ファンクショナルトレーニングの要素

①軟部組織(筋、筋膜、腱、靭帯)の機能と働き

A.筋の働き
主働筋、拮抗筋、協力筋(主働筋を補助する)、固定筋(関節を安定させる)、中和筋(望ましくない動きを対抗する)
伝統的なウエイトトレーニングは、体を固定したまま矢状面でしか動けず、実際のスポーツ動作では単純な筋の働きはしない。

B.筋の機能のカテゴリー分け
・ローカルスタビライザー
体の最も深層部に位置する単関節筋。筋の付着部が関節に近い。持続的で筋出力の小さい収縮が関節の全ての動きに対して起こる。多裂筋など。

・グローバルスタビライザー
体の浅層部に位置する単関節筋。動作の中では力の吸収時に機能する筋。内側広筋など

・グローバルモビライザー
筋の長さが長く、コンセントリック収縮により主に屈曲/伸展といった矢状面において大きな力と動きを生み出し四肢を動かす役割を果たす。力の発揮時に機能する。大胸筋など。

②関節運動を含めたバイオメカニクス

機能的な動作を作るには、各関節の正常な安定性(stability)と動き(mobility)が重要になる。加えて、動作の中で足関節、股関節、胸郭関節、肩甲上腕関節(肩関節)の正常な可動域が保たれることも機能的な動作に重要。
可動域制限が起きると、他の関節が代償運動を起こしその関節の周りにある軟部組織に多くのストレスがかかり痛みが発生することがある。
ハイヒールや足関節テーピング、長期間のギブス固定などによって正常な関節運動での力の吸収と発揮ができなくなる。
ファンクショナルトレーニングでは、動作における関節運動やバイオメカニクスを理解してトレーニングを行うことがとても重要になる。

③神経系の動き

動作は常に中枢神経によって支配されている。中枢神経は視覚、聴覚、感覚、触覚、認知、記憶などあらゆる情報を処理、統合し各器官へフィードバックして動作に関与。ハイハイや自転車の乗り方を覚える過程もそうだが、バランスを崩し失敗しながらもその動作を繰り返していると、いつの間にか自然にできるようになるということが起きる。これは、固有受容器が失敗から得た情報を中枢神経系に送り、記憶や認知の情報と共にフィードバックして、次から効率の良い動作をするために最適な協力筋群を選択するようになることが生じる。


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