私の防腐剤 watashino BOHUZAI
私の基本装備に
気怠いはいつもある。
髪や手足、心の先っちょに、
洗濯バサミで止めた小さな錘が
ズンッと付いているような、
そんな感じ。
地味に重い。
何か、どこか、とにかく、
まあまあ重いので
基本テンションは
多分、他の人より結構低めだし、
感情が顔にあまり出ない。
身体も上手に動かせなくて、
動きがぎこちなく、ものすごくカッコ悪い。
(心の中ではあれほど表情豊かに、
カッコよくスキップだってできるのに…。)
これを基本装備として生きてきて
早20数年。
どうにかして、
この気怠さを追っ払おう!
とか、そういうのは諦めている。
しかし、
重いのは疲れる。
寝ている時間以外の365日、
気怠さと共にしていたら
ズブズブ…と地の果てまで沈んでいって、
どんよりとした空気しか吸えなくなって、
そのうち、くたくたになるまで腐っていくだろう。
チョンとつついただけで
崩れてしまうようになっては困るので、
私は少しずつ進化を遂げていた。
なんと、
防腐剤を作れるようになったのだ。
材料は、
日常に溶け込んでいる
小さなときめきとかなんとか…。
ひそひそと、ときめきのかけらを拾い集め、
もくもくと、心の中でフィットする形へと変身させる。
完成した私だけの防腐剤が、
気怠いの重さを溶かし、
心を、私を軽くしてくれる。
そういうことが自然と上手になった。
数ミリだけだとしても、一瞬だけだとしても、
すごく軽やかな身体と心でいられる。
唐突にニヤけてしまうくらいに心地良い。
だから私は日々の気怠いとも
うまく、なんとか、
付き合っていけている
のだと思う。
私が、
沈み込みすぎないように、
みどり色の空気が吸えるように、
形を保ち続けられるように。
私だけのおまもりのような防腐剤。
これからもたくさん作っていけたらいいな。
(いつかzineに。)