プロセス整理 -Step4 拡散・トライアル-
1、背景説明
地域デザイン7Stepは、私が学生時代からエピテックの活動を通して培った地域プロジェクト立ち上げや地域コミュニティ創造に向けたノウハウを整理した手法です。ここでは、全7つのプロセスを1つずつご紹介していきます。
今回は、「Step4 拡散・トライアル」です。
2、ポイント
「Step4 拡散・トライアル」のポイントは、ローコストで地域の関心を集めるトライアルをたくさん試すことです。
多くの地域プロジェクトは、補助金などを申請して、予算を確保してからスタートしていると思います。このような形で実施をした場合、イベント実施後に実施報告などを行うため、報告書作成業務に追われるかと思います。このような動き方をすると課題・リスクがいくつか出てきます。
1つ目は、予算が確保できなかった場合はイベントができなくなること。
2つ目は、報告書作成業務に追われ、期間中に計画通りのイベントを実施したら終了してしまう。
大きく分けて、この2つの課題が伴います。この2ポイントがなぜ課題なのかというと、「なぜこのイベントを実施するのか」という目的が予算と期間に縛られてしまうからです。そもそもイベントを実施することは、目的ではなく、手段です。そのため、予算ありきの活動になってしまうと、目的を見失ってしまい、持続的なプロジェクト発展が困難になってしまいます。
3、プレ実施の重要性
そのため、私は、予算を確保するために仮説を立て、ローコストでプレ実施をすることをお勧めします。予算間でいうと収支がちょうど0になる。または、運営者が飲み会を楽しんだ位の赤字で良いと思っています。これは、必要な支出だと私は考えます。なぜなら、集まって楽しむことができた上に仮説の検証を得られたと思えば、安い投資です。失敗なくして成功なしといったところでしょうか。
大切なことは、予算ありきで行動するのではなく、「なぜ実施するのか」、「どのようなことを得たいか」という仮説を立て、いかにしてお金をかけずに目的を達成するかを考え、具体的なアクションを起こすことだといえます。
4、体験談
私は、茨城県筑西市で活動を始めた時に春夏秋冬でたくさんのイベントにチャレンジして来ました。閃いたら、とりあえずやれるだけやってみる。結果、何かが得られるだろうというノリでした。
たとえば、地元の野菜や果樹を50種類以上使った薬膳カレーや給食室統合で譲り受けた300人分は作れる大鍋を活用した大鍋会などです。いずれのイベントも地域の人が集まり、なかなか経験できないインパクトある行事だったため、大いに盛り上がりました。しかしながら、これらのイベントを積み重ねると20万円ほどの支出を負担せざるを得なくなりました。地域の行事は、損益分岐点を意識した価格帯ではなく、ローカル価格(格安価格)にしなければならないという暗黙のルールがあるからです。
さすがにこのままこの負担を継続して何が得られるのだろう?と考えさせられました。しかしながら、私は諦めるという選択をせず、この負担分を投資と捉え、投資分を回収する何かを得なければ意味がない。そう考えました。
この負担の中で気づいたことがあります。筑西市を訪問する人が何に喜ぶのかということです。東京から2時間弱の農村地域である筑西市の魅力は、何といっても果てしなく広がる関東平野の肥沃な土壌と筑波山のロケーションです。東京から日帰り圏内で、新鮮な野菜をこれでもかという位食べて持ち帰られる環境に多くの人が喜びました。しかも、女子大生を中心に女性のリピート率が異常に高いことが特徴です。その背景は、実家暮らしが多い女性は、野菜を持ち帰ることで、嫌でも家族と体験してきたことを話すコミュニケーションが生まれ、次の機会への参加の背中を押されるからといのことです。この声は、イベントを実施して、リピーターを掴まなければ得ることのできない感想でした。私は、この体験談などをうまく活かして、次の企画を考えていくことを決めました。
5、ピンチをチャンスに変える
多くの支出を出す中で、多くの人が「新鮮な野菜」を求めていることに気がつきました。そこで、私は地域住民の方と話し合い、翌年の夏に開催を決定したご当地バレーボール大会で地域の魅力を発信することに力を注ぐことにしました。具体的には、泥んこになる会場の隣に満開のひまわり畑を作り筑波山と写真を撮れること、優勝賞品を新鮮な野菜詰め合わせにすること、近隣の畑で余剰野菜の取り放題をすること、希望者は空き家を開放してキャンプをできるようにすることなどです。
すなわち、ご当地バレーボール大会で人が集まる環境を整え、農村地域の魅力をその大会に集約することにしました。結果的に参加者からの満足度を高めることとなりました。
6、ポイント整理
「Step3 拡散・トライアル」のポイント整理を行います。
①「なぜこのイベントを実施するのか」をよく考えて実施する
②ローコストでトライアルを行い効果検証をしっかり行う
私はこのプロセスでは、この2つのポイントを大切にしています。
7、次回について
次回は、「Step5 合意形成・プロジェクト化」について整理します。多くの地域外の人から賛同を得た上で地域内でどのような変化が生まれたのかまとめていきます。よろしければ、次の記事もご参照ください。
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