと聴き始めたのだけど、さらにパワーアップしてきたなあ。
コードが躍るよう。すごい。こういう刻み方ってどこで習ってくるんですか。
あと相変わらず、音がぜんぶかわいい。くれ。どのシンセ? SERUMで作れます?