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『無限のリヴァイアス』から逃げ出したい。

誰だよこのアニメ作ったやつ!
ふざけんな!
なんていうもんを世に出したと思ってるんだ全く。

ふぅ…

私がアニメを観られなくなった原因である『無限のリヴァイアス』
この作品のせいでアニメを嫌いになったのではなく、
『無限のリヴァイアス』と比べて面白くないな…
『リヴァイアス』見ればよくね?
そんな思考に一生とらわれることになってしまったという話である。

この作品、しばしば鬱アニメとして挙げられる。
製作陣も豪華なため、アニメ好きなら聞いたことがある人も多いだろう。

人に勧めるにも憚られる、しかし語れる人間がそこらにいるわけでもない。外に出すことが許されなかったこの作品に対する気持ちが、長い年月を経て大きくなり、厄介オタクを作り上げてしまった。

この作品が好きな人間はこう思うことだろう。
お前が俺と同じ言葉で、同じ気持ちで『無限のリヴァイアス』を語るな。このどうしようもない気持ちがわかってたまるかと。分かり手を求める癖に高い理想を勝手に敷いて、近づいてきてくれた人間を遠ざける、そんな自分を不幸に追いやる人間たちが集まってしまうのがこの作品だ。

前置きはこのくらいにして内容に入ろう。


初めに

誰もが思ったことがあるだろう。世に溢れる作品でもこれをテーマに描かれることが少なくない。

凡人は天才には敵わない。
でも凡人らしく精一杯頑張っていけばいいじゃないか。

挫折経験から立ち直られせてくれる素晴らしい言葉だ。本気でそう思う。だがしかし一方で、この作品ではそんなの生きていくための言い訳でしかない、お前の能力が低いのは誰でもないお前のせいだ、努力していようが使い道がないなら必要ない、と正面から突きつけられる。
あまりにも……じゃないか?
監督や脚本家は何を思って、誰に届けたくてこの作品を作ったのか。
想像しても仕方がないが、確実にここに、『無限のリヴァイアス』に救われ、捕らわれた人間が一人いる。
この作品を作り上げてくださり本当にありがとうございます。

キャラクターたちへ

アニメを見返す時間を取れないため、時系列順ではなく各キャラクターに焦点を当てて思いを語ることとする。

【相葉 昴治】

なあ、お前、ファイナでいいのか?隣にあおいという素晴らしい女性がいるのにファイナに行くのか?
ていうかなんでお前そんなモテるんだよ。恋愛面にだけは主人公補正使いやがって。

作中を通して、徹底的にただの一般人として描かれている。
本当に一般人だ。実は特別な力を持っているというわけでもなく、優れた血筋の生まれだったわけでもなく、本当になんの力もないただの少しヒネた青少年だ。
だって決めゼリフが
「なんなんだよ、もう」
だぞ?
なんだよそれ。どこにゴールデンタイムのアニメ主人公に求めるカッコよさを見出せばいいんだ。いっちょまえにカッコつけたかと思えば、つまらない正論を言い、ちょっとしたことで落ち込んで、挙句の果てには女にかまけて職務放棄する。
なんでこんな奴が主人公なんだと、改めて書くとイラ立ちを覚えるほどだ。
それなのに、いつの間にかアニメ視聴者からは、一番気になる存在となっている。

ヒロインであるあおいが彼の性格を
「誰とでもなんとなく仲良くなってしまう」
と表現している。もっと正直に言うのなら、
誰からも嫌われないようにふるまい、誰も率先してはやりたがらないことをいやいやながらも引き受けるため、「とりあえず」で仕事を任せるにはちょうどいい人物といった感じだろう。時間をとって冷静に考えればほかの人のほうが適している、しかし切羽詰まった状況で、最低限はこなせるためにとりあえずで任せた仕事だがわざわざほかの人に変えるという手間をとるほどではない。彼は作中のほとんどすべてをそれで乗り切っている。
第一次ツヴァイ政権でも、ブルー政権でも、第二次ツヴァイ政権でもなんとなーく権威者の側についている。(なぜかいつも包帯を巻いているが…

彼の行動原理は何なのだろう。優秀な弟に自分の能力のなさを突き付けられ、友人にすら劣等感を抱き始める。劣等感に支配されてしまうほど弱い人間でもないが、立ち向かえるほど強くもない。
作中ずっと彼は泣きながら、
俺は俺にできることをやるしかないんだ

