低いマーケットシェアの事業の戦略
市場シェアを大きく占めることができなくても、ビジネスを成功させることができます。
競合の大企業を上回る業績を上げている、大きなシェアをもたない企業の共通項を共有します。
まず整理すると、多くの研究結果から、収益性とマーケットシェアには正の相関があることがわかっています。
ある研究では、シェアの差に10%の開きがあると、ROIに5ポイントの差が生じることが判明しました。
市場シェアを占有することに越したことはないということです。
しかし市場シェアの低い企業は、シェア拡大を目指すのか、撤退するかの二択しか選べないということではありません。
実際に、低市場シェアでも高収益を上げている企業はいくつも存在しています。
これらの企業に共通する4つの成功要因について、ひとつひとつ説明します。
⒈セグメンテーション
限られたリソースで成功するためには、競争を優位に進めることができるセグメントを選ぶ必要があります。
特に市場シェアをもたない企業は、自社の強みが最も高く評価され、大手の競合他社が参入する可能性が最も低いセグメントでたたかわなければいけません。
⒉研究開発費の効率的活用
独自性の高いセグメンテーションによって低シェア企業でも業績を上げることはできますが、研究開発では大企業に勝ることはほぼありません。
ここでも独自性の高い戦略が必要で、最も自社に利益をもたらす可能性が高い分野に集中して資金を投入することが大切です。
たとえば基礎研究のように、膨大な研究開発費が必要で短期的利益を望むことが難しい分野は多くの資金を投入せず、自社の強みを強化する業務プロセスの改善やコスト削減に充てるのが良いでしょう。
⒊成長への適切なアプローチ
成功している低シェア企業のもう一つの共通点は、小規模であることに満足していることです。
売上や市場シェアよりも利益、多角化よりも専門性を重視する傾向があります。
売上を増やすためには追加コストが必要なので、安易に売上UPを狙うのは規模の小さい企業にとって望ましくありません。
基本的に小規模企業の戦略は選択と集中ですが、仮に多角化する場合は強みの領域に密接に関わる分野に事業拡大します。
⒋経営者の影響力
最後の共通点は、CEOが会社運営のほぼ全てに関与しているという点です。
大企業の場合幹部や上級マネージャーと協力して責任を分担しますが、小規模企業の場合戦略策定だけでなく、販売やマーケティング、新製品開発など幅広い業務に深く関わります。
4つの成功要因に重点を置くことで、限られたリソースを最大限に活用し、競争優位を築くための戦略を策定することが可能になります。