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【読書ノート】『おばあちゃんの家』(『あひる』より)

『おばあちゃんの家』(『あひる』より)
今村夏子著

みのりとは、血のつながりのないおばあちゃんは同じ敷地の離れ(通称:インキョ)に住んでいる。そんな、おばあちゃんに纏わる不思議な物語。

なかなか、主題が掴みにくい物語なので、キーワードをいくつか上げてみる。

①(スーパー)おおはしとは?
結びつきや結合、または異なる要素間の接続や移行を象徴する。

②(みのりは)孔雀を見つける
1. 現在の瞬間への注意:美や驚異に感謝し、目の前の美しい瞬間に心を開くこと。

2. 自然のつながり:自然のサイクルや生命のつながりを感じ、自然の神秘に敬意を払うこと。

3. 孔雀は奇跡や非凡な出来事の象徴であり、その美しい尾羽は驚異的。孔雀を見つけることは特別な瞬間や驚くべきことを思い起こさせ、希望や喜び、魔法や神秘性を感じさせる。

4.孔雀の美しい尾羽は自己表現とアイデンティティの象徴。孔雀を見ることで自己の個性や独自性を考え、他とは異なる存在であることを誇示できる。

③「宮永」という姓
地名、宮を永く守るという意味。

④お刺身を焼く(おばあちゃんは好んで食べる)
変化や進化を象徴する。物事の観点を変える、あるいは慣習を打ち破るという象徴的な意味を持つ。

⑤おばあちゃんが、若返る
経験や年齢によって消耗したエネルギーや情熱を取り戻し、新たな可能性を見出すことを意味する。

⑦(おばあちゃんに)杖がいらなくなること

1. 自己の成長と自立:内的な強さや自己の発展によって困難を乗り越え、自立した存在として歩みを進めること。

2.困難や試練を乗り越え、成長や変化を遂げたことを象徴する

3.過去の傷や制約から解放され、自由な存在として新たな可能性を探求することを象徴する。

4.新たな段階や人生の章への移行、新たな旅や冒険の始まりを象徴する。

キーワードから見えてくること。
想像力を膨らませて、宮永家の中での、おばあちゃんの位置付けの変化に注目していくと、まず、おばあちゃんは、ひいおじいちゃんに嫁いで、宮永家に入るところから始まったのだけど、何年も子供には、恵まれなかった。そして、子供を産めない年になると、宮永家の中で、孤立して、離れに住まわされていた。

みのりの父親となる宮永家の跡取りは、養子か何かで、ある日突然、宮永家にやってきた。養子の息子を直接育てることもなく、息子にとっても、おばあちゃんのような存在だった。息子はが、みのりの母親となるお嫁さんを迎えるのだけど、母親にとっても、やや煙たいおばあちゃん。そして、孫のみのりが産まれる。次に弟が産まれてくると、みのりは、家族の中で、隅に追いやられて、おばあちゃんとの関係を築いていく。

結局、宮永家の本家はおばあちゃんなのだなあということ。おばあちゃんにとって、離れに住んではいるけれど、メインの家は、息子夫婦に貸しているだけだということなのだと思った。

この物語の主題は何か?

おばあちゃんという、いわば、宮永家の真の母親の強さは、すべてを受け入れて、すべて与えることのできる愛なのだと思った。

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