と思って行動しているのかもしれない。
だからこそ我々は彼に共感し、視聴に辛さを覚え、ほんの少しの成長を宝物のように喜ばしく思うのだろう。

凡人の主人公とはかくあるべし
凡人である視聴者を置いてけぼりにしないでくれる唯一の主人公である。

作中を通してずーっと少しだけ運のいい一般人を演じてくれている。普通の選択、普通の言葉を言うからこそ最後まで君と一緒にいられたのだろう。

【相葉 祐希】

天に二物を与えられたブラコンの権化
やっていることは正直お兄ちゃんにかまってほしい小さな弟といったところだろう。
小さいころは兄に守られ、尊敬し、自分より先を行く存在だと認識していた。しかしある日、自分は兄より強いんだ、優れているんだと知ってしまった。

弟に追い越された兄の苦悩を上手く描く作品は数あれど、ここまで兄を追い越してしまった弟の心情を描いている作品はとても少ないと思う。
作中で何度も兄をなじり、暴力をふるうが、
どうしてそんなこともできないんだ
もっと堂々としてろよ
  俺よりすごい兄ちゃんだろ
という思いが裏にはあるのかもしれない。

なんにせよ、作中一の功労者であることには変わりがないだろう。
論功行賞があれば第一功は確実にお前だ。


【蓬仙 あおい】

悪いことは言わないから昴治じゃなくて祐希にしときな、ね?
お兄ちゃんのほうと付き合ったら絶対苦労するから。弟君にしとき?

一話目から幼馴染を前面に出している人物だったと思う。
正直あの距離感で来られたら惚れるよな?
でも告白したら
「なーにいってんの、頭でも打った?」
って言ってこっちが真剣な表情見せたら
「え、ごめん全然そんな風に見てなった、どうしよう、気持ちはうれしいよ、本当に。
・・・・・・でも、急なことでわかんないから時間もらってもいい?」
とか言ってめちゃくちゃ関係ぎくしゃくしそう。
多分このリヴァイアスの一件がなかったら昴治とはくっつかなかったんじゃないかな。
正直この後も幸せな家庭を築いている想像は全くできないが

頼れるお姉さん役をすることが多く、ほかの人が狂っていく中あおいは何とか踏ん張って踏ん張って昴治や祐希、こずえを支える。
そんなあおいだったからこそ、彼女の心が折れるシーンは刺さるものがある。
見たくないと思いながらも目を離せない。弱った彼女に感化され、昴治も言葉にならない積もった思いを吐き出す。
このシーン好きすぎて無限にリピートした記憶がある。
アハハ面白いと馬鹿にして見ているのではなく、自分の心を揺さぶってくれるシーンとして落ち込んだ時に頼るものとしていた。

昴治と祐希の2人の間で揺れていたあおいが最後に昴治を選ぶことで我々視聴者が少しだけ救われる。

【尾瀬 イクミ】

姉と相思相愛だが、親に拒絶され、念願かない姉と繋がれたと思ったら自殺してしまったという悲しい過去を持つ身分詐称者。
こいつ作中で語られない背景が多すぎるんだよなあ…
絶対一回見ただけじゃわからないだろこいつのこと。
人の死に敏感すぎて、普段は冷静で能力もあるのに生死がかかわるとトンデモ理論を弾き出すこいつもやっぱりやべーやつ
人間が狂っていくのって面白い!の需要にズバリ答える素晴らしい人物ですね。
実際見ている途中に、
いやまあそうだけどちょっと落ち着けよ…
と大人になった今なら彼に対して思うかもしれない。

恋愛面にトラウマを抱えたイクミだから、あの恋に恋する乙女~みたいなこずえと付き合って傷を癒せるんだと思う、多分。

【和泉 こずえ】

こずえ教の教祖様。
リヴァイアスを支配できるポテンシャルを持つイクミを信者に抱え、裏から船を支配する存在である。
頭を下げろ。彼女のへそより上に頭をあげることは許さん。

正直、「自分の手柄じゃないのに威張っててちょっとむかつく性悪女」という人物像を与えられしまった悲しき存在だ。でもこういう一面はどんな人にも潜んでいると思う。
イクミのことが大好きだけど、イクミを好きな自分も好きだと思う。
彼女のことを思い出そうとするとイクミーって声が聞こえてくるような気がする。それくらいイクミに頼っていた。頼らざるを得なかった。

