GooglePixel9シリーズが発売したけれど、カメラ性能はほとんど変わらない
Google Pixel9シリーズが発表されました。
スマートフォンは最新機種が発売する度に、様々な機能がアップデートされますが、中でもカメラ機能については、各メーカーともにその強みを全面に押し出してきます。
しかし、スマートフォンのカメラについては、ハイエンド端末であっても、何年も前から実質的に頭打ちとなっている・・・というのが私の見解です。
AI処理や、画素数の向上、望遠レンズの搭載など、変化球的な要素はどんどん追加されていますが、実用上はほぼ進化していないといっても過言ではありません。
これは、私が昨年Galaxy S23 Ultraをはじめ、多くのスマートフォンのカメラについて検証テストを行い、導き出した結論です。もちろん異論は認めます。
この記事では、なぜスマートフォンのカメラ性能が頭打ちだと言えるのか、これまでのテスト結果を踏まえて解説します。
Galaxy S23 Ultra(2023年発売)とiPhone6s(2015年発売)で大きな差はなかった
スペック上は、圧倒的にGalaxy S23 Ultraが上にも関わらず、実使用上ではほぼ互角でした。
もう少し細かく伝えるならば、
Galaxy S23 Ultraに出来て、iPhone6sに出来ないことと、
iPhone6sに出来て、Galaxy S23 Ultraに出来ないことの数が
ほとんど同じだったということです。
日中の風景の画質・オートフォーカスの性能については、実質的に差はないと言って良いと思います。
夜間に関しては、極端に照度が低い環境(ほぼ暗闇)においては、Galaxy S23 UltraがiPhone6sを大きく上回りましたが、実際の使用環境として考えると、そういったシーンで写真を撮影する場面はほぼ無く、一般的な照度下における夜間撮影であれば、有意な差はありません。
オートフォーカスについては、静止物に対するシングルAFの合焦速度に関しては、Galaxy S23 Ultraが圧倒的でしたが、被写体が動いている場合のシングルAFについては、iPhone6sが圧倒的でした。
この動いている被写体に対するAFというのは、実用面に直結する要因であったため、iPhone6sのアドバンテージは非常に大きいと判断しました。
このように、それぞれの端末で得意不得意があり、Galaxy S23 Ultraが不得意な部分は、発売時期が8年も異なるiPhone6sにも及ばないという事実があります。
ちなみに、超望遠撮影がメインの場合はGalaxy S23 Ultraは光学10倍ズームを搭載しているので、iPhone6sと比較するまでもありませんし、画素数に関して言えば、iPhone6sは1200万画素しかないので、ポスター用の写真のような大きな印刷にはまるで向きません。
さきほど、Galaxy S23 UltraとiPhone6sを「実用上ほぼ互角」としたのは、「ポケットからスマホを取り出して、サッと撮影する」というスマホカメラを利用する最も多いであろう日常のシーンを想定してのことであり、あらゆる撮影場面を含めての性能となれば、流石にGalaxy S23 Ultraに軍配が上がります。
その他端末についても基本的に同様のことが言える
カメラテストは、先程の2機種に限らず、Pixel8Pro、AQUOS R6、iPhone13 Pro、Xperia 1、など、様々なハイエンド端末で同じような結果となりました。
スペック上は、どの端末も最高峰のものです。
しかし、スペックがどんなに進化しても、実用上の性能がアップデートされていなければ、本質的に進化しているとは言えないと私は思います。
もう少し具体例を挙げましょう。
SHARP AQUOS R6
1インチセンサーを採用したことで話題となったAQUOS R6は、実用上はかなり使い手を選ぶ高難度カメラでした。
まず、日中の屋外を除き、手持ち撮影ではオートフォーカスがかなり遅い上に、高確率で微妙にブレた写真となってしまいます。
手ぶれ補正の性能が低いのが主な原因だとは思いますが、結構ストレスがたまるレベルでした。
三脚にセットして、しっかりと撮影するのであれば、1インチセンサーのポテンシャルを最大限引き出せると思いますが、スマホとして使う以上、基本は手持ち撮影で快適に使える必要があると思います。
ツボにはまれば凄まじい写真を撮れる一方、気軽に高画質な写真を取ることが相当難しいスマホです。
Google Pixel8Pro・Pixel 7a、Pixel6 Pro、Pixel 5
これらの端末は、画素数や望遠レンズの搭載以外にほとんど差がありませんでした。世代が3世代離れているにも関わらず・・・です。
唯一大きな違いがあったのが、動きものに対するシャッター速度の設定が、Pixel6 Proだけ被写体の速度に応じて的確に変化している点でした。
具体的にいうと、動いている被写体に応じてシャッター速度が上がる設定になっているのがPixel6 Proです。
動いている被写体をブレなく撮影するには、手ぶれ補正、オートフォーカスのピント精度に加え、速いシャッター速度が必要です。
なぜかはわかりませんが、後発のPixelシリーズはそういう仕様になっていなかったので、Pixel6 Proのみのアドバンテージと言えます。
各Pixelともに、シングルAFはそれほど速くはなく、Galaxy S23 Ultraより劣ります。とはいっても、iPhone13 Pro、iPhone6sとは同じくらいの性能は持っています。
基本的に総じて性能は良いカメラですが、Pixel8 ProとPixel 5の差を考えると、ここ数年は殆ど進化していないと考えます。
まとめ
あれこれ書きましたが、すでに多くのスマートフォンは実用上全く支障のないレベルとなっており、逆にあの小さな筐体で革命的な進化をするほうが不可能だと思います。
画質に関して言えば、各メーカーともに、センサーサイズの大型化やレンズの大口径化、画素数向上など、一見大幅なアップデートを実施しているように見えますが、スマホの画面上での表示や、一般的なL判サイズの印刷など、一般的な用途において、その違いがわかることはないです。
実際、20年前の320万画素デジタルカメラで撮影した写真と比較するとわかります。驚くほど、違いがありません。
そして、カメラ最高峰と言われているGalaxyシリーズですら、実用的な場面での性能が価格の安いスマートフォンに劣っている部分はあります。
だからといって実用性がないのかと言えば、まったくそうではありません。
最近はスマートフォンを選ぶ際、カメラを重視するという人は減ってきているように思います。先述した通り、基本的にどのスマホのカメラも問題があるレベルの不満はないからです。
今回、最新のGooglePixelシリーズが発表となりましたが、カメラに関して言えば、AI関係の機能追加でお茶を濁す程度となると予想します。
次回は、スマホカメラのスペックだけではわからない、実用的な端末の選び方について紹介していこうと思います。
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