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『推し、燃ゆ』

『推し、燃ゆ』
宇佐美りん著


一言で言うと、女子高生の「あかり」には、「真幸」という推しがいるのだけど、その推しの「真幸」が、暴力事件を起こして、人気が落ちて引退する。「あかり」も、高校をドロップアウトして、ひたすら落ちぶれていくという話。

「推し」という言葉を一般的なものにしていったという意味で、本書の存在は大きかったのだと思う。

典型的な?「推し」の思考回路も明かされていて、興味深い内容だと思った。

「推し」とは、
あるグループや選択肢の中で特に好きな、または支援したい個人や要素を指す日本のスラング。主にアイドル、アーティスト、キャラクターなどに使われる。

「推し」にハマる理由は?
1. アイデンティティの表現:人々は自分自身を特定のキャラクターや芸能人と関連付けることで、自己認識とアイデンティティの一部を感じることができるということ。

2. ユートピア的欲求:推しにハマる行為は、理想的な現実を追求する一種の逃避行為とも見なすことができる。この現実は、日常生活の困難や厳しさから避難所を提供し、人々が自分の欲望や願望を投影できる場所になること。

3. 社会的つながり:推しにハマることで、同じ推しを持つ他の人々とのつながりを作り出し、共有の興奮や情熱を経験できること。



本書に登場する「あかり」の両親、学校の先生を含めて、正しい判断力に欠けている。法律やら、お金やら、物質的なものをベースに生活が進んでしまって、そのに愛がない。

愛のない世界で、行き場を失ってしまった者が、「推し」にハマってしまうという印象を受けた。

本書のテーマは何か?
今の社会では、揺るぎないものが、求められているということなのかなあと思った。何のために生きているのか?

宗教もひとつの解決には、なりそうな気はするのだけどね。

信じるものがあるというだけで、守られるのだなあと思った。

宇多田ヒカル 忘却

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