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文芸雑誌が見つからない
とある文芸雑誌を購入したくて、地元の書店を数軒回ったが、ついに見つけることはできなかった。
地方の書店の衰退が激しい。そのスピードが日増しに速くなっている気がする。
自宅から一番近い書店は、3棟の建物が並んでいて、左の建物に文芸書と文庫、ハウツー本やこども向け本が並び、真ん中の建物に雑誌とマンガ、右の建物は文具などの雑貨に分かれていた。
それが最近、改装工事が行われ、書籍類は全部、左の建物に集められて、真ん中と右の建物が雑貨と洋服の売り場になった。
書籍の売り場面積が狭くなった分、置かれる本の種類も少なくなった。特に雑誌の売り場面積が大きく減って、文芸雑誌が売り場から綺麗さっぱり消えてしまった。
2軒目の書店はショッピングモール内のTSUTAYA。
さすがに天下の全国チェーンTSUTAYAならあるだろう。こないだ「文藝春秋」を探したときもTSUTAYAにはあったじゃないか。
でも、我が街のTSUTAYAには文芸雑誌のコーナーがなかった。
3軒目は職場近くの書店。
官報や専門書も扱う老舗の硬派な書店。ここならきっと。
・・・やっぱりなかった。
一時期は一斉を風靡し、県内に自社ビルと店舗を数軒構えるとても大きな書店だったのだけれど、平成の30数年間でどんどん規模を縮小して、今は倉庫街の小さな店舗を残すのみだとか。祇園精舎の鐘の声・・・・・・
・・・・・・全敗。
文芸雑誌よ、どこへ・・・・・・
雑誌売り場は、書店に行く楽しみの一つ。
ふだん自分が手に取らないジャンルの雑誌を眺めて回るのがおもしろい。書棚をブラウジングすると、自分の知らない世界を垣間見る。
だけど、残念ながら、そういう雑誌ほど売り場から真っ先に消えていく。
若いころから読み親しんできた雑誌の多くが休刊、廃刊となってしまった。雑誌を買って読む人が少ないのだから当たり前、負の螺旋階段。
雑誌は人々の関心ごとのバロメーター。特集されている情報で、その時代に人びとがどんなことに関心があり、楽しみを得たり不安に思ったりしているかが浮き上がって見える。世俗的な物事を調べるときは、雑誌を探すのが最適なのだと、司書の資格の勉強をしたときに教わった。
雑誌の情報は、時系列に積み上げた情報の山だった。
刹那的なネットの情報に飲み込まれ、雑誌は次々に姿を消す。
それでいいのかなぁと思いつつも、1日に何度も検索窓にワードを入れ、ついつい、その場限りの情報収集。真偽も怪しい情報を自分の都合のいいところだけ切り取って使ってる。得た情報は記憶に残らなくて、何度も同じワードを検索する。
Amazonで検索したら文芸雑誌が見つかった。
地域の書店からなくなっても、ネット書店でもいいから残っていてと祈りながら、購入ボタンを押した。
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