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奇跡みたいなひと


2018年、私は一人のアイドルに出会った。

あまりにも一瞬の一目惚れで、多分、あまりにも一瞬の恋だった。

何よりも大切で何よりも優先したいと本気で思える人たちに出会えたのは生きてきた中で初めてのことで。好きになった日のことは今でも鮮明に思い出せる。生きていく上でなくてはならない存在だった。今思うと、出会う前の私が毎日頑張れていた糧はなんだったのだろう。何が私の生きる理由だった?笑えるほどに、彼らが私を生かしてくれていたことを知ります。

もう、離せるわけがなかった。
あなたたちが居ればそれでいいと、本当に思っていた。

誰がどう見ても輝かしいアイドル人生に、周りの人みんなが羨むような華々しい道のりを堂々と歩いているように見えていた。もちろん色んな壁にぶち当たっただろうし抱えきれないほどの悩みや葛藤があったことは承知の上で、ただそれでも離れ離れになるのにはあまりにも早すぎて。

脱退。笑えてしまうほど嘘みたいな文面に、何時間経ってもその文字の意味を理解することはできなかった。というかしたくなかった。

なんで、どうして、が積み重なって上手く息ができなかったあの日を、悔しくて寂しくて眠れない夜があったことを、昨日のことのように思い出します。色んなことを悩んで堪えて全部全部飲み込んで前を向いてくれた彼らには申し訳ないぐらい涙が溢れて止まらなかった。何度も何度も「ごめんね」と思った。同時に「ありがとう」を伝えたかったのに、やっぱり ごめんね、と思った。

悲しいことがあっても辛いことがあっても、何があっても当然のように朝は来るし時間は待ってくれない。ちょっとぐらい寄り添ってくれてもいいのに、なんてバカな冗談を言えるぐらいの気力さえなかった。人生でいちばんつらかった時期は?と聞かれると言うまでもなくこの時だ。就活でありえない面接の数をこなすよりも、毎日の試験やその勉強時間に時間全てを取られることよりも、何よりも一番辛かった。カラッカラになるまで流れ切ったはずの涙はそんな当たり前のように流れる日常の中でもとめどなく溢れるもので。涙って枯れないんだなあ、とうわ言のように思ったのももう幾分か前のこと。

あの日以来上手く息ができなくなった。
生きるのが下手で、上手く生きる方法なんか知らなくて、だから何かに掴まっていないともう壊れてしまいそうだった。
正直、縋れたらなんでも良かった。

そんな時、酒井監督が作る作品が公開されることを知った。綺麗な映像と綺麗な音楽に一瞬で惹き込まれたあの時の気持ちを忘れることはないのだろう。

本当に、たまたま。この作品に出会うことがなければ私はもうこれ以上の宝物をこの先の人生において見つけ出すことは出来なかったと大袈裟でもなんでもなく胸を張って言えます。何もない何もできない私が唯一胸を張って自慢できることは、白岩瑠姫さんというひとりのアイドルに出会えたことだよ。

「青磁から貰った言葉で、私は強くなれた気がする」
茜の言葉が凄く印象的で未だによく覚えている。あの日どん底まで落ちた私を救ってくれたのは白岩瑠姫さんだった。手を差し伸べた記憶なんてもちろんないだろうけど、でも勝手に救われたのだ。
瑠姫くんを好きでいられることで、それだけで生きていけるような気がしました。大袈裟だよって笑われてもいい。重たすぎない?ってちょっと引かれたっていい。だけどそのどれもあなたが紡ぐ言葉たちではないことを知っているから。何かに掴まらなくても、手持ち無沙汰でも、もう大丈夫だと思えた。瑠姫くんを好きでいることができる。それだけでもう、私は強くなれた気がする。

大切なものが増えると、その分手放さなきゃいけないものも増える。だからもう「いいか」と思っていたのは本当で。守りたいと思うひとがいて、でもそんなことはできるはずもなくて。その現実を目の当たりにした時、もう大切なものをつくるのはやめようと思っていた、のに。
いつしかもう手放せないほど白岩瑠姫さんが、JO1が私の生きる理由になっていた。どれだけ辛いことがあってもバツをつけたくなるような日があっても彼らが今日も此処に居てくれるその事実だけで踏ん張ることができたし前を向くことができた。ある日突然のように私の人生にフラッと現れてくれた11人が心から愛おしくて堪らなかった。永遠なんてないこの世界で、一生なんて簡単には言えないこの世界で、でもどうか、できるだけ永く一緒に居させてほしいと願ってみてもいいかな。

何かを信じることが怖くなってしまっていた。大切なものが自分の手から零れ落ちていく。失くしてばかりの日々から逃げ出したくもなる。そんな日々の真ん中で、JO1が歩む永くも儚い旅を見守らせてもらえたらそれだけで私は充分にしあわせです。

2年前の秋。ちょうど今ぐらいの季節に、突然、でもそんなこと運命は分かっていたような顔をしてやってきた。なんでも良いから生きるために何かに縋りたかった。
ううん、今だから言える。"なんでも良いから"なんていうのはきっと嘘で、瑠姫くんがいなかったら私は多分もうずっと息をすることなんてできなかった。瑠姫くんを見つけることができたから私は今ここに居ることができるよ。あなたじゃなきゃ、だめだったよ。見つけた瞬間のあの煌めきを忘れることはない。というかできない。

奇跡みたいなひとだった。瞬く星のように綺麗な瞳をしていた。私に生きる理由をくれてありがとう。これからも、何度でもあなたに救われるのだと思います。勝手に、助けてもらっているんです。


何十回と言っているけど、生きてる上で出会う人やタイミングってどれもが偶然じゃなくて必然だと思っていて。でもそれでもこうして起きた奇跡みたいな出会いをお守りがわりにして。果てるまで生きてやろうと、そう思います。

あのときこんなに宝物みたいなひとに出会えてよかったね、ともう何度目かも分からない感謝に、未来の私が救われていますように。

楽しい日も悲しい日もあれば晴れの日も雨の日もある。色んな悩みがあって前を向けない日だってあるかもしれない。それでもどうか、しあわせだったなと思える日が一日でも多くそこに在りますように。そう願っています。

きみこそ、僕の奇跡なんだから。

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