見出し画像

【トレード戦略】ブレイクアウトはなぜ起こる?VCP/base breakout

はじめに

ウィリアム・オニール氏やマーク・ミネルヴィニ氏は米国株投資において偉大な功績を残したレジェンドです。ミネルヴィニ氏は今も現役で、他の追随を許さないパフォーマンスを毎年叩き出しています。

オニール氏はベースと呼ばれる保ちあいからの強い上昇を、ミネルヴィニ氏はVCPと呼ばれるボラティリティの収縮と出来高の減少を繰り返す時期からの強い上昇を、それぞれ得意な戦略としています。

両氏の投資戦略に共通する点は多くありますが、

  1. 保ちあいからのブレイクアウトで大きなリターンを得る

  2. このブレイクアウトを仕掛ける機関投資家の動きに沿って投資戦略を組み立てる

が非常に大きな共通点です。

図解すると、下記の図(nextbigtrade.com様からの引用)左下のstage1からstage2に移行するタイミングでエントリーを行って利益を出すことを目指します。この移行のタイミングをブレイクアウトと呼び、トレンド転換の重要なポイントとして多くの投資家から意識されています

筆者解説
引用元:https://www.nextbigtrade.com/stage-analysis/ 

私も両氏の知見を書籍から得て、また同様の戦略を持つ方々と交流して理解を深めてきました。しかし成功することもあれば、もちろん失敗することも多くあります。

この投資手法で精度を高めていくには、自分が何をしているのかを理解した上で取り組んでいく必要があります。

そこで今回はブレイクアウトが起きる時の背景はどのようなものなのか?そしてそのときどんな動きが起きているのか?ということについて、理解を深めていこうと思い、まとめることにしました。

今回の教材 『出来高・価格分析の完全ガイド 』

アナ・クーリング著 Pan Rolling社

Pan Rolling社からはミネルヴィニ・オニール両氏の本が出版されています。今回はこの本を使って本テーマを深堀していきます。

(前提)機関投資家の特性

機関投資家は市場を大きく動かす存在です。
冒頭で紹介した2人の賢人は、機関投資家の動きをできるだけ早く察知してブレイクアウトの上昇に飛び乗ることに成功しました。

この機関投資家について、リチャード・ネイ氏が8つの法則で特性をまとめています。

  1. 機関投資家は、安く仕入れ高く売ることで利益を得る商人のようである

  2. 機関投資家は相場の中で何度も①を繰り返す(短期・中期・長期)

  3. 機関投資家はメディアを利用して需要と供給を増やして取引に活かす

  4. 機関投資家はメディアを利用して大量に売買する

  5. 機関投資家は様々な情報を使って一般投資家をふるい落とし、十分な株を手にする(複数回にわたって)

  6. 機関投資家は様々な情報を使って株価を劇的に上昇させ、一般投資家の関心を惹きつけながら売り抜ける(複数回にわたって)

  7. 機関投資家は買い集めた株を売り抜けるのに時間を要する

  8. 経済は株価の大暴落の影響にさらされやすく、市場や経済の循環を生み出す

この特性こそがブレイクアウトを理解するに必要な背景になるのですが、少し結論から遠いのでもう少しお付き合いください。

重要なポイントとなるのは、どのようなタイミングで安く仕入れ、どのようなタイミングで高く売るのかということです。このことについてネイ氏はアキュミュレーション(買い集め)で安く仕入れ(恐怖を利用し!)、ディストリビューション(売り抜け)で高く売る(熱狂の最中に!)と述べています。

機関投資家の買い集め→上昇トレンドの開始点
一般大衆の参加→トレンドフォローのステージ
機関投資家の売り抜け→一般投資家が機会を逃すまいと市場に殺到する段階

『出来高・価格分析の完全ガイド 』より

つまり機関投資家は、一般投資家とは反対のことをして仕入れ、売り抜けていく存在だということになります。
それでは彼らの買い集めについて深めていきましょう。

ブレイクアウトを理解する鍵 アキュミュレーション(買い集め)

機関投資家はstage1の部分で徐々に該当銘柄を買い集めます。彼らの目標は仕入れ価格を上回る価格で売り抜くことです。機関投資家が買い集めている場合、必然的に出来高を伴う売買になります。

引用元:https://www.nextbigtrade.com/stage-analysis/ 

機関投資家は買い集めの後に売り圧力が残っているかどうかに強い関心をよせます。なぜならばせっかく買い集めた銘柄の価格が、残っている売り圧力によってさらに下落していくと大きな損失となるからです。(重要)

この懸念を払拭するために機関投資家は、売り圧力がなくなったことを市場の中でふるい落としを通じて確認します

$SHOP 2018-2019

失敗例(赤):出来高が多く実体のある線(売り手がたくさん残っている)
成功例(青):出来高の少ない下ヒゲ足(売り手がほとんど残っていない)

『出来高・価格分析の完全ガイド 』より

上記チャートでは失敗と成功の2例が確認できます。白いトレンドラインを水平に引いてあるのは同一価格帯で試されていることを確認するためです。

売り圧力がまだ存在している場合、機関投資家のふるい落としに巻き添えを食らう形で一般投資家が手放します。この場合失敗例のように出来高を伴いながら大きな陰線として表示されます。

売り圧力が消失している場合、機関投資家のふるい落としに連れる一般投資家が存在しないので出来高が少なくなります。この際、少しの売りにも買いが集まるトレンド転換の状態にあるので、下ヒゲが表示されます。これこそが機関投資家が目にしたい買い集め完了のシグナルなのです。

もし試しが失敗したならば、売り圧力がなくなるまでふるい落としを繰り返します。これがVCPで何度も価格が下がっていく背景であり、ベース内部で売り枯れが起こることがブレイクアウトに必要だとする根拠になるのです。

そして起きるブレイクアウト

売り圧力がなくなったことが確認された後は上昇のきっかけ(決算・ニュースなど)を利用して価格は強く上昇していきます。

$SHOP 2018-2020

ブレイクアウトの背景として売り枯れが重要なのは多くの人が知っていることだと思いますが、その売り枯れに達するまでの過程と背景についてまとめてみました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?