「超訳 自省録」
「超訳 自省録」
マルクス・アウレリウス著
第16代ローマ皇帝のマルクス・アウレリウス・アントニヌスが政治家としての日々の悩みや自らの行動を省みる言葉などを書き留めた12巻から成る備忘録。
「すべてが瞬間ごとに変化していること」( =無常)や、「すべてがつながっていること」( =縁起)を強調したブッダの思想にも通じるものがあり、「いま、ここ」に集中するべきと説く禅仏教や上座仏教がルーツの「マインドフルネス」を連想させるものがある。
老子や荘子などの老荘思想が説く「タオ」( =道)にも通じる自然観がある。しかも、 21世紀の現在にも通じる宇宙観がある。「仕方ない」ということばに体現された、きわめて日本的な運命受容と肯定の思想を見いだすこともできる。「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という『葉隠』の思想を想起する人もいるだろう。
個人的には、『生き方─人間として一番大切なこと』(サンマーク出版、 2004年)というミリオンセラーの著者で京セラの創業者でもある稲盛和夫氏や、合気道開祖の植芝盛平翁の思想を連想させるものがあると感じている。このほか、日本人の思想に近いものが多くあると思うので、みなさんもぜひ、そんな観点から読んでみるといいと思う。
マルクス・アウレリウスの時代は、キリスト教が公認される以前の時代であり、『自省録』にはキリスト教の影響は皆無といっていい。つまり、ストア派の哲学は、キリスト教が受け入れられる以前の「実践哲学」であった。だが、そうであるにもかかわらず、西欧のキリスト教世界で受け入れられてきたのは、ストア派の「実践哲学」がキリスト教徒にとっても有用だとみなされたからだろう。
社会人一般、すべての人にお勧めの一冊ということになろうか?。
●人生最後の仕事であるかのように取り組め
●人間の一生などほんの一瞬だ
●形あるものも記憶も、すべて消え去ってゆく
●変化しないものは役に立たない
●過去を知れば未来は予見できる
●宇宙にそんざいするすべてが共感しあっている
●宇宙ではすべてがつながっている
古代ローマ人の時代から、人間の考えていることはさして変わっていないのだと改めて感じた。宗教以前の人間の知恵の結晶のような本だと思った。
「運命がもたらすものを歓迎せよ」
肉体、魂、知性。肉体には感覚。魂には欲求。治世には原理。動物ですら、形から物事を理解する。野獣ですら欲望を操る糸に支配されている。。。。運命がもたらすものを愛情をもって歓迎することだ「内なる精神」を誤った信念で邪魔したりsない代わりに、静かに神に従い、真実に反する嘘偽りは口にせず、正義にもとることも行わずに「内なる精神」を忠実に保つこと。
「思い込みを捨てれば不平は消える」
自分の思い込みを捨てれば「自分は被害者だ」という不平も消え去ってしまう。
「与えられた役割に満足する」
全体の中で、自分に与えられた役割に満足している人、自分の行動が正義にかなって、しかも慈悲深い気持ちを持っている人。そんな善き人の人生が、君の人生にぴったり合うものかどうか、いちど試してみると言い。
「熱中している内容で人間の価値は決まる」
覚えておくといい。人間の価値というものは、その人が何に熱中しているかで決まってくるものだ。こころざしが高ければ、その人の価値も高いが、つまらないものに熱中していればその人の価値も低いということになる。
関連書籍
「マルクス・アウレリウス 自省録」
「死ぬときに後悔しない方法」
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