【短編】Model

確かに整ったお顔立ちなんだけど、親しみやすくてそれが先に立ちすぎて正直あの人を「格好良い」と思ったことが失礼ながらなかった。人当たりがよいとか誰からも好かれてるとかそんなイメージだけが先行していて人としてのあの人の素敵さは判っているのに見た目が置いてけぼり。

そんなあの人のモノクロのお写真は格好良さを伝えるには十分で、息を呑んで凄さを思い知る。高い身長、スラッとしたスタイル、そして端正な顔立ち。

私は今までこの人の何を見てきたんだろう。何回も会って普通に目の前で話してきたのに全く気付かなかった。そういえばあの人にはそういうところがある。本当は有名で凄い人なのに自分からは口に出さないし、周りから評価されても冗談みたいにして笑いの中でしかその功績を語らない。きっとこの恵まれた外見も隠れみの術みたいに周囲に溶け込ませて気取られないようにしてる。

私、最初に会った時、この人とハグしたんですけど。何なら名前を覚えてもらってることだって奇跡みたいな有名人の割に、そこをちっとも感じさせないナチュラルさがあの人のウリ。