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Mastodon(マストドン)、Misskey(ミスキー)、そしてFediverse(フェディバース)とのつきあい方

はじめに

イーロン・マスクによるTwitter買収騒動は大きな局面を迎えた。

 詳細は引用した記事を参照してほしいが、Twitterでは何をするにも回数制限がかかるようになり、大変使いづらくなったとして多くのユーザーが、「Mastodon(マストドン)」や「Misskey(ミスキー)」などのいわゆる「分散型SNS」の集合である「Fediverse(フェディバース)」に殺到している。
 本稿を執筆し始めた時点では、Misskey最大規模を誇る「Misskey.io(ミスキーアイオー)」では同時接続数が2万人を超えサーバーに大きな負荷がかかり、マストドンのサーバーのひとつである「mastodon-japan.net(マストドンジャパンネット)」でも、一時はサーバーが過負荷状態となり、またその他のサーバーにおいても、大量の新規流入に対応できないとして、新規アカウント登録を停止したサーバーが続出した。
 この大騒動の渦中に居た私は、新規ユーザーに見られるある「傾向」を発見した。それは様々な経緯はあれど、「アカウント登録したけど何をしていいか分からない」と嘆くユーザーが一定数居ることである。そこで本稿では、私が普段MastodonやMisskeyを利用する際の「付き合い方」を、私がいわゆる分散型SNSにやってきたきっかけを元に伝授する。自分自身、少し変わり者である自覚があるため、参考にならない箇所が多いと思われるが、「こういう考え方もあるんだ」と思っていただければ幸いである。

なお本稿では、MastodonやMisskeyの使い方ではなく、利用を始めたきっかけや、つきあい方や考え方などについて記述するため、単にMastodonやMisskeyの使い方を知りたい方は以下の記事を参照されたし。

今に至るまでの経緯

Mastodonとの出会い

 2018年。私がまだ高校3年生(といっても数ヶ月後には卒業式を控えていた)の頃、当時利用していたTwitterに不穏な空気が流れ始めた。どういう経緯だったかはよく覚えていないが、当時のTwitterの運営に不安感や不信感を持つユーザーが増え始めたのだ。私もそのうちの1人で、「Twitterに代わるSNS」がないか調べた。そこで知ったのが「Mastodon」と「Tumblr(タンブラー)」だった。どちらもTwitterライクなSNSであり、まずこの2つを試してみる事になった。
 Mastodonにやってきてまず感銘を受けたのが、サーバーに所属するほぼ全てのユーザーの投稿が流れる「ローカルタイムライン(LTL)」の存在だった。この時私が選んだサーバーは、当時Mastodonの日本語圏では最大級のサーバーだった「mstdn.jp」であった。試しに投稿してみると、何処からともなく他のユーザーからリプライが送られてきた。何処から送っているのかと思えば、私の投稿はそのLTLに流れており、私の投稿に気付いたあるユーザーがリプライを寄越してくれたのだ。それだけではない。しばらくLTLを眺めていると、様々な考え方や価値観を持った、おおよそTwitterでボケーッと過ごしていては見かけなかったであろう人々が集い、語り合っていたのだ。そして早い段階で、「Mastodonはとても魅力的なSNSだ」と認識したのである。
 ちなみにもう一つの候補としていたTumblrだが、しばらく利用した後利用頻度が低くなったため、現在はアカウントを削除している。また、Twitterアカウントも後に全て削除している。

 Mastodonをしばらく利用していると、mstdn.jpだけでなく他のサーバーも試してみたいと思うようになり、様々なサーバーにアカウントを作るようになった。記憶が正しければ現在までにMastodonだけで七つか八つは作った記憶がある。現在アカウントを所持しているのはそのうちの三つで、それ以外はアカウントを削除したか、サーバーが閉鎖したなどの理由で現存していないか、引っ越し機能を使って休眠状態にしている。
 様々なMastodonサーバーを試していると、行く先々でサーバーに属するユーザーと知り合い、あるいはその他のユーザーがフォローしている他のサーバーのユーザーと知り合うなどして、多くの人間関係が生まれた。Fediverseでは、所属するサーバーによってサーバーの雰囲気が異なり、当然各ユーザーの投稿も自然とそのサーバーに見合った内容になっていき、次第に様々なサーバーの雰囲気や様子が自分のタイムラインに流れ込むようになっていった。

