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SES企業のチーム制を考える

一部のSES企業は、派遣との違いを強調するために、チーム制の推進を前面に打ち出すことがあります。確かに、チーム制には未経験者にとって手厚いサポートを受けられるというメリットがあります。しかし、経験者(以下、ベテラン社員)にとっては、そのサポートを提供する側に回ることを意味し、それが負担になることも少なくありません。

多くのベテラン社員は、若手の成長をサポートすることに前向きですが、その成長に対して責任を持つことが心理的な負担になる場合もあります。サポートすることと、成長の責任を負うことは異なる問題です。

そのため、リツアンでは、成長の「サポート」と「責任」を分けて考えています。SES企業がしばしば言うような「成長のためのチーム制推進!その為にはSES契約」という考え方が必ずしも唯一の正解ではありません。チームはSESの準委任契約でのみ組成されるものではなく、派遣契約でもチーム制を活用することができます。

派遣契約でのチーム制のメリットは、若手社員が社内のベテラン社員だけでなく、客先の担当者からもサポートを受けられる点にあります。これにより、ベテラン社員の若手社員へのサポートの負担が軽減されるだけでなく、より多角的な成長支援が可能になります。また、派遣契約では、指揮命令権が派遣先にあるため、若手社員の成長や成果に対する責任も派遣先に移ります。これにより、ベテラン社員が全面的にその責任を負う必要がなくなり、負担が軽減されます。

つまり、若手社員が成長できる環境として、SES企業が準委任契約でのチーム制にこだわる必要はなく、むしろ派遣契約の方が整った環境を提供できる場合があります。このような考え方を取り入れることで、ベテラン社員も若手社員も、双方にとってより良い働き方が実現できるのではないでしょうか。

さらに、SES企業がチーム制を推進するもう一つの理由として、顧客開拓があります。新規取引の際、クライアントから5名から10名のエンジニアをまとめて提案するよう求められることがあります。

これは、SES企業の人材提供力を確かめるためです。クライアントは少人数の複数取引を避ける傾向があり、例えば100名の人材を集める場合、2名ずつ50社で集めるよりも、10名ずつ10社で集める方が管理が容易だからです。そのため、「5名を一度に紹介するので新規取引してください」というのは、SES営業マンが新規取引をお願いする際の常套句となっています。

このように、チーム制の推進には顧客開拓という「会社メリット」もあることを理解しておくと、企業選びの際に役立つ知識となります。

まとめると、チーム制の推進のメリットは
・経験者にとっては賛否が分かれる(責任を負担と感じる人は少なくない)
・未経験者にとってはメリットが大きい
・SES企業にとってはメリットが大きい

以上の点をおさえた上でチーム制を考えると良いとおもいます。

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