見出し画像

SES企業のビジネスモデル分析:ローエンド案件の魅力と落とし穴

会社の売上拡大を優先しすぎるあまり、未経験者や経験が浅い人向けのローエンド案件に集中するSES企業が存在します。これらの案件は採用が容易で、売上利益に直接貢献するため、企業としてはそのような方針を取りたくなる気持ちは理解できます。しかし、一旦このようなビジネスモデルに依存すると、そこから抜け出すことは非常に困難になります。

結果として、請求単価は低く抑えられ、そこで働くエンジニアの年収も低いままです。さらに、エンジニアのスキルアップが進まず、年齢と共に経験年数が増えても、市場価値は向上しにくい状況になります。そして、一度ついた企業イメージは容易には変わらないでしょう。ローエンド案件専門のSES企業という認識は、企業の将来的な発展を妨げる大きな障害になる可能性があります。

したがって、設立間もないSES企業でも、ローエンド案件に限定せず、ハイエンドやミッドエンドを含む幅広い案件を獲得するための営業努力が重要です。

エンジニアがSES企業を選ぶ際は、企業が主にローエンド案件に依存しているかどうかを確認する必要があります。その判断材料としては「平均の請求単価」と「取引先企業情報」が役立ちます。

平均の請求単価は、労働者派遣事業許可を取得しているSES企業の場合、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で1日当たりの派遣料金から推測できます。また、このサイトに情報が掲載されていない場合、法律に基づき企業はマージン率や派遣料金・賃金に関する情報を自社のホームページ等で公開する義務があります。

取引先企業の情報は、企業のホームページで確認できます。有名な大手企業が取引先に含まれている場合は安心材料ですが、知名度のない企業ばかりの場合は注意が必要です(※無名企業でも優良企業は多数存在しますが・・・)。これは、IT業界における多重下請け構造に起因しています。大手企業がクライアントからプロジェクトを受注し、それを他の企業に再委託する際、下位の企業は元の契約金額よりも低い金額を受け取り、ローエンド案件を扱うことになりがちです。

補足1:『人材サービス総合サイト』に掲載されている1日の派遣料金に、1ヶ月の標準的な出勤日数である20日を掛け合わせることで、およその平均の請求単価を算出することができます。例えば、厚生労働省の『令和3年度 労働者派遣事業報告書』によると、全国平均の1日の派遣料金は32,394円、請求単価は
647,880円となっています。もしそのSES企業の平均請求単価がこの金額よりも低い場合、ローエンド案件を主に扱っている可能性が高いため、注意が必要です。

補足2:現在、SES界隈では「指揮命令権」の問題が顕著になり、案件を発注する時点で、契約は準委任(SES)ではなく派遣契約とするクライアントが増えています。これに応じて多くのSES企業が労働者派遣事業許可を取得しています。一般的に準委任(SES)でも派遣契約でも請求単価の相場は変わらないため、「人材総合サイト」やホームページで派遣料金や平均請求単価を知ることは有益です。

SES事業のみで派遣事業に進出していないSES企業もありますが、派遣案件が増えている現状を踏まえると、ビジネスチャンスを逃すことになるため、少数派ではないでしょうか。考えられるケースとしては、労働者派遣事業許可を取得する際の資産要件に満たない小規模事業者だと思います。

******
▶ SES企業や技術派遣で働いているエンジニアの皆様、必見です。
現在の勤務先で適切な扱いを受けていないと感じている方、たとえば適切な評価を受けられない、単価情報が非公開であるなどの待遇面に不安を持っている方は、ぜひ弊社にご相談ください。弊社はopenwork「社員待遇面ランキング」人材業界部門で第1位を獲得しています。
この成果の背景には、客先への請求単価に対する還元率がNo.1、客先からの引き抜き(正社員転職)が可能、フリーランスへの独立支援など、エンジニアの皆さんに寄り添った運営があります。
企業側が操作できない口コミサイトでの社員の声には、真実が込められています。私たちは他社とは違い、社員に対して口コミサイトへの口コミ投稿を強制したり、依頼したりすることはありません。これらはすべて社員や元社員による自発的な評価です。
現状の待遇に疑問を抱えている方がいらっしゃれば、カジュアルな雰囲気のオンライン打ち合わせでお話ししましょう。


▶ 請求単価をご存じの方は、下記のサイトで簡単に給与シミュレーションを行うことができます。まず、月給(月額請求)または時給(時間請求)の計算区分を選択してください。その後、単価を入力していただくと、以下の情報が算出されます。
1.1年目からの「通常契約」時の年収
2.4年在籍で適用される「プロ契約」時の年収
3.10年在籍で適用される「さよならマージン」時の年収
弊社では、勤続年数に応じてマージン率を低減し、還元率を高める仕組みを導入しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?