『幸福な生活』
『幸福な生活』
百田尚樹著
短編集の同名タイトルの一編です。
娘が、フィアンセを連れて実家に挨拶に来る。二人を待つ老夫婦の昔を懐かしむ平和な物語。
思えば、自分が願ったことは、全て実現することができた人生だということに気分を良くしたご主人。
私自身も振り返ってみると、全ては上手い方向に進むことが出来たような人生だなあと思うのだけど、自分が、思い描いていた人生とは、全く異なった歩みだったような気がする。現在進行形ではあるけどね。
就職活動の時に、リクルートってすごい会社なんだよって言われて、興味はあったのだけど、めちゃくちゃ働かされるらしいって聞いて、怖気付いてしまって、安定思考で、海外、特にアメリカに赴任したいと思って、海外事業部のある大企業に就職して、ヨーロッパに赴任もして、そのまま、順風満帆にサラリーマン生活をする選択もあっただろうに、独立して、リクルートの過酷な労働をはるかに凌ぐ、四六時中、働くような状況になったりして、周りで一緒に仕事をする仲間は、リクルート出身者が多くて、とんでもない世界にどっぷり浸かっているような人生でね。
自分で想像できる人生って、あまりおもしろくないのかもしれないのだなあと思ったりした。
本書に戻ると、
自分が願った通りになる理想的な人生の行末のオチが、なかなか、面白い。
生かされている時間に、自分にしか出来ない課題を解決しながら、自分のアイデンティティみたいなものが、見えて来るようなイメージなのかなあなどと思ったりする。
神様の導きで、今に至っているということに、日々気付かされる。