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よくできる新入社員に研修で聞かれたこと伝えたこと(2018)

先週までで3週間✕2クールの新人仮配属が終わりました。自分が直接の業務指示をすることは少なかったのですが、懇親会や移動の車中で受けた仕事全般や生き方の質問について自分が伝えたことについて備忘でメモしておきます。

【はじめに】まず、新人が優秀だったなぁという話

先輩の威厳もないような話ですが、「こんだけ優秀な子らがよく入ってくれたな」というのが第一の感想でした。優秀と思ったのはこんな行動に対してです。

◆指示されたことを鵜呑みにせず、必ず背景や作業の意味を質問してくる

◆単純に話を掴むのが早い

◆先々までどうなるかを考える癖がついている

◆まず「やってみる」ことへの抵抗が少ない(行動力がある)

◆健全な批判的精神を持っている(良い意味でフラットである)

これらの良い点が、今後会社人としてやっていく中でボロボロと落ちていってしまわないといいなぁと思います。特に、古い組織では新入りを「組織の常識がわかってない」とコテンパンに叩きのめしてから優しくして「それでええんや」と組織人として迎えてしまうようなことがありますね。結果として組織に過剰適応して「組織・セクションの優秀な利益代表者」のごとく振る舞ってしまうことがありえるのでそこは自分の目の届く範囲では守ってあげないといけないなと思ったのでした。こんな気持ちになるとは、自分も中年のオッサンになってきた証拠かもしれません。さて、本題に入ります。

【伝えたこと①】会社生活ではきっと今まで経験したことのない挫折が待っているけどそれはポジティブな経験だということ

頭も良くて学歴もバイタリティも申し分ない新人が多い中で、会社に入ったら学生時代に経験しなかったようなレベルの挫折経験があるけどそれはめっちゃ貴重やよという話。冨山和彦さんの「挫折力」を貸したら「今読めてすごく良かったです、これから自分も挫折を恐れず行動していきます」と言ってくれた新人が何人もいたので、これは彼らにも響いたのかなと思いました。自分としても何度も「あぁもう自分の評価も社内のキャリアも終わった」と思ったことが、結果として手遅れどころか自分の打たれ強さと成長機会に繋がっているので想い入れは強いです。そのまま②に繋がります。

【伝えたこと②】会社でリスクテイクすると短期でしんどいけれど得られる経験は十分それに見合うこと

ここではリスクテイクを意訳して「結果が不透明でも自分がやるべきと判断したことを多少の反対も押し切って行動すること」と定義します。自分の経験談でしかないのですが、自分自身がリスクテイクして散々失敗と挫折をしてきて、まるで村八分になったようなこともあるけども、今それらの経験が逆にすごく活きていますよというポジティブな話です。10年以上も仕事していると、組織運営において既視感のある状況って何度も起きるんですよね。前回の同じ場面で自分の頭で判断し行動できていれば、そこで「あ、前はここで間違えて苦い思いをしたから今回は絶対気をつけよう」とその先の状況がクリアに見えてきて、結構ツボを押さえた行動ができます。なので判断の失敗(というか振り返り)をすればするほどその後の自分の行動精度が高まってくるような感じです。そこまで一般化できていかもしれませんが、上記のように経験値だけ見ても十分おつりが来ると思っています。

類似した話で、「自分が良いアウトプットを出せたと思える経験には、必ず元になる『誰にも相手にされてない気がするような、スポットライトを浴びていない時期の地道なノウハウの蓄積やネットワークの構築』があった」という話もしました。自分の経験の範囲では、力を蓄える時期とアウトプットできる時期にはだいたいギャップがあり、リアルタイムにはあんまり評価されなかったり手応えなかったりするよと。実際にスポットライトを浴びてない時の悲壮感はハンパないですが、何かを意図して行動しているなら悲観しなくて良いよと、そんな時に思い出してもらいたいと思います。

【伝えたこと③】家族ができたことによる仕事観の変化は、「仕事は好きに挑戦しても良い、結果はどうであれ家族にとっての自分の価値は変わらない」と思えたことだったこと

「家族ができて仕事のスタンスとか変わりますか」という話もよく聞かれたことでした。3児の父って今は少し珍しいからかもしれません。一般的には「守るべき存在ができて覚悟ができた」という話をするのかもしれませんが、自分自身は「仕事でどれだけ失敗しても子供達から見たお父さん像には何にも影響がないことがわかって、逆に思い切り仕事ができている」と答えています。子供達と遊んでいるといつも感じるのですが、彼らは本当にお父さんの仕事とか全く興味ないし良い悪いとか想像すらできてないですよね。子供達が興味を持っているのは、お父さんが自分のことを見ているかどうかだけだと感じます。これは自分にとっては非常にポジティブな気付きで、「仕事でどれだけ失敗しても自分は良いお父さんではいれる(≒自分の最後のアイデンティティは守れる)」という開き直りが自分のチャレンジを後押ししてくれているように感じます。(ちなみにプロボクサーの村田諒太さんが、NHKの特集で同じようなことを話されていました。)

嫁さんからも「あなたに仕事の成功は求めていません」「お父さんに定年はないので、仕事より子供優先でいて下さい」とハッキリ言われているので(苦笑)、仕事をしていても「家族のために失敗できない」というよりは「家族は気にしていないんだから、仕事は経験重視で自分の好きなようにやろう」と割り切れています。結果として良い意味でのチャレンジ姿勢に繋がっていると思います。これは伝えたこと②のリスクテイクにまさに繋がってくる話ですね。

【伝えたこと④】社内関係部署には定期的に顔を出して良い関係を作っておくと色々助かること

今自分が社内他部署との連携窓口を積極的にやって良好な社内連携をリードできていること。組織連携を円滑にすると双方にも喜ばれるし、組織外に顔が利くことが結果として自分の組織を守ることにも繋がる(≒自組織の安定運営にも繋がる)と感じていること。そして社内他部署との連携のコツは、単に「マメに相手のフロアに行って顔を見せること」という非常にシンプルなことであること。人がやってないことをやるだけで付加価値になることの、最たるところかなと思います。ちょっとした話ですが先行投資的な行動なので、なかなかしている人は少ないですね。

【最後に】

なんだかもっと色々話したような気もしますが、主には上記のような話でした。①〜③はほとんど同じことを書いているので、まとめてしまうと「挫折経験も中長期では強みにできるのだからどんどんリスクテイクして行こう、仕事でリスクテイクしていく為に自分のセーフティゾーンを持っておこう」ということですね。

来年の春に、またこれを振り返って新人に伝えることをバージョンアップしていきたいと思います。(以上)

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