【短編】Gentle
どんなにとりとめがなかろうと、オチまでたどり着かなくてもお話しをずっと聞いてくれてる彼は、いつもその事を謝ると半分は聞き流しているからと理由を付けてくれる。そのくせさえぎったり、話を替えたり、流したりしないでちゃんと聞いてくれているのはよくわかる。
優しいの塊みたいに行きたいところに連れて行ってくれて、重い荷物は全部持ってくれて決して怒らない。
そんな彼にも苦手はあって、いつも2人で道に迷ってしまう。地図を画面に表示させながら一緒にのぞき込んであーでもないこーでもないと迷いつつ歩いて、そんな中でも沢山歩かせて申し訳ないと私を気遣う。
いつも優しく笑っていて随分年下なのに心の余裕を胸のポケットに入れて歩いているみたい。何を言っても許してくれて、我儘言っても聴いてくれるという経験はとても新鮮で、その優しさに何度助けてもらったかわからない。2人でいる時は私をからかう彼の本当の優しさはきっと底知れないんじゃないかって思ってる。