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「ごはんができたよ」
1日有休を取って、病院をはしご。
5年前に卵巣嚢腫を取って以来、大学病院の婦人科に定期的に通っている。今は半年に一度。検査結果に特に問題はなかった。よかった。
大学病院を出て、いつものかかりつけの病院へ。いつも飲んでいる薬をもらう。
今日は、ランチに、近所のカレー屋さんのスパイスカレーを食べると決めていた。その店は人気の店で、週末はいつも満席。勇んで行ったものの、入れなくて帰ったことも何度かある。だから、空いている平日の今日を狙っていた。
今日は豆のカレーとナン。
ネパール人らしき店員さんが、
「ここにカバンいれてね」
と、かごを持ってきてくれた。ありがとうとかばんをかごに入れていると、店員さんが続いて、
「はい、ごはんもできたよー」
と、テーブルにスパイスカレーのお皿を置いてくれた。
「ごはんができたよ」
と言われたのは、いつぶりだろう。
結婚して自分が家族の料理を作るようになってから、「ごはんができたよ」はずっと私の言葉だった。
久しぶりに自分に投げられた「ごはんよ」が、なんともなつかしく、温かく響いて、自分が突然子どもに戻ったような不思議な感覚に陥った。
スパイスカレーの皿の奥に、「ごはんよー」と呼ぶ母の声が聞こえた気がした。
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