見出し画像

ゼロから始めるプロダクトチーム構築:人材獲得からマルチプロダクト戦略まで

プロダクトリーダーのRohini Pandhi氏が語る、プロダクトチームの構築、優れたタレントの採用、マルチプロダクト戦略への移行方法について紹介されています。彼女がMercuryで経験したプロセスや学びは、これからプロダクトチームを立ち上げたい、または複数のプロダクト展開を検討している企業にとって貴重なヒントとなりそうです。本動画では、特に「プロダクトマネージャーの必要性」「質への投資の重要性」「新製品ラインの成功事例」を中心に解説されています。


Rohini Pandhi(ロヒニ・パンディ)氏について
彼女は、フィンテック業界で豊富な経験を持つプロダクトリーダー、投資家、スタートアップアドバイザーです。現在、Mercury社でプロダクトを担当し、Transparent Collectiveのパートナーとしても活動しています。彼女は、スタートアップから成長企業、大企業に至るまで、新製品の開発やイノベーション戦略の策定に携わってきました。また、Square社ではシニアプロダクトリードとして、金融サービスと決済の分野で重要な役割を果たしました。



1. プロダクトマネージャーの価値とは?

"What do you think people most miss about the value that a PM brings to your org?"
「プロダクトマネージャーが組織にもたらす価値について、人々が最も見落としがちな点は何だと思いますか?」

引用: https://www.youtube.com/watch?v=ciBdPH88C4c&t=1390

Rohini氏は、プロダクトマネージャー(PM)の役割を、3つのメタファーを用いて説明しています。「パイオニア(新規プロダクトを立ち上げる能力に長けたPM)」「タウンセトラー(成長期のプロダクトを整備するPM)」「シティプランナー(成熟したプロダクトを効率的に拡大するPM)」の3タイプです。プロダクトのステージに応じて適切なPMを配置することで、プロジェクトの成功確率が大きく向上します。特に創業段階では、創業者自らがPMの役割を担うことが推奨され、規模や複雑さが増すにつれて専門性の高いPMを迎えるのが効果的だと述べています。

プロダクトマネージャー(PM)は、単なるプロジェクト管理者ではなく、プロダクトのビジョンを描き、実現に向けてチームを牽引する存在です。Rohini氏が挙げた「パイオニア」「タウンセトラー」「シティプランナー」の比喩は、PMの役割が状況に応じて変化することを示しています。この視点は、企業がPMを採用する際に「どのような役割を果たしてほしいのか」を明確にすることの重要性を強調しています。特に初期段階では、創業者が顧客の声を直接聞きながら製品を育てるべきであり、必要に応じて専門性の高いPMを招くべきです。また、PMがチームに与える影響は、プロダクトの成長速度や顧客満足度に直接反映されるため、「良いPM」を選び抜くことが成功の鍵となります。組織としてPMに期待するスキルセットや役割を事前に明確化することが、PMと企業双方の成功を促進します。


2. チーム構築の第一歩:PMの役割と期待値を定義する

"Step one was almost just putting that on paper and making sure we were all aligned."
「最初のステップは、それ(PMの役割と期待値)を文書化し、全員の意識を統一することでした。」

引用: https://www.youtube.com/watch?v=ciBdPH88C4c&t=840

Mercuryでは、まずPMの役割と期待値を明確にするため、キャリアラダー(役割と期待値を明確にした文書)を作成しました。このラダーは、PMの評価基準やスキル、業務内容を示し、チーム全体が同じ目標に向かうための羅針盤として機能します。同時に、採用プロセスにもこのラダーを反映させて、PMとして適切なスキルを持つ候補者を見極めやすくしました。これにより、PMがその役割において自信を持ち、効率的に機能できる環境が整います。また、キャリアラダーはPMの成長プロセスを明確に示すことで、組織内での長期的なキャリア構築を可能にし、優れた人材の流出を防ぐ効果もあります。組織の価値観と一致した役割定義は、PMを含む全員が「自分の仕事が会社の成功にどう貢献するか」を理解する助けとなります。


3. マルチプロダクト展開の戦略と課題

"The organizational structure is really important and probably as important as just the product decisions."
「組織構造は非常に重要であり、プロダクトの意思決定と同じくらい重要です。」

引用: https://www.youtube.com/watch?v=ciBdPH88C4c&t=2774

マルチプロダクト展開を成功させる鍵は、製品ごとの独立した組織構造を構築し、既存の製品や事業の影響を受けない環境を提供することです。新製品ラインは、独立性を持つことで独自の成長機会を得られます。また、新しい製品が成功するかどうかを定期的に評価し、投資継続の是非を検討するプロセスも重要です。Mercuryでは「シード段階のスタートアップ」として新製品を扱い、小規模なチームに全権を委ねました。このアプローチにより、創造性と迅速な意思決定が促進されました。同時に、これらの新製品ラインが既存製品の成功に寄与する仕組みも構築されています。このように、マルチプロダクト展開は単なる製品開発ではなく、組織全体の目標や文化に基づいた戦略的な意思決定の集合体といえます。


4. 質への投資:ユーザーエクスペリエンスの向上が生む競争優位性

"The details done right really matter, especially when you're in a boring industry like FinTech."
「特にFinTechのような地味な業界では、細部をきちんと仕上げることが非常に重要です。」

引用: https://www.youtube.com/watch?v=ciBdPH88C4c&t=2238

質への投資は、短期的なKPIに直結しない場合でも、長期的な成功において重要な役割を果たします。Rohini氏が述べたように、細部にこだわることは顧客からの信頼を獲得する上で必須です。特にFinTechのような「地味な」業界では、使いやすさと美しさが製品の競争力を左右します。例えば、MercuryのBill Pay機能では、OCRを活用して請求書の読み取り精度を高め、ユーザーが直感的に利用できる設計を実現しました。これにより、ユーザーは支払いプロセスに感動を覚え、結果として製品の評判が高まります。また、質の高い製品を提供する企業文化は、優れたタレントを引きつける要因にもなります。長期的な競争優位性を築くためには、質への投資が不可欠であることを組織全体で共有する必要があります。
Mercuryでは、細部にこだわった設計を通じて、金融業界特有の複雑さや退屈さを克服し、楽しく使いやすいプロダクトを実現しました。このようなアプローチは、ユーザーに感動を与えるだけでなく、才能ある人材を惹きつける要因にもなります。


まとめ

Rohini Pandhi氏が共有するプロダクトチームの構築やマルチプロダクト展開の教訓は、企業の規模や業界を問わず多くのビジネスに適用可能です。特に、PMの役割を適切に定義し、質の高いプロダクトを追求することで、顧客満足度とビジネスの成果を両立させる方法は、多くのプロダクトリーダーにとって価値のある示唆となるでしょう。PMがもたらす価値を理解し、その役割を明確に定義することで、チーム全体が一体感を持って目標に向かうことが可能になります。また、質の高い製品を開発するための文化的な基盤は、短期的な成果以上に長期的な競争力をもたらします。さらに、新製品展開では、既存製品ラインから切り離し、独自のリソースと意思決定権を持たせることで、その成功確率を高めることができます。


補足

  • プロダクトマネージャー(PM): 顧客の問題解決を目的に、製品開発をリードする役割を担う。

  • キャリアラダー: 各職種の役割と期待値を明確にした文書。評価基準やスキル要件が記載される。

  • マルチプロダクト戦略: 既存のコア製品に加え、複数の製品ラインを展開する経営戦略。


※ このNote記事は、世の中の動向をざっくり理解し、後日経時変化を俯瞰するために機械的な作業を交えてアウトプットしています

いいなと思ったら応援しよう!