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2024年は毎月ひとつ物語を書くことにする。まずは、

今年ももうすぐ終わり。

おかげさまで、毎月1つエッセイを書くという2023年の目標を達成できました。

全体的にみると変化が多く、いろんな場所に行って、新たな出会いが生まれた年でもありました。

2024年は毎月ひとつ物語を書いてみたいと思います。

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「リンゴの皮むき」

傷跡が残るようになったのはいつからだろう。三上さんは手の甲に残っている傷跡を見た。
怪我をしたのはたしか2週間くらい前で、ちょっとしたすり傷だった。
昔は跡なんて気にしなかったのに、傷を負うとまず跡のことを考えてしまう。
この跡はちゃんときれいに消えるだろうか。周りの皮膚より濃い茶色になっている部分をみながら、傷を負ったときのことを思い出す。
ぼんやりとしていて曖昧だけれど、たしか掃除をしているときに、じんとする痛みがあって手を見たら、いつの間にか傷ができていた。

怪我をした覚えはないのに、身体のほうが記憶している。どっちのほうが優れた記憶器官なのだろう。

三上さんはリンゴをしゃくっと食べた。
丁寧に皮をむいたリンゴ。皮むきは得意だ。小学生くらいのときに両親からリンゴの皮むきを教わった。
あまりお手伝いをしない三上さんに、なぜかリンゴの皮むきだけは熱心に教えていた。
包丁の刃で指を切るんじゃないかと怖がる三上さんに
「親指がストッパーになるから大丈夫だよ」
と、当時の三上さんにとっては何も大丈夫ではないアドバイス(その親指が心配なのだ)をした。
「もったいない」
と三上さんがむいた果実のたくさんついているリンゴの皮を、三上さんのお母さんが食べる。
じゃあなんで皮をむかなくっちゃいけないの、小学生の三上さんは思ったけれど、口にはしなかった。

今はもう動作をひとつひとつ考えなくても、手が覚えてくれているから、するするとリンゴがむける。
でも実は、三上さんは皮付きのリンゴがの方が好きだ。

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