シンガポール珍道中~2日目夜~キラキラ光る夜
シンガポールに夜が来た。
朝、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイに向かう途中、「あとで、あれに乗らない?」と娘から提案されていた。
大観覧車のシンガポール・フライヤー。
出発前にりんくうタウンで乗った観覧車と、形状が違った。(もちろん大きさも)
ドラム缶を横に寝かせたようなカプセル状のゴンドラが特徴。
ホテルから観覧車目指して歩く。地図アプリを出さなくても、目印があまりに大きいので迷う心配はない。あと観光客がみんな同じ方向に向かってる。
ググったところによると、高さは最大80メートル、アジア最大の観覧車だそうだ。イルミネーションで青紫色に光っているのが、幻想的でかつゴージャス。テンションが上がる。
シンガポール・フライヤーに乗るのを、夜の時間に合わせたのには理由がある。
一つは、美しいシンガポールの夜景が一望できると思ったから。
もう一つは、マリーナベイ・サンズの前の湾で開催される水と光と音楽のショー「SPECTRA」を上空から見れるかもしれないと思ったからだ。
SPECTRAのショータイムは、午後8時と午後9時(週末は午後10時も)の15分ほど。そのバッチリなタイミングに観覧車に乗れれば、空からショーが見られるはず。
午後8時をめがけて、券売機に並ぶ。
しかし、券売機に表示された項目に混乱する。
「Singapore Flyer + Time Capsule Tickets」
「Singapore Flyer 」は、目的のシンガポールフライヤーよね? この「+ Time Capsule」とは何だ?
その上、「SGD 40 Adult」観覧車とこの訳分からない「 Time Capsule Tickets」とセットで一人40ドル、日本円で4000円強もする。りんくうタウンの観覧車は700円だったよね・・・・・・
しかし、「Singapore Flyer」単体の購入ボタンは見当たらない。娘がスタッフに声を掛けて尋ねたところ、単体売りはなく、セット券しかないとのこと。仕方ないので、二人分で80ドル、約8000円を支払う。
入場して分かった。「Time Capsule」とは、シンガポールの過去や現在を学ぶアトラクションのことだった。アトラクションを楽しみながら、シンガポールを知ってもらうというコンセプトのようだ。
観光客に、ただ観覧車に乗せるのではなく、シンガポールという国のこともしっかり覚えて帰ってもらいたいということだろう。確かに、今日一日、シンガポールの観光名所をめぐったが、この国自体の成り立ちに思いをはせることはなかったかもしれないなと少し反省。
でもね、案内表示もアナウンスも全部英語だったから、理解できませんでした。勉強不足ですみません・・・・・・
(一応、有料エリアなので写真は掲載しません)
あと、このアトラクションの効果はもう一つあると思う。
順路に従って進みながら、展示を読んだり、写真を撮ったりしているうちに、入場口で人が密になっていたのが、だんだんばらけていく。つまり、混雑の解消になっている。列にずっと並んで待つよりも、いい時間つぶしになる。レストランのサラダバーみたいなものか。
それに、観覧車という別世界、非日常に向かうためのプロムナード的な意味もあるのだろう。そういえば、ディズニーランドなんかでも乗り物までの間に没入感を高める通路があるのよね。
観覧車の前までやってきた。乗り場は、ビルの3階あたりに位置している。長蛇の列。でも目の前にゴンドラが見えていて、もうすぐ乗れると分かっているので、イライラはしない。
カプセル状のゴンドラに次々と人が吸い込まれていく。時計を見ると、午後7時40分。できれば8時前までに乗り込んで、一番上から「SPECTRA」が見たい。じりじりとしながら自分の順番を待つ。
近くで見ると、ゴンドラはとても大きい。一度に10数人が乗り込める。
並んでいる私の目の前を、ドアが閉まったばかりのゴンドラが、ゆっくりと通り過ぎていく。
ゴンドラが一つスルーされた。ドアも開かず、誰も乗り込まない。「はて?」と思ったが、そのゴンドラが目の前に来て分かった。それは貸し切りのゴンドラだった。
なんと、ドレスアップした男女がテーブルを囲んでディナーを楽しんでいた。回るレストランだ。90分で2名520ドルだそう。もうちょっとお値段が優しかったら、やってみたかったかもなあ。
すかさず「やめて! 恥ずかしいから」と娘に却下された。
バブルのころ、360度横に回転する展望レストランがあったという話を思い出す。(今も日本のどこかにあるらしい)
目を乗り場にもどす。
スタッフの男性が、誘導のために観覧車の乗り場を行ったり来たりしている。乗客が順番待ちをしているところには柵があるが、スタッフが行き来するエリアには柵がない。彼が足を踏み外さないか、ずっとハラハラする。
安全のため、サーカスで空中ワザをやるときのようなネットが張られているが、信用できない。
ついに乗り込んだ。
私たちと一緒に乗り込んだのは、アラブ系のファミリー。小さい男の子と女の子が観覧車の中ではしゃいでいる。かわいい。
日が落ちて、外はすっかり暗くなっている。
だんだんと登っていく観覧車。
昼間見たスーパーツリーも、イルミネーションされて光っていた。(撮影できず)
ゴンドラがてっぺんに到達したところで、ちょうど水と光と音楽のショー「SPECTRA」が始まった。タイミングが完璧。ついている。
マリーナベイ・サンズ側の湾に見える、光とともに吹き上げられる水しぶき。
水しぶきのいろに合わせてマリーナベイ・サンズの色が変わる。すごい。
音は聞こえないが、ショーの様子がはっきりとわかる。
周りのビル群の照明も、高速道路を走る車のヘッドライトも、イルミネーションの演出のひとつみたいに風景に溶け込んで、美しい夜景を作り出している。街が芸術作品みたい。
ショーが終わると、時を同じくして観覧車も1周回って、戻ってきた。
贅沢な時間だった。
この日歩いた歩数は、31,384歩、距離にして25.4Km。
多分、今まで生きてきて一番たくさん歩いたかもしれない。
おかげで、体はくったくた。くたくたに疲れると食欲がなくなるらしい。
食べたいものが決まらないまま、ホテル周辺まで帰ってきてしまった。
ホテル近くのショッピングモールを何周もうろついて、居酒屋っぽい店に入る。
料理は美味しかったが、食欲がでず完食できず。適当に注文したら84ドルもした・・・・・・痛い出費。サラダにチキンを入れないように頼んだはずなのに、チキン代に「+5ドル」が請求されてた。返金してもらう気力もなく、すごすご帰る。
これなら日系スーパーでカップ麺を買って、ホテルで食べればよかったかもなどと激しく後悔する。
ホテルに戻って、お風呂に入る。
バスタブに湯を張って、日本から持って来た入浴剤「登別温泉の素」で疲れを癒やした。さっきの夕食の失敗でHPが0になっていたけど、ちょっと回復した。
布団に入って目を閉じると、すぐに眠ってしまった。
ふだん、なかなか寝付けなかったり、夜中に目覚めて眠れなかったりすることがある。更年期のせいかと思っていたが、運動が足りていないのだと悟った。かといって、毎日3万歩は歩けないけど・・・・・・
夢の中で、シンガポールの夜景が輝いていた。
3日目に続く。
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