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エニハンレイズと戦おう(Razz編)

先日のRazzの一場面。
私がTでbring-in、6か7人卓で他の人たちもそこそこローカードだったもののもう一人Tを見せている人がいる。ショートだけど相当守んないといけなさそうだなぁなんて考えているとなぜかウォーク(!)。
知り合いなのをいいことにマナーガン無視で右隣の人のハンドひっくり返すとなんと223!
そこから5分以上スチールの重要性について説教が始まるのでした…


Studゲームでは3rd(最初の3枚)の時点で弱いカードを見せている人はbring-in(以下BI)としてほぼ罰ゲームに近いものを払わされ、しかもアンティをスチールしに来る人からの攻めを受けなければなりません。Stud hiやStud8であれば2を見せている人がBIしていても後ろの2枚がペアだったりロードローだったりでまだ気持ちよくディフェンス(なんならレイズ)できるレンジが残っています。一方Razzは弱いカードを1枚持っているだけでレンジキャップされるのでKを見せている人と8を見せている人がいたとき、必ず8側がレンジ的に強いことが確定します。
例えば全員順番に降りてBIした人と2人きりになったとき、お互い同じフェイスカードでもない限り、ルール上あなたは必ずレンジ優位であり、ものすごく参加レンジが広がりそうだということには気づくでしょう。こういったときによくany2などと言って後ろの2枚がなんでも参加する状況が発生します。今回はこういった状況について深堀りしていこうと思います。


スチールのコスパ

NLHのようなフロップゲームと形式が違うので軽くゲーム性のおさらいから始めます。
Studゲームのよくあるブラインドとして、
ante:BI:completeの比率が
1:2:5~8
といった感じの構成で参加人数は6~8程度の全員ante制になっていることが多いです。
弱いフェイスカードの人はBIかcompleteか選択できますが先ほど述べたRazzのレンジの話も踏まえてBI固定でいいでしょう。
このときスチールを狙いにいくと既にanteが6~8、BIも込みでポットが大体8~10くらいに対してcompleteが5~8くらいですので少なくとも2回に1回も成功すれば得です。
スチールするときはBIしている人に対して必ずレンジ優位(≒勝率は50%以上ある)です。
あなたの勝率は50%を超えていて50%成功すれば十分なガチャができるよ、なんて言われたらやらないのはもはやポーカーに対して失礼でしょう。

相手が32Aの時のディフェンスの目安

というわけでBIしてウォークで終わるなんて甘い世界は存在しないことになりました。ディフェンスする準備をしましょう。
広いレンジに対して自分のハンドが守れるか判断するのは難しいので、一旦の目安としてナッツである32Aに対してディフェンスできるかを考えます。
仮にante1×7人,BI2,complete6の比率のブラインドとします。必要勝率はBIとの差額4払って1×7+6×2=19のpotなので21%の勝率があればいいようです。多少人数等の条件をいじって試してもらえればと思いますが必要勝率が25%を超えることはそんなにありません。広いレンジに対して21%を計算してしまうとゴミが結構含まれるので今後の議論で流用するために25%をボーダーとしましょう。
他のフェイスカード次第でEQは多少変動しますが細かいところは無視していくつかボーダーラインの例を挙げてみました。
T98:32A≒27%
JT9:32A≒20%
J87:32A≒27%
K65:32A≒26%
887:32A≒25%
998:32A≒22%
T以下3枚は降りれないようです。
JだけではギリギリアウトでJ8くらいから。
6以下2枚あれば絵札持ってても大丈夫。
ペアの場合8以下2種ぐらい、99はアウト。
一旦最強ハンドに対して戦えるハンドを羅列してみましたがこれでどれくらいのレンジになっているでしょうか。
32A~T98→34.8%
J2A~J87→8.1%
KorQ+6~A→8.7%
AA~88→6.1%
レンジ全体の50%超です。
冷静に考えれば必要勝率25%ということは4回に1回程度しか勝てない微妙なハンドで渋々守らないといけないわけですが、それでもナッツ見え見えの相手にもレンジの半分くらいはオッズコールしないといけないということです。

