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就活もビスケットの缶

手応えのあった最終面接の結果を永遠に焦らされ、淡い期待とともに片思いしていた企業たちからはあっけなく振られ続け、自ら書くことを選択した卒論の進捗もまずい、やばい就活生です。人を応援する心の余裕がなくなってきて、大学1年の4月からコンスタントに出勤してきた大好きな塾講バイトもしばらくお休みすることになりました。純粋に心配してくれた社会の先輩の塾長からもらったアドバイスも素直に受け止めず、むしろ苛々する、どうしようもない状態です。写真のかわいいビスケット缶をくれた先輩にお祝いしてもらうことを楽しみにずっと頑張ってきたけど、いつになるかな。
ラインずっと既読無視してて、本当にごめんなさい。

家で塞ぎ込んでると鬱になる性格なのと、普通にちゃんと勉強もしたいのと、大学の図書館が心から好きなので、単位は足りてるけど毎日1コマ授業を入れて、毎日通学して図書館に篭っています。こんな就活生はたぶん、あんまりいないはず。タイパとかしらない。

でも心の芯は強くなくて、進路の目標にまったく見合っていない。興味を素直に突き詰めて仕事にする覚悟を持った自分と周りの進捗や内定率が気になって仕方ない小心者の自分が、毎時間入れ替わってて、情緒は常にグワングワンです。お祈り連絡への耐性はついてきた分、くだらない思い出し泣きスキルが上達し、今日のゼミは目と鼻を真っ赤にしながら参加しました。

そんな私も、背伸びだけしてフワフワ生きてるわけではなくて、思い出せば立ち直れる、というほどではないけど、いつも心に強く強く留めている言葉があります。辛い時になんとなく思い返すと、まあ人生まだありそうだし、もうちょっとがんばってみるかな〜と思えるくらいの効力がある。

「ビスケットの缶にいろんなビスケットがつまってて、好きなのとあまり好きじゃないのがあるでしょ?それで先に好きなのどんどん食べちゃうと、あとあまり好きじゃないのばっかり残るわよね。私、辛いことがあるといつもそう思うのよ。今これをやっとくとあとになって楽になるって。人生はビスケットの缶なんだって」

村上春樹『ノルウェイの森』下巻

世界で唯一の推しキャラクター、ミドリの台詞。
彼女は「ビスケット缶の中のビスケット」を「人生の中の出来事」に喩えている。気に入ったビスケットばかりを食べていたら(楽しいことばかりが起きていたら)、あとは、好みではないビスケット(大変なことや辛いこと)ばかりが残ってしまう。自身の状況に合ったビスケットを選んで口にできたら良いけど、食べてみないと味や食感が分からないビスケットも入っている。どんなにビスケットが大好きな人でも、気分や体調によっては美味しく食べることができないこともありえる。もちろん味覚や好みの変化もありえる。拡大解釈の極みかもしれないけど、本の読み方なんて人それぞれ自由なんだからいいですよね〜
文庫本で4行にまとめられたこの台詞は、人生の荒波をおおらかに受け止める力をくれる。

そろそろおいしいビスケットが食べたいけど、焦らずにしっかり自分を生きたい。

塾講はお休み中だけど、単純作業で済んで何も考えなくて済む接客のバイトは土曜の朝だけ入れたんだった。そろそろ寝なきゃ。
最後まで読んでくださった方がいるかはわからないけど、お互いいい人生を歩めますように。
おやすみなさい。

「あなたらしい服装」のひとつ、ノル森下巻色ワンピース

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