Misskeyとの出会い

 Mastodonの各サーバーを試しているうちにMisskeyにも関心が湧き、あるフォロワーの紹介で「のえすきー(misskey.noellabo.jp)」という、Fedibirdを運営しているのえる氏によるMisskeyサーバーを試すことになり、その勢い(実際のところは操作ミス)で「Misskey.io」にも同時期にアカウントを作成した。
 当時Misskeyは今ほど注目されておらず、Misskey.ioものえすきーも穏やかな空気が流れていた。しかし2023年2月頃から、やはりイーロン・マスク政権によるTwitterの運営に嫌気が差したユーザーの流入が始まり、与謝野晶子やレターパックのミームも後押しし、Fediverse史上最大級の大量流入となった。現代的なユーザーインターフェイスや機能の多さ、リアクション機能による投稿へのリアクションなどが魅力的に映ったのか、流入者数のみならず定着者数も多く、サーバーをいくら増やしても足らないという運営者の嬉しい悲鳴が繰り返された。Mastodonへの流入とは違う性質があると読んだ筆者は、しばらくの間Misskey.ioで活動し、新規ユーザーへのサポートや啓発を自主的に行い、解説記事も書くなどしている。

Fediverseと私

Fediverseに5年居座って考えたこと

 このような経緯から、結果として実に5年の長きに渡りFediverseに居住することになり、その間に多くの人間関係を構築することになった。Mastodonに関する記事は幾度となく執筆し拡散され、いつしか書籍に掲載されるまでに至った。そして、Twitter対MastodonやTwitter対Misskeyという対立構図を生むことは必ずしも適切ではないと考えるようになった。なぜならば、Twitterには元々リアルタイム性の高い情報収集ツールという性質があり、一方MastodonやMisskeyはどちらかといえば様々な人と交流したり、情報収集ではなく情報交換をするような使い方が向いていると感じたからである。
 つまり、MastodonやMisskey、Twitterにはそれぞれ「役割」があり、「Twitterはダメだ」「Mastodonはダメだ」ではなく、「みんな違ってみんないい」であるべきだと考えるようになったのである。このように考え始めたのはここ最近のことで、イーロン・マスクによるTwitter買収でFediverseにTwitterからのユーザーが流入し始めた頃には、Mastodon対Twitterといった対立構図に否定的になった。今後Twitterの立ち位置や世間的な評価がどうなるかは分からないが、「MastodonやMisskeyはTwitterの代わりにはならない」という認識は変わらないだろう。

自分なりのFediverseとの付き合い方

 Fediverseでは情報収集に向かないが交流には向いているという性質から、Fediverseとそれ以外では使い分けを行うようにしている。
 例えば情報収集を行いたい場合、巷で広まっているトレンドや、自分の趣味や関心事に関する情報がどうしても必要な時はYahooリアルタイム検索を活用するなど、自発的な情報収集を行う際はFediverseに頼らず、他のサービスを利用するようになり、口コミや噂程度で問題ない時はFediverse上で情報交換を行う、といった運用方針が根付いてきたように感じる。
 さらに、5年間かけて構築した人間関係を活かし、どのアカウントのホームタイムラインでも殆ど同じ内容になるようにしており、LTL目当てもしくは負荷分散を目的に5つのアカウントを所有し、新規流入が多くなっているなど、盛り上がりがあるサーバーではLTLなどを重点的に見るようにしている。また他のユーザーをフォローする際には「そのユーザーの投稿を自分のHTLに流したいか」という勝手な基準を元にフォローするようにしている。
 また自分の趣味や興味関心に関する話題は、他人からのリアクションを過度に求めていない。いわゆる壁打ちというものであり、自分が発した話題に誰かしら便乗してくれればそれで十分と考えている。しかしながら、LTLが存在し「文化」が強いサーバーにおいては、その雰囲気を壊さないように配慮することもある。

あとがき

 過去の記事でも示したが、MastodonやMisskeyの利用方法は利用規約の範疇でユーザーの自由である。Fediverseは「あなたへのおすすめ」が殆どないWebサービスであるため、能動的に利用するのではなく、自発的に利用方法を自分で調べたり考えたりすることも大切だろう。同時に、サーバーごとの利用規約やLTLの雰囲気など、「郷に入っては郷に従え」と言うべき性質があることも忘れてはならない。しかもそれは、FediverseだけでなくTwitterなど他のSNSでもそうであるに違いないだろう。
 本稿がよきFediverseライフを送るためのテキストとなることを、切に祈るばかりである。

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