any2の時のディフェンスの目安

先ほどのハンド群はとりあえずany2相手に戦えること間違いなしでしょう。NLHと違って相手のハンドとのドミネイトのような関係性がないので32Aに対してディフェンスできるなら他のハンドに対しても抵抗できます。
(NLHだとT9sはAAに対して23%程度EQがあるものの、AAより弱いTTに対して16%と勝率を落としてしまう相性関係?があります)
相手がany2と仮定するとどれくらい広がるでしょうか。
まず相手のフェイスがAとして後ろ2枚がどの程度になるか調べてみると、
後ろ2枚がT以下3枚である確率は
10C2×4^2/51C2≒45%
これにそこそこ強いペア系(55Aとか)を混ぜたぐらいがany2のレンジ上位半分といえます。
ということで一つの目安としてフェイスがAの人からの強そうなスチールがきたってせいぜいTドロー程度と見積もることにしましょう。
あとはEQ計算機とにらめっこの時間ですが、基本的に相手の一番大きい数字より低い数字を2枚持っていればほとんど必要勝率を満たします。any2に対してはTと見積もることにしたので9以下2枚持っていればギリギリ守れます。
相手のフェイスがJならT9とかでも守らないといけません。
KT9:J2A≒32%程あります。
こんなに勝てるのか半ば疑わしいですがNLHのAQvsAKとかでもAQが3回に1回も勝てているのかよくわかりません。不思議。

3rdおまけ

any3の平均がTxxとかローペアです。
T以下3枚→35%
AAx~88x→10%
EQ高そうなのを上から選ぶと大体これくらいが上位50%ライン
例えば最初に話した223だかなんだかは余裕で平均より優れたいいハンドです。
any2側が日和ってちゃどうしようもないですがせめて上記のレンジくらいは自信もってスチールしましょう

4th以降おまけ

BI vs any2の場合4th以降お互いのEQ分布については慎重に検討しながら進める必要があります。
例えば、4thでBIがK7(xx)、any2側がQ2(xx)とすると、EQは一気に拮抗します。BI側はほぼローカード3枚確定に対してany2側はまだ絵札やペアを抱えているケースがあるのでフェイスが強くても安易にレンジベットはできません。
広くディフェンスする、とはいってもほとんどの人は適正より狭いレンジで戦っていると考えられますしその場合BI側がもうEQ的に捲ったケースすら多々あります。
4th以降自分に都合のいいカードが落ちて、相手により大きいカードが落ちたような場合、any2側にトラッシュハンドがあることを忘れずにしっかりとバリュー兼プロテクトを打っておかないといけません。
こっちもまだKだしなあなんていって安易にチェックしないようにしましょう。

目安ですが
4thで
Jドロー+の確率が大体47%
8ドロー+の確率が大体20%
5thで
9完成+は20%、
T完成+でも30%程度です。
相手の強すぎるフェイスにこっちがビビってるときに、相手は相手で後ろ2枚のごみを隠すのに必死なわけです。
運悪く相手が死ぬほど強いケースは諦めて過剰に恐れずアベレージと戦いましょう。

5thなら相手より1つ強くなれるドローがついていると大体降りられません。(6thですら相手のフェイス次第とはいえほぼこの目安通り)
例:5thで相手が8432Aに対してこちらが7654Xの場合23%
5thなら相手のフェイスにローカードが並んでいても平均的には9よりずっと弱いと見積もって8ドローは粘るイメージでプレイしましょう。
(9ドロー付近は相手のペアローにEQが負けているケースやEQ実現の難しさを議論するのが面倒なので深くは言及しません)

まとめ

本記事の復習です。
Studゲームはスチールのコスパがいい
RazzはBIした人がレンジキャップされている分スチールが簡単
ディフェンスのための必要勝率も25%程度なので広くディフェンスする
any2は大体T以下3枚として扱う
8以下2枚(or相手のフェイスより小さい数字2枚)でディフェンス

参考資料
FLゲームうまくなるにはEQを調べまくりましょう。
https://www.cardplayer.com/poker-tools/odds-calculator/razz


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