もし彼女が殺されていたんだとしたら、イクミは踏みとどまれずに周りもろとも死んでいたんじゃないだろうか?傷つけられた、生きていたからこそ、最後のラインを越えて狂い切ることができずに、あそこまで苦しむことになったんじゃないかと思う。

リヴァイアスの主要人物はみんなリヴァイアスに乗ったことで成長できたこと、乗り越えられた壁、目をそらしていたコンプレックスと向き合うこと、が少なからずできたと思うが、
こずえだけはリヴァイアスに乗ることにならなければ普通の幸せな人生を歩んでいけてたのではないかと思う。
そういう意味では作中一番の被害者だ。

【ファイナ・S・篠崎】

我々が彼女を理解するためには、育ってきた背景があまりにも違いすぎる。まさに
「文化がちがーう」
存在であると思う。
ハリーポッターのルーナのようなミステリアスな女性かと思えば、
ただのやべーやつだった。

こっちはガチモンの教祖なため、こずえのように気軽にいじれない。
なぜなら私は殺されたくない。
最初はちょっとしたアドバイスをして近づいてきて、いつの間にか選択権をすべて奪われている。マジで怖い。

でも、結婚するならあおいよりは昴治とうまくいきそうな気がする。昴治は確実に尻に敷かれるけど。

彼女に対して語るとすれば、本当に昴治のことが好きだったのか否か。この点だと思う。
好きの形にもいろいろあるが、自分の思い通り動いてくれそうだから、頼られることで自己肯定感が満たされるから
そんな思いで最後まで付き合ってそう。
作中の最初のターゲットが昴治でよかったかもしれない。イクミに絡んでたらもっとやばいことになってそう。多分イクミが一生立ち直れない傷を負わされる気がする。

【カレン・ルシオラ】

最後にこのキャラクターだけはnoteに残しておきたい。
私が『無限のリヴァイアス』で最も好きな人物だ。
緊急事態でも飄々と船内を渡り歩き、誰とも群れることなく自由気ままに生きる。作中随一のポテンシャルを持ちながら、自分の好きなことだけに能力を発揮する。

リヴァイアスの影響で全員がくるっていく中、おそらく主人公である昴治とカレンだけが最後まで正気を保っていた人間だろう。
自分の力を過信して天狗になっているわけでも、強がって孤独を演じているわけでもない。冷酷なほどに状況を客観的に見ることができ、自分の能力すらも俯瞰して評価しているからこそ、彼女は一人で強くいられるのだろう。
その強さがうらやましい。一生目標として前を歩いていてほしい程に。

カレンが昴治ではなく祐希に惹かれていて本当に良かった。
昴治に惹かれていたら我々はきっと自分の足で自分の人生を進んでゆくことができなくなっていただろう。彼女が昴治になんの感情も抱いていないからこそ、醜い嫉妬心と自己嫌悪、ちゃちなプライドを背負うことになったとしても、事実を事実として受け入れる姿勢を私は手に入れることができたのだ。

【ネーヤ】

作中で、心に秘めた言葉の代弁者としての役割を果たす女性(イカ)。
本人は言わないが思っている気持ちを視聴者に届けるという物語を作るうえで役に立つ機能である。
作中だけでいえば、いなくとも成り立つ存在ではある。
ただ我々視聴者にとってはあなくてはならない存在だ。

それにしても、すごい衣装を着てるよな…
昴治は会うたび会うたびなんだこの人やべぇ…ってならないのが不思議でならない。
あおいのライバルとなる存在ではあるが、正体は宇宙を漂うイカなため、安心してほしい。

この登場人物の代弁者的存在マジでいいよなぁ
ほかの作品ももっと使えばいいのに

最後に

上記のキャラクターたちに対し思いの1/10も語れていないし、ルクスンやブルー、ユイリィ、ラン、クリスとチャーリー、突貫さん、語りたいキャラはほかにもたくさんいるが、今回はここまでにさせてほしい。
書きたいnoteが一段落ついたら、今度はアニメを振り返りながら書きたいと思う。
この作品を愛する人たちと語り合いたい。でも語りあえるような人と友達になれる気もしない。だって私は私自身と友達になりたくないのだから
そんな、歪んだと、ひとくくりにされたくない人たちの集まりに、参加できなくともそばで見守らせてほしい。そんな思いを持つどうしようもない仲間に向けて。


次回2025/2/1 更新予定

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